アルカディアの神王城で
神王の血文字でつくられた札が、強固な結界を維持している。
血で認識するシステムだ。
神族しか入れない。
今し方交換留学生達も知ることになったが、問題ないと神王は考えているようだ。
神族しか入れない裏門だが、神王が許可した者は、その限りではない。
レオンの血族も、魔族も入れる。
「開け、裏門」
神王がアルカディア語で呪文を唱えると、札が光り出し、門が重々しく開いた。
重低音で開錠される門。
「わあ、すごい……!」
「魔法の世界です! ファンタジックです!」
「どちらかと言うと、オカルトでは……?」
交換留学生達は、興奮したり褒めたり訂正したり、大忙しだ。
各々この世界の不思議を楽しんでいるようだ。
「門を通ると、また閉じる。早く入れ」
神王が急かす。
交換留学生達は、言われた通りに門の中へ入った。
レオン達も中に入る。
門がバタンと閉じた。
「客間は三階にある。そこで食事を用意させよう」
「三階は地味に遠いな」
と魔王が突っ込む。
「一階だと、襲撃されたときに客人を巻き込むから? 神王も色々考えているんだね。面倒事に巻き込むのは、僕らもやめておきたいし。城づくりも案外大変」
レオンはうーんと唸っている。
「それもあるが……、中を見てもらいたいだろう。せっかく造った城だ。存分に見せびらかしたい」
どこもかしこも豪華に彩られた城。
自己顕示欲の塊。
要所要所に衛兵を位置づけている。
いつ何時何が起きてもいいように。
神王の城づくりに、レオンは感心した。
神王は前世の記憶など何も持っていないのに、王として相応しい男だと。
「交換留学生の皆。自由に見学して来ていいぞ」
神王が許可を出すと、交換留学生達はわっと散らばった。
城に入れる経験など、一生に一度あるかないかだ。
初めて工場見学をするこどものように、目を輝かせていた。
見学をするつもりのないレオンと魔王はその場に居残った。
「昼は何を食べるんだ?」
「シチューだ。パンと一緒に食べると美味い」
「地球と変わらないじゃん。もっと面白いものを用意しても良かったのに。異文化交流だよ?」
「またグロいなどと言われると凹むからな」
「あれ、神王も凹んでたんだ。てっきり魔王だけかと」
「割と。俺は血の池に興味があった。俺の感覚は間違いだったのかと思ってな」
三王はその場で話し込む。
「〈時空主〉をいつ呼ぶんだ?」
「もう呼びかけてるよ。一緒にやろうって、テレパシーで」
「早めに開発してやらないと、交換留学生らがお陀仏だぞ」
「そんなに時間はかからないはず」
「高みの見物と洒落込もうか」
神王がフフ、と笑う。
「神王はいつも上から見てくるような気がする。立場的には、僕の方が上なのにね。世界の監視役だし」
「邪王、お前も一国の主になればいい。アメリカを模した国をつくればいい。幸い、地形は地球のものとほぼ一致している。豊かな資源で、地球よりも良い国をつくれるかもしれないぞ?」
神王からの提案だった。




