おまけ 刻紋を彫ろう
急遽アメリカへと渡ったレオン達。
空船が上空にまたぱっと出現するような感じだ。
目撃者は携帯電話で写真を撮って、わっと湧いているかもしれない。
空船は一般人にも視認できる次元移動可能船。
若干脆いのが難点だ。
地球の季節は夏。
真夏の日差しが身体を焼く暑さになっているはずだが、結界を貫通してこないので、涼しい顔をしているレオン達。
大統領邸に着いたので、レオンは大統領を呼ぶ。
「大統領ー! こんにちはー! 邪王レオンだけどー、お詫びをしに来たよー!」
「オレ達もついでに来た」
「すまなかったと俺も詫びを入れようと思う」
監視カメラにばっちりと映っているだろう、三王の姿は。
大統領とそれを取り囲むSP達が出て来た。
三王の前では無力なSPだが、雇うのをやめなかったのか。
宇宙人にも太刀打ちできないだろうに。
「何か用か? 邪王レオン」
「いや、最初の頃さ、今もそうなんだけど――不法入国しちゃったじゃん? 悪いことしたなーと思って、武器も壊しちゃったし、ほんのお詫びに、身体が若返って寿命が延びるベッドをプレゼントしようかと。それで思い立ったが吉日ってなわけです」
レオンは目線を逸らして、頭をかき、言いにくいことを話した。
大統領は目を輝かせて、話の続きを促す。
反応がいい。
「それを起動させるには、刻紋っていう、特殊な次元上昇痕が彫られてないといけないんだけど……首都に彫ってもいいかな」
「構わん! 金は要らんのだな!」
「うん。怪我や病気も一瞬で治る便利な装置だよ」
「そんなものを寄越すとは……太っ腹だな!! 許そう、過去の過ちなど。今が良ければ、それで良い!!」
豪快に大統領が笑って、レオンの背中をバンバンと叩いた。
大統領の手が腫れ上がった。
レオンの結界は等倍返しの結界。
かけた痛みと同じ痛みが返ってくる。
何倍返しの結界などに設定すると、脆くなるので等倍返しの結界を張っている。
レオンは結界のおかげで無傷だが、結界を張っていなかったら負傷する。
結界を破られると無意味。
大統領は驚いていたが、その痛みはクロノベッドで治るので、問題ない。
ワシントンD.C.で刻紋を彫って、五次元の世界とリンクさせる。
この作業はいつもより疲れるので、神王も魔王もくたくたになった。
体力が無尽蔵のレオンだけはピンピンしていた。
「大きな円、とその中の小さな円。五羽の鷹と何やらよくわからぬ文字が、大きな円の内側に描かれている……これが刻紋か」
「よくわからない文字は、こっちの世界の言語、アルカディア語だよ」
「アルカディア語……」
「アルカディアだけじゃなくて、もう二つ国ができたんだ。大統領が初めての交換留学を許してくれたおかげだよ」
「ああ……そうだったか」
「いつか【創魔界】に遊びにおいでよ。歓迎するからさ」
「そうしよう」
「クロノベッドは百万台プレゼントするから、一般庶民の人達にも使わせてあげてね」
レオンは大統領と握手を交わした。
大統領はニッと笑って、
「ありがとう。君と出会えたことを誇りに思う」
「こちらこそありがとう。大統領が何故当選したのか、わかった気がするよ」
同じ、上に立つ者として、二人の心は通じ合った。




