過去へ
レオンは紅蓮城の地下室に行き、タイムマシンを起動させた。
テレパシーでみんなに『行って来る』と伝えると、大勢の血族から『行ってらっしゃいませ』と返って来た。
レオンがいない間、国の運営は鬼族の貴族たちに任せている。
彼らは邪王レオンの腹心の配下であり、レオンの意を汲み取って、国を防衛し、繫栄させてくれるだろう。
タイムマシンが起動後、操縦者のレオンに話しかけてくる。
『過去ヘ行キマスカ? 未来へ行キマスカ? オ選ビクダサイ』
「まずは過去へ」
『何年前ニ行キマスカ? コノ星ガ誕生スル前ヨリモット昔マデ遡レマス』
「うーん……。おまかせとか、ないのかな」
『オマカセデスネ。承知シマシタ』
タイムマシンから光線が放たれ、レオンの身体を隅々まで調べた。
地球の医療技術の、レントゲン写真かCTを撮っているかのようだった。
光線は放射線ではないが。
『体ヲスキャンシマシタ。対象――邪王レオンノ過去ヘト出発シマス。準備シテクダサイ』
「えっもう⁉ どの時代に行くとかは教えてくれないの⁉」
『オマカセデスノデ。オ楽シミデス。フフフ』
意思を持った機械のようだ。
レオンの狼狽ぶりを面白がっている。
ちょっと憎たらしいなとレオンは思った。
「まあ……なるようになる、かな……?」
『ケセラセラ、デスネ』
「ぶっちゃけ、君めんどくさいんだけど」
『光栄デス。邪王レオンヲ惑ワセタ最強ノ機械ヲ名乗リマス』
「なんか、壊したくなってきた……」
『ワタシヲ壊スト、トンデモナイコトガ起キマスヨ』
「例えば?」
『企業秘密デス』
「君は企業でつくられたんじゃないだろーがっ‼」
『ボケニツッコミ、アリガトウゴザイマス。笑イノ天下ヲ取レソウデスネ!』
「無理だから。このやり取り、ぜんっぜん面白くないから」
『ハハハ、ゴ謙遜ヲ。マイナス100点グライデスヨ』
「やっぱり面白くないじゃんか‼』
レオンは機械に振り回された。
開発者は自分なのに。
つくったのはメドと林なので、余計な機能を追加していたのか。
実は意外と邪王レオンをからかってみたいと思われるのではないだろうか。
迷惑な話だが。
レオンはタイムマシンの椅子にまたがって、手をブレーキの上に乗せる。
タイムマシンは自転車型とカプセル型があり、今は自転車型に乗っている。
「準備できたよ。さあ、行こう。時間の旅に』
『了承シマシタ。ソレデハ、出発』
時間の波に吞まれて邪王レオンは過去へと向かった。
行先はわからないので、冒険心をくすぐる。




