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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生 中編

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【主従契約】、やってみる?


 大華共和国(仮)では、簡易テントでできたキャンプ場みたいな家が十個あった。

 それから、汲み取り式のトイレ。

 【操法】を使えない人間が、この五次元の世界で思い通りの国をつくるのは、困難なのだろう。

 工事が全く進んでいないので、苦労していることが手に取るようにわかる。

 大嵐などが来たら、一瞬で家がなくなる。

 レオンと鬼族達とメドは林を探して、テントの主に確認を取る。

「林君、いるー?」

「わたしは林さんではありません」

 中国語で返事があった。

 レオンはなんとなくだが、ニュアンスがわかった。

 別のテントを回る。


「林君」

「はい。邪王さんですか。手紙のお返事届きましたよ、ありがとうございます」

「うん」

 しゃっとテントの扉を開けて、中に入れてもらうことにした。

 レオンは早速、林にチラシを十枚渡した。

「ドラゴンライド試乗祭をやるんだ。来てね」

「ドラゴンライド試乗祭……?」

「移動手段があると便利でしょ? 竜は生物を乗せて大空を駆けるのが好きな生き物なんだ。竜にとっては、一石二鳥ってわけ。林君は人間だし、疲れているんじゃないかと思って、気分転換しに来ない?」

「はあ……ですが、諸々の工事も食事もままならないまま……」

「んーそうだね。人間は何かと大変だ。人間じゃなくなるけど、いい方法があるよ。この世界の王として認められる方法。失敗したら、死ぬけど」

 レオンが顎に指を当てて提案した。

 林は固唾を呑む。

「どんな……?」

「【主従契約】。成功すれば、【操法】やテレパシーといった超次元の力が使えるようになる」

「成功率はどのくらいです?」

「半々くらい。他には、体力が人間とは比べ物にならないほどつく。【主従契約】だから、僕の命令には背けないけど、やる?」

「はい。強くなれるのであれば」

「意思が固いんですね。成功しますよ、きっと」

 メドが林の背中を押した。

 林は笑顔を返す。


「全員がやってもらうことは可能ですか?」

「うん。大丈夫だけど、林君以外の人は覚悟できるかな?」

「貧乏暮らしで辛い日々の話を聞きました。覚悟できると思います」

「貧しい暮らしから抜け出せるなら、命を賭けることも厭わない、と」

 林の覚悟を受け止め、レオンは【主従契約】の準備にとりかかった。

 外に出て、人二人分が入れるくらいの大きさの円を描く。

 次に主であるレオンの血と従者になる林の血を地面に垂らした。

 円を更に細かく描いていって、【主従契約】の準備は万端だ。

 林の指の傷口に、レオンは邪力を少しずつ流していく。

「無理そうだったら、言ってね。初めは拒絶反応が出るから」

「わかりました」

 邪力をどんどん流し込んでいくと、林の穴という穴から、ドッと血が噴き出した。

「ごばっ……!」

「大丈夫かな。意識をちゃんと保ってね」

 レオンは林の苦しそうな顔を見て、心配した。

 人間を超えるというのは、生半可な覚悟では決して成し得ないこと。

 確固たる意思があって、初めて人を超える存在になれる。

 レオンは林を信じる。

 人の上に立つのに相応しい、彼の男気を。

「頑張れ、林君」

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