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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生 中編

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魔王の土産


 魔王と鬼女が邪竜イコロスに乗って、新婚旅行から帰って来た。

 レオンは魔王を重力操作で跪かせて、新婚旅行の話を聞いた。

 イコロスで【創魔界】一周旅行をしてきたそうだ。

 途中、大雨と暴風に煽られ、神聖アルカディア帝国で台風が過ぎ去るのを待ったらしい。

 二人の新婚旅行は波乱だったが、楽しかったと笑顔で話してくれた。

「それにしても、イコロスを勝手に使うとは」

 レオンは紅蓮城の廊下で、二人を正座させた。

 魔王の膝の上には、一トンほどの石を乗せている。

 少しは反省してもらわないとダメだ。

 魔王は自分に甘いところがあるから。

「すまない。二度目はない。ちょっと悪ふざけが過ぎたか」

「新婚旅行で浮かれる気持ちはわからなくもないけど」

「そうなのだ。気持ちが浮ついていた。土産を買ってきたので、どうか許してくれないか」

「土産話?」

「いや、海産物だ。邪王に教えられた通り、日帝では海産物の販売に重きを置いている。これで許してくれないか」

「ちょっと待って。自分の国の物を買ったの? 王である君が?」

「そうだが」

「それはなんだか、滑稽な話だ。二人で行って来たんだね」


 王ならば税収と同時に農作物や海産物を納めてもらえるように、(まつりごと)を操作すればいいのにとレオンは思った。

 王の言うことは絶対という信仰の下、無茶のない要求は国民全体に課せられる義務のはずだ。

 まさか、買うとは。

 魔王が自分の国で買った海産物は、もずくだった。

 レオンはパッケージされた、もずくを手渡された。

 これで許せということか。

「申し訳ありません、邪王様。許してください。タダ働きでもなんでもしますから」

「ううーん。鬼女がそこまで言うなら……」

 自分の娘に甘いところがあるレオン。

 手の平の上で転がされている気がしなくもない。


 腕を組んで仁王立ちしていたが、レオンは諦めた。

「恩に着る」

「着なくていい。それより、人の家族を勝手に連れて行ったことを反省して欲しい。今回は台風も来て、お客さんをもてなすのが大変だったんだから」

 レオンは魔王の膝に置いていた石を回収した。

 魔王は正座を崩す。

 レオンは魔王のこめかみを拳でグリグリした。

「痛い痛い」

「これくらいで済んで良かったと感謝して欲しいぐらいだよ。誘拐と一緒なんだからね? 今度イコロスに連れて行ってもらうときは、僕に許可を取ること。いいね?」

「ああ、わかった」

「よろしい」

「お騒がせしました、邪王様」

「ん」

 鬼女の正座を崩させ、レオンは二人を解放した。

 これからは魔王城で一緒に暮らすのか。

 寂しくはなるが、二度と会えないわけではない。

 たまの休みに日帝に寄って、土産を持って行こう。

 孫の顔が見られる日も近いかもしれない。

 自分は結婚していないのに。

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