邪王レオンと神族の絆
最初に行ったのは、アルカディア。
神王はあの音楽祭で起きた惨劇のあと、人口を一千万人に増やした。
城下町は大賑わいで、人がたくさんいて、空からの眺めは愉快だった。
地球のように人口八十億人ほどは多すぎると思うので、レオンは自分の国の人口は一億人までにしようと思った。
多すぎると覚えきれない。
生み出す責任もきちんと取りたいから。
レオンはイコロスの背に乗りながら、チラシをばら撒いていく。
神族達は何が降ってきたのかと驚いている様子。
「ドラゴンライド試乗祭をやるから、来てねー!!」
レオンは両手を振って、猛アピールする。
神族とは結構縁があって、仲の良い関係を築けている。
力の都合上、一番近しいのは魔族のはずだが、レオンが生き物を食べない主義なので神族に好かれるのだ。
神族は生き物を食べず、天からの恵みに感謝し、毎日の食事を摂っている。
レオンは神に感謝するという祈祷はしないが、今の自分が在るのはみんなのおかげだと確信している。
それには、神も含まれている。
「邪王様だ! こんにちはー!!」
「うちのお店、寄って行ってください!」
「邪王様とメドが開発したベッド、気持ちがいいです!」
「これからも発明家として、期待してます!!」
わーわーと大声で歓迎してくれる神族達。
レオンもニコニコと笑って、手を振り続ける。
国境を越える共同開発で、レオンと神族には絆がある。
「またメドと新しい装置つくるから、楽しみにしてて!」
「新しい装置って、どんな?」
「腕時計型瞬間移動装置だよ!」
「へー! どこへでも一瞬で行けるんですね!」
「うん! ドラゴンと会わせて、空の旅か一瞬で移動か、どちらも用途ごとに楽しめるよ!」
レオンはチラシをばら撒き終わって、神族の皆に挨拶する。
それからメドを呼んでもらって、アメリアで共同開発を手伝ってもらうことにした。
久々の再会だ。
「お久しぶりです。邪王様」
幼い姿のままのメドは、緑の髪を揺らして微笑んだ。
「久しぶり。元気にしてた?」
「はい。変わりなく」
「これから日帝と新興国予定の華国に行く。悪いけど、付き合ってくれるかな」
「悪いだなんて、とんでもないです……! ドラゴンに乗るの、初めてなので、胸がドキドキしています」
「それは良かった。存分にドラゴンライド楽しんでくだされ」
イコロスが破顔一笑して、メドに話しかけた。
「ドラゴンでの旅は、面白くなりそうです」
「ホント? じゃあ、明日からの試乗もやる?」
「チラシに書いてあったことですね。はい、試してみたいです。おれも神王様の許しを得て、旅に出てみたいので」
「これから短い旅をするようなものだけどね」
レオンはフフと可愛らしく笑って、メドを連れて日帝に向かった。
魔王はあれから学校を千校ほど増やし、人口を一億人に突破させた。




