目の前で繰り広げられる、恋のやりとり
「ふふふ。貴方達、トッテモ仲良しサン」
「どこが」
「レオン君には、喧嘩売られているだけですよー」
武蔵は愛想笑いをして、メリーにツッコミを入れた。
メリーは首を横にぶんぶんと振る。
そして花のように満開の笑顔を咲かせた。
「だって、わかるモノ。貴方達の出会いは、偶然なんかじゃないワ。必然だったのヨ。周りの人ト、雰囲気が違う。本当に家族ナンデショウネ」
「……」
レオンはメリーの勘の鋭さに、閉口した。
黙り込むレオンを心配してか、武蔵がレオンの肩に手を置きたそうにしている。
『ツンデレ邪王様ー。ツンデレ、ツンデレー‼』
「うるさいな!」
ゴツンと自転車型タイムマシンを殴りつけた。
突然のことに、武蔵もメリーも驚いている。
他の並んでいる客まで、ドン引きしていた。
「私ト貴方の出会いモ、キット必然ネ。私ニハ、貴方が運命の人だと感じているワ。直感なのデス」
「俺も……だけど。俺、妖なんだけど、貴方は人間?」
「ロマンスは外でやるなってば」
レオンがジト目で、二人の世界に水を差す。
見ているこっちが恥ずかしくなるほど甘々なムードだ。
武蔵は財布を拾っただけなのに、逆にお礼をされる方なのに、女性を立てて守ろうとする。
メリーは奢られるのに慣れているのか、何もおかしいと思っていないようだ。
変わった夫婦だなとレオンは思った。
今はまだ夫婦ではないが。
「私ハ人間ヨ。齢は今年で二十歳。妖って、どうやって生まれてくるの?」
「さあ。起源はわからない。俺は鬼なんだ。【血鬼】っていう、最強と呼ばれている鬼。希少な種なんだよ。生まれ方は哺乳類と一緒かな」
そうだ。
父親が【血鬼】だったから、怜音も【血鬼】だったのだ。
前世では人間の血が濃すぎたのか、覚醒することはなかったが。
「だけど、武蔵さんは髪も目も赤くない。【血鬼】なら、僕のように赤くなるはずだ」
「俺は、髪はカツラを被ってるし、目はカラコンでごまかしている。角はたまたま生えてこなかった。だから見た目では鬼だと思われない。外を気楽に歩けるんだ」
呵々と朗らかに笑う武蔵。
純日本人らしく、黒髪黒目にしたことは正しい判断だろう。
レオンも変装してみようかとふと思いつく。
それなら、人目を気にせずいられる。
変装していれば、誰も邪王レオンだと気づかないのではないか。
レオンは武蔵から良いアイディアをもらった。
「……そういえば」
「ン?」
「レオン君は赤髪赤目だね。もしかして、【血鬼】?」
「……ああ、はい」
「そうか。確かに、君と出会ったのは、運命かもしれないな。だけど、変装はしなくていいのかい? 差別を受けるはずだ。妖はまだ総数が少ない」




