初めまして、幼竜達
「悪い。昔のことを引きずっていた」
「ホントだよ。僕らは弱音なんて吐けない立場なんだからね? しっかりして。肩を貸して欲しかったら、貸すから。支え合える仲間でしょう。僕らは」
「邪王は本当に優しくて頼りがいがあるな。お前のこども達が少し羨ましい」
ふ……と目を細めて微笑を浮かべる神王。
レオンはキョトンとした。
「神王はそんな風に思ってたんだ」
「ああ。少し荷が重いからな、王の仕事は」
「そう。苦労してるんだね、神王は。僕は前世の頃と比べると大分マシになったけど。神王って、前世の記憶ないの?」
怜音は死んですぐ転生した。
なので、邪王レオンは前世の記憶が鮮明だ。
「俺は気づいたら、ここにいたからな。前世そのものもなかったのかもしれない。わからない、前世なんて考え出したら、キリがないじゃないか」
神王は頭を抱えて、力なく手を振った。
考えることを放棄する仕草だ。
レオンはそれ以上追及するのをやめた。
神王の心が壊れてしまうかもしれなかったから。
「そうだね。前世のことを覚えているのは、僕だけでいい」
レオンは神王の背中をさすって、気持ちを落ち着けさせた。
本音を言えば、前世のことを語り合える仲間が欲しかった。
誰も本当の自分を理解してくれない苦しみや悲しみ、それらすべてから解放されたかった。
今世では、そういう仲間に出会えたらいいと心の底から願っている。
大丈夫、一人じゃない。
昔みたいな、どこか虚しくて、孤独な王様じゃない。
自分には仲間がいる。
「では、国に帰る」
「うん。アクロスが送って行くよ」
「ありがたい。いつも助かる」
神王を見送ったあと、レオンは指を噛んで城下に血を垂らした。
誰もいない場所に向かって、新たな血族を生み出すために。
幼竜を三〇〇頭ほど生み出した。
四人くらい乗れるサイズだ。
そして恒例の謝辞が始まる。
幼竜達はレオンに跪き、一斉に唱和した。
「邪王様、生み出していただき、ありがとうございます」
「うん。これから竜生を謳歌してね」
早速幼竜達は大空を駆け巡った。
風を巻き起こしたり、大地を揺らしたり、口から金銀財宝を吐き出したり、城の上で大暴れ。
レオンは生み出した幼竜達にそれぞれ名前を付けてやった。
だが果たして親であるレオンは、間違えずに覚えていられるだろうか。
「お前達の兄は、邪竜イコロスと邪竜アクロス。炎と氷を操る強い竜だよ。お前達は息絶えるときまでずっとそのままの姿だけど、強くなることはできる。お前達が操っているのもまた、僕がつくった【操法】だ。金銀財宝を出す【操法】はないけどね」
「成長しないのですか?」
「うん」
「このフォルムも中々いいですね……」
一頭だけ幼体の姿を気に入った幼竜がいた。
シトラスという名前を付けた幼竜だ。
自分の身体を見回しては惚れ惚れしている。
レオンは気に入ってくれて良かったと満面の笑みを浮かべる。
「そうですか? 私は成竜になりたいです」
幼竜にしたのは、住み処を確保するためだ。
成竜だと場所がない。
幼竜で五mほど。
成竜で三十mは超える大きさだ。




