自分の心に従って生きろ
レオンも負けてられないなと思い、帰ったらまた人口を増やそうと画策する。
目指すは、三億人だ。
魔王には負けたくない。
日帝の魔王城の上空に着いた。
そこでチラシをばら撒く。
魔王がレオンに気づいて、城から飛び出してきた。
風船を持って空に浮かぶ魔王。
「どうした? 何をばら撒いているのだ?」
「チラシだよ。明日からドラゴンライド試乗祭をやるんだ。魔王も来るよね。魔族のみんなにも来て欲しい」
「おれは付き添いみたいなものです」
「ああ、神族の。確か、メドだったか」
「覚えていてくれたんですね!!」
メドは感激のあまり、魔王に顔を近づけて唾を飛ばした。
怖い王なら、それだけで打ち首ものだが、魔王は怒らず顔をタオルで拭いた。
「オレは人の顔と名前を覚えるのは苦手だが、一度親しくなると忘れないタイプだ」
「そうなんだ。知らなかったよ」
「教えてないからな」
魔王は目を閉じて、フッと不敵な笑みを零した。
何故格好付けているのか、レオンはわからなかった。
魔王にチラシの大半を渡して、レオンは日帝を去ることにした。
「あ、そうだ。今度こども達を連れて温泉旅行しに来るからね。いっぱいいるから、貸し切りにする予定」
「ああ、オレの国は温泉を有名にしたい。他にも貴様みたいに企画を考えている。すべて上手くいくほどオレは頭が良くないがな」
「そんなことないよ。魔王は頑張っている。僕が保証するよ」
「邪王にそう言ってもらえるならば、ありがたい」
「邪王様は物知りですもんね」
「いやいや、そんなに物知りではないよ。ちょっと話がずれてないかな?」
「気のせいです、主様」
メドの代わりに、イコロスが言った。
そうか、気のせいかとレオンはさして気にした様子を見せなかった。
「じゃあね、魔王」
「ああ、またな邪王」
レオンとメドは魔王に手を振りながらイコロスの背に乗った。
翼で風を切って空高く舞い上がるイコロス。
メドは目を爛々と輝かせた。
「次は華国ですか」
「うん。まだ正式には国として認められていないから、(仮)だけど」
「神王様からお話を聞いています。人間の国なんて、と思っていましたが、貧しい人々が来たんですよね。可哀想です。幸せになって欲しいですね、こちらの世界では」
「可哀想か……。他人から見れば、貧しい人は皆そう映るのかもしれないけど。同情するだけで何もしないのは、無関心より他人を侮辱しているかもしれないよ?」
「……!」
日帝の首都、東響から大華共和国(仮)へ向かうには、西側へ北上していく。
イコロスは体力が有り余っているので、難なく華国(仮)に到着した。
「おれは失礼なことを考えていたのでしょうか」
「まあ、そうだね。考えるより先に行動で示すのが、善行だから。メドが善行を積みたいと思っているのなら、手を貸すとかしてみたらどうかな。喜ぶかどうかはわからないけど、少なくとも自分の心に従って生きるのがいいと思うよ」
「アドバイスありがとうございます、邪王様」




