おまけ アメリカに不法入国したじゃんか
とある日のこと。
魔王城に集まっていた【創世の三王】は、お茶会を開いていた。
魔王の側近、巫女のセリカが茶菓子と緑茶を持って来る。
セリカは魔王と同じ金髪赤目で、セミロングの女性だ。
魔王の着ている軍服のような服のタイトスカートバージョンを履いている。
着物を着るときもある。
ビシッと決まったキャリアウーマンのような雰囲気を醸し出していた。
円卓テーブルに着いて、三王はトランプをしていた。
「あともう少しでロイヤルストレートフラッシュだったのに……」
「そう簡単にはいかないな」
「邪王ならば、運も操れるだろう?」
「ここまで負けなしだものな。お前は本当に強い。俺も少しくらい勝てる人物だったならば、神族の皆にもっと尊敬されていただろうか」
「神王が負けなしだと、本物の神みたいだね」
「違いない」
「面白そうなお話をされていますね。ですが、私達の神には敵いませんよ。フフ」
セリカが三王の話に割って入った。
セリカの言う神とは、魔王のことだ。
創造神ヨウゲツのことではない。
創造神が生み出したのが魔王なので、父である魔王の父として崇める対象になりそうなものだが、魔族や悪魔は魔王のみを唯一神として崇める。
上位存在など無視だ。
だが魔王と同格の三王には、敬意を払って様付けしている。
腹の中では、『我らの魔王様一番!』だろうが。
「セリカ。だが貴様の父は、負けまくっているぞ。邪王レオンに」
「いやです! いやです! そんな状況、認めません!!」
セリカはぶんぶんと首を振る。
駄々を捏ねるこどものようだ。
「邪王様は運を操れるんですか!! 見せてください!」
「えーと……それはわからない。ただ、負けたくないと思っていたら、勝手に勝っていただけで……僕自身も自分の能力を把握しきれていないところはあるよ」
「とすると、運のいい奴には普通に負けてしまうのか?」
「そうかもしれない」
「アメリカに不法入国したときも、何もなかったものな。邪王というか、三王のオレ達の運がいいのか? その中でも突出して運のいいのが邪王ではないのか? 創造神ヨウゲツのお気に入りだそうだな」
レオンはハッと気が付いた。
そういえば、アメリカに行ったときはなんの連絡もせず、空船で大統領の家に押しかけて、魔王が武器を溶かしたのだった。
よく考えてみれば、怪しさ満点の鬼強三人組だったのに、すんなりと話が通ったのは、何故だったのかと今更だが気がかりだ。
レオンは前世でアメリカとは縁があるし、故郷だからと忘れていたが、国籍は日本なので本来やっちゃいけないことだったのだ。
大統領が心の広い人物だからどうにかならなかっただけで、今世も鬼山怜音でいるつもりならば、詫びを入れに行かねばなるまい。
レオンはキッと魔王を見据えて、口を開く。
「謝りに行くよ」
「何? 今から?」
「詫びを入れるのに、ちょうどいいものがあったんだ。刻紋を彫って、クロノベッドをあげる。それで許してもらおう」
レオンはグッと拳を握り締めて、宣言した。




