ニートになるのは、本人のやる気の問題だけではない
だがそれも十九で死んだ今となっては、関係ない。
死んで、そのあと宇宙人に魂の抜け殻に仮初の魂を入れられて操られてしまったが。
犯人を見つけ出して、とっちめてやりたいところだ。
何故あんなことをしたのか。
一体何が目的なのか、尋問したい。
宇宙人の真の目的は、死んだ者を兵隊として操って、戦争を引き起こすことなのか?
「ねえ、あれから宇宙人どうしてるかな」
「さあ、知らないな。俺としては、二度と会いたくないが」
「そうだよね。神族が一番の被害者だ。……人間も嫌い?」
「ああ、嫌いだな。人間も悪だ。己の不幸を他人のせいにする輩が巨万といる」
「それはまあ、仕方ないところもあるよね。人間は弱い生き物だから。大成功できる人もいるし、大失敗する人もいるし。神は気に入った人間しか、助けないんだろうな。いや、信仰は求めるけど、神は人間を助ける気なんて、さらさらないのかもね。神族もそうなのかもしれない」
「俺の信仰を揺らがせるようなことを言う」
「神はいるんだろうけど、表立って助けるようなことはしないじゃない。そんな都合のいい神なんて、存在しないんだよ、きっとね。だから祈っても助けてもらえない人がいる。神様助けてなんて叫んだとしても、ヒーローのようにすぐ助けに来てくれないじゃないか」
口にはしなくとも、心の中で怜音は叫んでいた。
しかし、犯した罪が重すぎて神は助けてくれなかった。
新世界の神が鬼山怜音の魂をすくい上げたようなもの。
だが、不老不死は要らない。
待っているのは、どちらも地獄だ。
必ず皆に先立たれる。
どうにかして不老不死を解く方法はないだろうか。
レオンも今生では齢を重ねて死にたいのだ。
安寧のある死を求める。
それから、台風が一過した。
彼らは華国をつくるために、日帝を超える西北西方面へと向かう。
邪竜イコロスで送って行こうと思ったレオンだったが、いないのでアクロスを呼び寄せて送って行くことにした。
ここまでは無料でやってあげることにした。
「お世話になりました。邪王レオンさん」
「うん、元気でね。近いうちにまた会おう」
「私の人生が意味のあるものだったと思えるように、必死で生きますから。見ていてください」
「そう。頑張れ……は、余計か。見ているよ、君のこと。応援してる」
「わたし達も頑張る」
「せっかく貧民から脱出できたので、精一杯働きます」
「俺の民も少しは見習って欲しいものだ。最近、皆仕事をサボリ気味でな」
「王である君が一言言えば、変わるよ」
「自主性を重んじたいんだ。命令するのは、気が引ける」
神王の悩みは、こども達がいきなりニートになったと言っているようなものである。
現代日本では、深刻な問題になりつつある。
しかし、ニートになるのは、燃え尽き症候群や過度な虐めによってなどであり、本人だけのせいとは限らない。
頑張り屋だった者が、ある日突然、疲れて何もかも投げ出してしまうようなこと。
周りの人間が本人に働けと言ったところで、意味はない。
誰も理解してくれない、誰も慰めてくれないのであれば、虐めに加担されているのと同じだ。
働きたくないからではなく、働けなくなるのだ。
努力したくないのではなく、努力できなくなるのだ。
本人のやる気の問題と一口に決めつけてしまってはいけない。
心のケアが大切なのだ。
レオンの生み出した血族は皆働き者だが、体力あってこそだ。
体力の少ない神族は働くのが大変なのだろう。
レオンはアクロスを見送りながら、そんなことを思考していた。
「イコロスがいないのは、魔王のせいだと思う?」
「ああ、多分」
「やっぱりね。帰って来たら、惚気話を聞きながら、おしおきしてやろうっと」




