静かなる決意
「幼竜達も変身できるよね。そうだ、住処が確保できないから、幼竜にしたんだった。だけど人型になって生活してくれるなら、成竜もいっぱい生み出せるよね」
「兄弟が増えるんですか⁉ それは嬉しいです! 是非とも、たくさんの家族を生み出してください、主様」
「そうだね。メスがまだいないから、メスがいいかな」
「妹達ですね」
「他にもスライムとか、生み出したいなあ。スライムって、癒されるよね」
「スライムですか……。最弱の魔物ですね。ですが、鍛え上げれば強くなるとかなんとか」
「スライムって雑食らしいんだよね。肉も食べるのかなあ。生み出したら、魔族の国に連れてった方がいいかなあ。魔王、喜ぶかな?」
「喜ぶと思いますよ。魔王様も見たことのない生物を見たいでしょう。それから、主様は華国に住む者も生み出すつもりでしたよね」
「うん。人型の生物がいいかなと思っているんだけど、前に鬼族を連れて行ったから、鬼族と合うかな? 獣人族も合いそうなんだけど」
「では、どっちもというのは、どうです?」
「それもいいね。そうしようかな」
林の国、大華共和国に住ませるのは、鬼族と獣人族の二種族にした。
何故邪力を持つ血族を華国に送ろうとしたのか。
答えは簡単。
林の国をサポートするためだ。
何かあれば、林達に命令することもできるが、命令をするつもりはない。
この世界では、自由に生きて欲しいから。
林の、国の最高権力者としての手腕がどれほどのものかはわからない。
頭が物凄くいいらしいので、助けを必要としないかもしれないが。
必要とあらば、人に助けを求められる謙虚さも兼ね備えている。
助けを求めない、プライドだけが高い権力者など、国をめちゃくちゃにするに決まっているので、確かに賢者なのだろうなとレオンは思う。
林は皇帝になると思っていたが、林自身はちゃんとしたリーダーとして振舞いたいと言っていたので、地球と同じ国家主席になる道を選んだ。
神王よりも謙虚で真面目な林らしい。
「主様が帰って来る頃には、この世界は変わっていると思います。人口が少なかった昔は見る影もなく、人で大賑わいしていることでしょう。我が輩も他の血族達同様、ずっと主様のお帰りをお待ちしています。ここにはいない、アクロスだって、幼竜のみんなだって、そうです」
「うん。ありがとう。お前達が背中を押してくれるおかげで、安心して旅立てるよ。ごめんね、連れて行けなくて」
「ひどいですよ、主様。涙が出てしまいます」
「あはは、そっか……。イコロスは寂しがり屋だったね。兄弟が欲しいとか妖精が見たいとか言ってたし」
「そうです! 我が輩は寂しがり屋なんです! わあああん」
「ほんと、こどもみたいに泣くなあ……」
イコロスの頭を撫でてやり、レオンは一息ついた。
アメリアの紅蓮城まで、もうすぐ。
空の旅も今年は最後。
きっと世界の命運を変えてみせるとレオンは心に誓った。
この世界はみんなで守り抜く。絶対に。




