愚かしい戦を終わらせることが使命なのか
「愚かしい戦を終わらせることが、私達の使命なんじゃないでしょうか。神サマは私達を見ておられる。そんな気がします。私達からは見えませんが。姿を見せない理由もあるのかもしれません。考えてもわからないので、どうにもできませんが。信じれば救われるって言うじゃないですか。だから私は信じます。みんなが笑って暮らせる世界を、ともに創りましょう」
にこっと交換留学生の少女は笑う。
レオンはまだ完全には人間を信じられない。
一度壊れた関係を修復するのは困難だ。
他人の笑顔には裏があるのではないかと勘繰ってしまう。
だが、この目の前の少女が嘘を吐いているようには見えなかった。
心からの言葉だ。
レオンにはそう感じた。
「……だと、いいな」
こぼれる笑みはどこかぎこちないが、僅かに希望があった。
彼女が戦に強い国の出身者だからだろうか。
彼女の青い瞳が見据えるのは、どんな世界だろう。
レオンもともに見てみたいと思った。
「愚かなのは、きっと人間だけじゃない。戦を止められない我らや禍津神らもそうなのだろう。力があれば、やはり試したくなるものだ。神族の力はどの程度魔族に通用するのか、とな」
「いつでも相手になる。我が魔王軍は無類の戦好きだからな」
「僕は空で眺めているよ」
「「僕!?」」
神王と魔王が素っ頓狂な声でハモった。
「そんなに驚かなくてもいいのに。ヤルダバオートが言っていたじゃない。これが僕の本当の話し方だと。王様だから、カッコつかないと思っていただけだし」
むすっと頬を膨らませるレオン。
見た目相応の年齢っぽい振る舞いだ。
本来、喋り方もこどもっぽいのである。
「それにしても、『僕』だとは……!」
「腹筋が割れるように痛む」
「笑いすぎだよ!」
大爆笑して腹を抱えている二人に、レオンが怒った。
「でも見た目に合っていると思います。いいじゃないですか。強くて可愛い王様の『僕』属性。充分に現代地球でやっていけます」
「やっぱり『余』に直す……!」
レオンは神王と魔王をぽかぽかと殴った。
じゃれ合っている猫のようなやり取りに、周囲が和んだ。
「そのままでいいと思います。『僕』の方が、邪王様らしさがあるような気がしますから」
「そう……?」
レオンは渋々納得させられた。
「楽しい留学ですね。凄い人達なのに、話しやすいというか。愉快な仲間達って感じです」
「地獄が楽しいか。こちらで暮らしてみるか?」
魔王の悪魔のお誘いを、交換留学生達は断固拒否した。
「いいえ。こっちだと早く死んじゃうじゃないですか。地球に戻りますよ」
「時間については〈時空主〉を呼んで、一緒に開発するから、長生きできるようになるはず」
レオンが真剣な目で言った。
「クロノ・マスター?」
「時と空の主。時空間を操る王だよ。他にも〈操者〉〈奏者〉〈指揮者〉〈幻想師〉〈操り師〉などがある。僕らが使うのは、【操法】。魔法じゃない」
これらはレオンがつくった【操法】のタイプだ。
〈操者〉は微粒子を操る王。
〈奏者〉は作用する力を操る王。
〈指揮者〉は自然を操る王。
〈幻想師〉は生物の五感を操る王。
〈操り師〉は生物を操る王。




