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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生 中編

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プロローグ 悪夢


 中国人が邪王レオンとの【主従契約】で、人間を卒業した翌日のこと。

 レオンは夢を見た。

 この世界(アルケミア)が繁栄していき、人も魔物も神もすべてが共存し、力を合わせて世界を守る夢を。

 これは夢だと自覚するレオン。

 明晰夢に変わる。

 夢の中でレオンは紅蓮城の上で浮遊していて、血族のみんなは剣や盾を構えて上を睨んでいた。

 空にいるレオンを。

 嫌な夢だなとレオンは苦い顔をしつつ、みんなにテレパシーを送る。


『こらこら。みんな、そうカッカしないでさ。なんか、僕悪いことしたの? 覚えがないから、教えてくれるとありがたい。好戦的なのはいいけど、僕に牙を剥くのは、ちょっとなー』

 レオンは頭をかき、みんなを緩く咎めた。

 そこで、髪の毛がないことに気がつく。

『黙れ! 邪王レオン様の名を騙る不届き者めが! レオン様をどこへやった! 言え! 言わねば、貴様の首をへし折るぞ!』

 貴族に任命した鬼頭――禿頭で龍の刺青を入れた大男――が、悲痛の叫びを上げる。

 それに煽られて、血族の皆が『そうだ、そうだ! レオン様を返せー!!』と叫び出す。

 まるで国政に怒り、国王を血祭りに上げようと言わんばかりの勢いで。


『ちょっと待って! 僕は邪王レオン!! みんなの父親で、このアメリア王国の王だよ!! なんで届かないの、僕の声が!!』

『この嘘吐きめ!! レオン様はそんな下卑た姿ではない!! 崇高なるお方だ!!』

 鬼頭が手鏡を持ち出して、こちらへ向けた。

 眩しい光が反射する。

 そこに映っているのは、地球でグレイと呼ばれる宇宙人の姿だ。

 レオンは驚愕した。

 頭と黒目が大きく、身体が異様に小さい自分の姿に。

 これは自分ではないと言い聞かせるも、真実を映し出す鏡が許さない。


『僕は……っ! 僕は宇宙人じゃない!!』

 レオンは血を吐きそうな勢いで叫ぶ。

 この姿は真のものではない。

 誰かに謀られたのだ。

 自分は重力を主に操る邪王で、妖の【血鬼】で、【創世の三王】だ。

 他の誰にもならない、唯一無二の存在だったはずだ。

 これは悪夢。

 実際に起こり得ない単なる夢の話だ。

 何も怖がる必要などない。

 だのに、胸騒ぎがして冷や汗が流れてくる。

 二百年以上築き上げてきた絆は、そう簡単には砕けないと信じたいのに――。


『やあみんな、お待たせ。僕が邪王レオンだよ』

 紅蓮城の壁を上っていく、不敵な笑みを浮かべたレオン。

 赤髪赤目で黒のマントと赤い着物に身を包んだ、正真正銘の邪王レオンの容姿だ。

『レオン様ー!! そんな宇宙人、やっつけてくださいー!!』

 全身ほぼ真っ赤の【血鬼】の自分の姿だ。

 そして太刀を手にして、レオンの魂を持った宇宙人に肉薄する。

『悪の宇宙人は、僕が滅ぼす』

 憎しみを孕んだ目つきで、宇宙人の姿になっていたレオンの首を斬り落とした。

 達人さながらの手さばきで、綺麗に両断される宇宙人の首。

 ゴロリと転がり、血しぶきが上がる。


(僕が本物の邪王レオンなのに……目の前にいる僕は、一体誰……?)

 そこでレオンは目が覚めた。

 酷い汗を寝間着がびしょ濡れになるまでかいていた。

 首元を触ってみるが、首はくっついている。

 あの残酷な邪王レオンは、本当に自分だったのか?

 どうして自分が宇宙人になっていたのか?

 あの夢はわからないことだらけだ。


 もし宇宙人に、魂だけを入れ替える術を使う者がいたとしたら――、レオンが乗っ取られたら、この世界は終焉を迎えてしまう。

 ベッドの布団から出て、洗面所へ向かう。

 鏡を見ると、汗だくで苦虫を噛み潰したような表情をしたレオンがいた。

「夢で……ありますように」

 レオンは唇を噛みながら願った。

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