孫子の生まれ変わり? 林慈雨
【創魔界】に帰って来たレオン達。
今はノースアメリアの紅蓮城の大広間にいる。
今回は交換留学ではなく、移住計画に変わった。
貧民だが良識はあるらしい移住予定者達。
二人の男女だけが貧民ではなく、きちんとした教育を施された人間だ。
貧民達は言語に難があるので、コミュニケーションに苦労した。
レオンは言語理解の邪法を行使。
すると、一瞬で言語を理解してくれて大助かりだった。
邪法万歳と心の中で感動するレオン。
孫子の生まれ変わりと称される、眼鏡をかけた、如何にも賢そうな黒髪黒目の中国人男子、林慈雨が、国づくりについてレオンに相談する。
「初めて来ましたが、こんな世界があったんですね。戦争は起きますか? どんなときも万全に備えておきたいです。それから私達は人間ですが、貴方がたと違うところなども教えていただきたいです。礼儀や文化なども」
眼鏡をくいっと押し上げて、冷静に質問してくる。
「ここはできてから数百年程度の短い歴史しか持たない。僕の年齢イコールこの世界の歴史だよ。戦争は遠い未来に必ず起こると神に言われている。今すぐじゃないけど……。僕らには天敵がいるんだ。神王はそうじゃないかもしれない。聖力っていう、特殊なエネルギーを持った宇宙人」
「宇宙人……? グレイとかですか」
「さあ。見た目ではわかりづらい。人間に化けられるそうだから。僕も人間に化けられれば便利なんだけどね」
「そうですか……。鬼、なんですよね? 人を食べたりするんですか?」
「とんでもない! 人を食べることはしないよ。血をもらうことはあるけど。僕は【血鬼】。【赤鬼】とも呼ばれている。人の血をもらうと身体能力が向上するから、【血鬼】。血を操ることもできる。吸血鬼とは違う」
「へぇ……。怖くない鬼もいるんですね」
「怖くないは余計だよ」
妖怪の中で最上位種とされている鬼。
その鬼達を束ねるのがレオンだ。
「人間と違うところとか、文化やマナーについても訊いていたね。一番ビックリするところは、排泄機能がないところかな。【創魔界】の生物はみんなそう。僕は邪王だから、食べ物を摂取すれば邪力というエネルギーに変わる。飲んだ血も同様。食事をしてもトイレをすることがない生き物なんて、ここで生まれた生き物以外いないんじゃないかな? あれ、蚊はトイレしないんだっけ?」
「蚊は専門外なので、わからず……。そうなんですね。まるでアイドルみたいですね」
「アイドル……。君の言っているアイドルは人間でしょう? トイレしないの妄想は流石にやばいんじゃないの?」
「一部のドルオタは本気でそう思っています」
「そう……なんだ。で、文化やマナーだけど、特に変わったことはないよ。生き物を食べることを禁じているから、ちょっと窮屈かもしれないけどね。けど、魚を食べないとDHAが摂れないか。栄養不足はサプリメントで補ってもらうしかないね。生物や環境、それと術が特殊なだけで、あとは地球とあまり変わらないかな」
移動手段がドラゴンなのは、異世界だからということで、大事なところを省いた。
林慈雨はへぇーと感心する。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。林慈雨です。宜しくお願いします、邪王レオンさん。林でいいですよ」
林慈雨は空に文字を書いて、レオンと握手した。
林は日本でよく目にする苗字なので、はやしと読むことにした。
「僕の名前は知ってたんだ。ここの世界の通貨はドンだよ。神聖アルカディア帝国っていう国が、最初にあったんだ。中国の歴史には敵わないけど、一番古い国だよ。名前の通り、神聖な国」
「行ってみたいですね」
「トイレはないよ」
「それは困ります」




