【創魔神】の目的とは、更なる混沌を生み出すことか
予感はしている。
神々同士の争いに巻き込まれることを。
そしてまたなんらかのハンデを背負う羽目になりそうだと。
何故ならば、神は争いが好きだからだ。
人間が欲望のままに何かをすることを赦さない。
栄耀栄華ほど神の嫌うものはない。
この世界は、神がストーリーテラーで、人々やそれらに近しい者達は、盤上で操られるチェスの駒でしかないのだと。
神がいなくなった世界は、きっと平和じゃない。
やはり人間も戦が好きだからだ。
特に、男は最強を好きな者が多く、競争社会に虐げられて感覚が麻痺していく。
戦こそが正義だと。
分け与える強さを持った優しさは、人間には真に理解できない。
神の嘆きは、天変地異としてやってくる。
『どうして強く生きてくれないのか』と。
こんなクソみたいな世界で、強く生きろと言われても難しいのが当たり前だ。
強く生きられる者ほど尊く、優しい。
人間達を苦しめ抜いて強く生きろと拷問を強いるのが神だ。
神は人を助けない。
助けられるのは自分だけだ。
神は人を愛していない。
一部の人だけを優遇する。
この世に多大な影響をもたらす人を。
神の怒りでこの世は何度もリセットされてきた。
大洪水は、あの時代に生きた人々にとって、悪夢のような出来事だったろう。
未だに、水難が絶えない。
今度も水が人々を襲うと、地球の名のある者達に予言されている。
この世の神は甘くないし、優しくない。
優しくて人々のために生きていた鬼山怜音が人間に裏切られ、殺されたように。
人間を操って物語をつくっているのだ。
鬼山怜音の人生は初めから決まっていた。
どんなに善行を積んでも、罪は消せないのだ。
生まれてきてしまったこと、それだけで罪深い存在だったのだ。
悪を裁く拷問一家なんて、死刑執行官よりも屍を築いてきただろうに。
拷問は巨悪を滅ぼすために必要だったのだが、優しい怜音にこそ拷問だった。
だからクソみたいな世界で、ちっぽけな存在として生きるしかない。
今度も必ずクソみたいな世界になる。
邪王の名を冠した時点で、そうに違いないと諦めていた。
ヤルダバオートを神王城の地下牢に一週間ほど放り込む。
その間、他の交換留学生達を地獄界に連れて行った。
地獄の炎渦巻く、紅の世界だ。
「地獄って、本当にあるんですね」
「オレは地獄の王。魔王だが、閻魔とも呼ばれているな。ここでオレは罪人を裁く。生きていようが、死んでいようが、お構いなく。オレと神王は代替わりするだろう。邪王のように、不滅の魂でもなんでもないからな」
「だが魔王の血は悪魔を生み出す」
「矛盾しているような気がするな。【創魔神】は何を考えているのか」
疑問を口にするレオン。
「この世を更に混沌にしたいのだろう。【創魔神】の姿を拝見したことはないが、我らより強いはずだ」
神王は目を閉じて、分析している。
混沌の世界にしたいのか、なんのために。
「邪王様よりも?」
「強ければ神になっているはずだ。我ら三王は強いものの、神には敵わないだろう。真の天敵は神で間違いないはずだ。邪王は不死だから、粘れば勝てるやもしれんな」
神王が答えた。




