【血鬼】は吸血鬼とは違う
「へえ。いろんな種類があるんですね。俺達もそのどれかに分類されるんですか? 眷属になれば」
「眷属になっても、世界の王でなければ、何も操ることができない。眷属はあくまでも王の配下になれるだけ。近くにいなくても、王のことがわかるようになるけど。魂の資質で【操法】を扱えるようになるよ。【主従契約】という特別な儀式があるんだけど、人間卒業すれば王になれる。その代わり、拒絶反応で身体中がボロボロになったり、失敗すれば死んだりする」
「オレは自然を操る〈指揮者〉。邪王は作用する力を操る〈奏者〉。神王は幻想を見せる〈幻想師〉だな。相性もあると思うが、我ら三王は特別強大な力を与えられた」
この世界を創った【創魔神】に。
「魂の資質とは?」
交換留学生の少女が訊く。
「血を採ればわかるけど、やってみる?」
「血でわかるんですか?」
「血でなんでもわかる。心理状態も。過去生も。僕は【血鬼】だから。【血鬼】とは、吸血鬼を省略した鬼のことじゃないよ。血に関するすべてを操り、知ることができる鬼のことを言うんだ。【神鬼】よりも強いといわれている最強の鬼だってさ。だから自分の血も敵の血も操れる。どんな者だろうが、倒そうと思えば簡単に倒せる」
「ふむふむ。吸血鬼とは、具体的にどう違うんですか?」
「伝承の吸血鬼はそんなに強くないし、ニンニクや杭が苦手だったりするけど、僕は太陽ですらなんともない。それに、僕はアンデッドのリッチじゃなくて、完全なる不老不死だから、神さえも僕を殺せない」
存在力が桁違いに強いのが、邪王レオンだ。
その代わり、拷問を受けると痛みでどうにかなりそうになっても、死ねない苦痛を味わうことになる。
強く在れば、聖力による耐え難い苦痛もどうにかなる、わけではない。
痛いものは痛く、苦しいものは苦しい。
痛覚も神経も、どうにもならないので結界を強くするしかない。
実験台にされないように、今まで以上に気を張っておかねばなるまい。
「地獄があるなら、天国もあるんですかね?」
交換留学生の男子が顎に手を当てながら、真上を見た。
「いいところに気がついた。神々が住む世界、神界は存在する。天国とも呼ぶ。信仰している信者の数によって、大分力の差があるようだが」
魔王がその質問に答えた。
「神族ってことは、神様とは違うんですか?」
「神族はオレの血脈に当たる者達だが、俺自身が神ではないからな。遠い未来で神として崇められるかもしれんが」
人が死後、神として祭り上げられるように。
「神王は神族の王という意味で、神様の王様じゃないんですね。北欧神話のオーディン様みたいな」
「アメリカでは、トール神の方が人気ですよ」
「さまざまな作品で出現していますからね。トール神の分身が」
クスクスと微笑する交換留学生達。
アメリカンジョークだろう。
「神は基本的に干渉してこない。何か起きたときに、重い腰をほんの少し上げるくらいで。自由と言えば聞こえはいいが、無法地帯になりかねない。だから我々三王がその秩序になるのだ」
と魔王が説明した。
大役を任された三王。
生めよ増えよと人口も増やした。
今は初め存在していなかった女性もいる。




