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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生 中編

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僕は男だ

「素敵? 何故そう思うんですか? 世の中には、視えなくていいものの方が多いですよね」

「ソレデモ、視たいもの、視えるコト、いいことだと思うワ」

 前世の怜音には、視たくないものが視えていた。

 人の悪しき心やその悪しき心から生まれ出づる悪の化け物。

 それらは他の人には視えなかった。

 人間の血も持っていた怜音もまた、悪の化け物によってその悪しき心に蝕まれるときがあった。

 世の中の悲しい事件や苦しい事件、すべてそれらに取りつかれた者の仕業。

 怜音はそれらを宿主ごと斬ってきた。

 それらを総称して、悪鬼羅刹と呼ぶ。


「僕は、くさいものにはふたをするのが一番だと思いますけどね。人間は際限ない欲と悪の心で、とんでもない化け物を生み出してしまう。始末しても、始末しても、次から次へと湧いて出てくる。自分の心の方が壊れそうになる」

「ソウ……。辛いコト、アッタノネ。レオンクン……」

 メリーは目に涙を浮かべて、そっとレオンを抱き寄せた。

 会ったばかりでよく知らない、妖の男の頭を撫でるその姿は、およそ人間とは思えないほど、澄んだ心を持っていた。

 レオンは最初驚いていたが、すぐに悟り、父親が禁忌を犯してまで、この女性を好きになった理由が、わかった気がした。


「メリーさんこそ、素敵な女性だ」

 武蔵はメリーを見つめて、口説く。

 レオンは複雑な気持ちになった。

 好きになるのはわかるが、父親が目の前で母親を口説くシーンなんて、気恥ずかしくて、見ていられない。


「武蔵さん、貴方は他の男がいる前で、女性を口説くんですか?」

 レオンがギロッと睨みつけると、武蔵はビクッとした。

「とんだナンパ野郎ですね」

「そ、それはその……レオン君は他の男に見えないっていうか、その、ごめん」

「ああ⁉」

『ガラ悪イデスネー。アハハハ』

 武蔵がしどろもどろに後頭部を押さえて、照れながら謝る。

 レオンは男だと思われていなくて、声を荒げた。

「そ、そう怒らないで……。どうどう。レオン君はなんだか、初めて会った気がしないんだよ……何故か。女の子みたいって言っているわけじゃないよ? なんだか、家族みたいに思えてくるんだ……」

「……それ、女性にも言ってないでしょうね?」

 レオンは武蔵の胸倉を掴んで、凄んで問うた。


「言ってない、言ってない‼ っていうか、何……。レオン君、怖いんだけど……。ひょっとして、ヤのつく人?」

「あんたもそーだろうが‼」

 レオンと武蔵は不毛な争いを繰り広げていた。

 見かねたメリーが止めに入る。

「喧嘩ハヤメテー‼ 私ノタメニ、争ワナイデー‼」

「貴女のために争ってないけど」

「え、違うの? てっきり、メリーさんを取られたくないばかりに、怒ったんじゃないの?」

「そんなわけないでしょ。(父親の)ナンパは目の毒なだけ」

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