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旦那様のお仕事はハーレムです~商人チートで最強領地~  作者: 葛餅もずく


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9.領地再生計画 ③

「水上夢幻都市ラグジュアリア……」


 色々と妄想していたユーリの口から、そんな言葉がこぼれ出た。

 その言葉に、リーゼロッテとオフィーリアが顔を見合わせ、興味深げに目を細める。


「……貴方様、それは一体……」


 オフィーリアの静かな声に、ユーリはハッと我に返り、照れ隠しに頭を掻きながら軽く笑った。


「あ、ごめん、まだ構想段階なんだ。まずはサロンを軌道に乗せて、産業振興と農業改革を進めてからだね」


 ユーリの言葉に、リーゼロッテが少し考え込んでから口を開いた。


「ただ、サロンを中心にするなら、石鹸はいいとしても、蝋燭や食器、それに絹織物は別の場所で販売したほうが効率的かもしれませんね」

「そうですわね。美に関する商品はルナ=ノワール商会で展開し、それ以外の品はサント=エルモ商会に卸すのが賢明ですわ」


 オフィーリアも、リーゼロッテの提案に賛同してうなずいた。


「そうだね、サント=エルモ商会には融資してもらってるからね、それがいいかも」


 ユーリも納得した様子でうなずく。

 そのやり取りを聞きながら、リーゼロッテがふと思いついたように首をかしげた。


「そういえば、ユーリ様の商人ギフトは、金貨や銀貨でしか取引できないのですか?」

「うん? いや、別に貨幣じゃなくても……宝石とか換金できるものであれば、大丈夫だったはずだよ」


 ユーリがそう答えると、リーゼロッテが少しホッとした表情を浮かべた。


「もしかして、王国から大量の金貨や銀貨が消えるのを心配してた?」


 ユーリは彼女の意図に気づいてそう尋ねる。

 王国の経済にできるだけ影響を与えたくないと考えてはいるものの、現時点では良いアイデアが浮かんでいるわけではなかった。


「はい。どれぐらい引き合いがあるか次第でしたが、それが王家にとって深刻な問題と判断されれば……国家大逆罪に問われる可能性もあります」


 ユーリは眉をひそめた。

 「国家大逆罪」という言葉が、重く胸に響く。


「……そこまで?」


 彼が問うと、リーゼロッテは小さく頷き、抑えた声で続けた。


「最悪の場合、一族全員が処刑される危険性もあります」


 困惑しているようにも見えたが、彼女の瞳は真剣にユーリを見据えている。

 それが、彼女の懸念の深刻さを物語っていた。

 ユーリはリーゼロッテの視線を受け止め、ゆっくりと問いかけた。


「でも、宝石を買うのにもお金が必要だし、商人ギフトで宝石が消費されれば、結局同じように消えることになるんじゃない?」

「金や銀が消えることに比べれば、宝石が多少減っても、日常生活にはほとんど影響がありませんわ。ですから問題ございません」


 リーゼロッテが穏やかに微笑みながらそう答えた。


(あれ? ロッテってもしかして宝石にはあまり興味がないのかな?)


 ユーリはそんな引っかかりを感じつつも、目の前の課題に意識を向け直し、尋ねた。


「商人ギフトで宝石を使うとして、その宝石を買うお金はどうするの?」


 すると、リーゼロッテが待ってましたと言わんばかりに、明るく微笑んで答えた。


「それなら、献上の儀でいただいた宝飾品を使いましょう」

「えっ、貰い物を売るの?」


 彼女の大胆な提案に、ユーリは驚いた声を上げる。

 その瞬間、ふと前世の記憶が蘇った。


 寿引退を控えたキャバ嬢に送ったプレゼント。

 それがネットオークションに出品されているのを見た時、ユーリは衝撃で、次の日は出社できなかった。

 未練や切なさに揺れながらも、彼女の幸せを願って自分を納得させた夜。

 「大人になったな」と涙したその夜のことを、ユーリはしみじみと思い出していた。


「えっ、売らないのですか? ユーリ様はお母様を寝取られたいのですか?」


 リーゼロッテが「まさか、そんな趣味が……」と愕然とした表情を浮かべる。

 それを聞いたユーリも同じく愕然とする。


「え、なんで? だって、贈り物だよね?」

「貴族女性にとって、結婚して子供ができてからが恋人をつくるチャンスなのです。男性が自分の宝石を送ることで、『旦那に飽きたら自分が愉しませてやる』と宣言しているようなもの。ですから、その宝石をつけて夜会に出るということは、『貴方との不倫をお受けします』という暗黙の了解なのですよ?」

「は?」


 ユーリは、リーゼロッテの説明を聞いて呆然と彼女の顔を見つめた。

 信じられない思いで頭が真っ白になる。


「旦那様、それは本当ですわ。私の母も愛人を作っていますし、宮廷愛であれば、奥方様の半数以上がそうしていますのよ」


 クロエが額を押さえながら、淡々と付け加えた。


「だ、駄目だ! そんな宝石は即刻処分して!」


 ユーリは両手で机を打ち付け、勢いよく立ち上がりながら叫んだ。

 その声が部屋に響き渡り、リーゼロッテたちは驚いた顔を見合わせる。

 ユーリは拳を握りしめ、低く呟いた。


「どうりで宝石類が多かったのか……あとで、宝石を贈った男たちをリストアップしないと……」

「良かったです、ユーリ様にそんな危篤な趣味があったらどうしようかと悩んでしまいました」


 リーゼロッテがほっとした様子で微笑む。


「そうね。夜の見学会を開くサロンもあるらしいけれど、貴方様がそんな趣味をお持ちでなくて本当によかったわ」


 オフィーリアも微笑んでリーゼロッテとともに胸をなでおろす。


「そんなサロンがあること自体驚きだよ! そ、そんな趣味は無いからね!」


 ユーリは思わず顔が赤くなり、椅子に腰を下ろした。

 彼が落ち着いたのを見て、リーゼロッテが声をかける。


「当面の仕入れは賄えたとしても、その後も安定して宝石を確保しないといけませんが、どういたしましょうか?」

「そうだね、サント=エルモ商会に相談するとして、いずれは自分たちでも作りたいよね」


 ユーリが何気なくそう言うと、リーゼロッテとオフィーリアが「この方は一体何を言っているの?」という表情で彼を見つめた。


「ユーリ様。レーベルク男爵領に宝石を入手できるダンジョンなどありませんよ」


 リーゼロッテが優しく諭すと、ユーリは少しムキになって答える。


「そ、それぐらい知ってるよ。ダンジョンのほとんどは自由都市同盟にあるんでしょ?」


 リーゼロッテは上品に微笑みながら言った。


「良かったですわ。常識知らずのユーリ様にも、ちゃんとご存じのことがあって」

「何気に酷い!」


 とユーリが抗議すると、隣にいたオフィーリアも口元に笑みを浮かべる。

 リーゼロッテは肩をすくめて、冗談はさておきというように問いかけた。


「それで、どうやって宝石をお作りになるおつもりですか?」


 ユーリは前世の記憶をたどりながら、少し考えて答えた。


「できるか分からないけど、後宮にある湖で真珠を育てられないかなって」

「ほんとうに湖で作れるというのですか?」


 リーゼロッテが驚いて聞き返すと、ユーリは少し自信なさげに答えた。


「うん、専用の貝を育てればできるはずだから、気長に試してみようかと思ってる」


 それを聞いたオフィーリアが、クスッと笑いながら言った。


「もしダンジョンでしか採れない真珠が湖で採れるようになったら、宝石の仕入れ問題も一気に解決ですわね」


 ユーリは少しふくれっ面になり、口を尖らせた。


「あっ、その笑い、信じてないな~。いつか絶対驚かせてやるから!」


 リーゼロッテとオフィーリアが顔を見合わせて微笑む。

 軽く一息ついた後、オフィーリアは真面目な顔に戻り、ユーリに尋ねた。


「それはさておき、貴方様は美容薬液をおいくらで売るおつもりですの?」


 少しモヤモヤしながらも、ユーリは少し考えてから答える。


「それなら、リアとロッテで好きに決めてくれていいよ。仕入れは最低でも金貨一枚からかな」


 ユーリの軽い返答に、オフィーリアは目を細め、わずかにため息をついた。


「はぁ……一番大事なとこではなくて?」


 彼女の静かな指摘に、ユーリは苦笑する。


「はは、それだけリアとロッテを信頼してるってことだよ」


 軽く流そうとしたユーリの言葉に、オフィーリアは腕を組み、唇を尖らせた。


「体よく仕事を押し付けたいだけでしょうに。まぁ、貴方様に任されて悪い気はいたしませんわ。せいぜい頑張らさせて頂きますけど」


 彼女の冷たい一瞥に、ユーリは一瞬視線を逸らし、気まずそうに頬を掻いた。


「ま、まあ……頼むよ」


 一方、リーゼロッテはそのやりとりを見て、小さくため息をついた。

 リーゼロッテは顎に指を当て、少し考え込んだ後、クロエに視線を送った。


「クロエさん、仕入れが金貨一枚の場合、どのくらいの価格で売るのが適切か、簡単に計算してもらえますか?」


 クロエは頷き、手元の帳簿に羽ペンを滑らせる。

 ペンが走る音が静かに響く中、冷静な声で答えた。


「運送費や護衛費、通行税、市場税、関税、消費税……さらに店舗の賃貸料や従業員の賃金、小売商ギルドの年会費、店舗の警備費も考慮すると、最低でも金貨一枚程度のコストはかかりますね。きちんと試算しなければなりませんが、貴族向けということでしたら、最低でも金貨五枚以上にしたいところです」

「えっ、そんなに高くして売るの?」


 クロエが設定した金額に、ユーリは驚いて頭の中でその数字を反芻した。


「当たり前ではありませんか? セリーヌ様のおっしゃっていた通り、肌がプルプルのピチピチになりましたのよ」


 オフィーリアが真面目な表情で続ける。


「貴族向けの商品ですから、高値でないと逆に信用を失いますわ」


 そう言って胸を張る彼女に、ユーリは唖然とした。


(でも、まぁ、高付加価値商品だから良いのか? そもそも、前世で美容液なんて買ったことないしな……)


 自分の知識の限界に気づき、ユーリは小さく息を吐く。

 そんな彼を見ていたオフィーリアが、くすりと微笑んだ。

 彼女は自分の頬に手を当て、弾力を確かめるようにそっと触れると、


「大丈夫ですわ。私も毎日使っていますが、肌が若返ること間違いありませんわ」


 自信たっぷりに微笑む彼女の肌は光を受けて艶めき、隣で見ていたマーガレット、クロエ、リリィが思わず息を呑んだ。


「素晴らしいわ……」


 マーガレットが感嘆の声を漏らし、クロエは羨ましげに呟く。


「な、なんですかその肌は……ま、まあ、それほどの効果なら金貨十枚以上の価値があってもいいですね」

「さ、さすが漆黒の月華姫様です……す、すごいです……」


 リリィが震える声で、心からの称賛を漏らす。

 ユーリは彼女たちの反応に思わず苦笑した。


「み、みんな興味津々なんだね……」


 マーガレットたちは少し恥ずかしそうに咳払いをし、何でもなかったかのように表情を整えた。


「それはそうでしょう。美は女性にとって永遠の憧れなのですから」


 オフィーリアはため息をつき、


「貴方様、女性がどれだけ殿方のために自分を磨いているか、ご存じありませんのね」


 と、少し呆れた表情で呟いた。


「あとで皆さんにも少し分けて差し上げてはいかがです?」


 その提案に、マーガレットの瞳がぱっと輝く。

 ユーリはそれに気づいて微笑みながら頷いた。


「そうだね、あとで渡すよ」

本作をご覧いただきありがとうございます!


ユーリ君とハーレムの愉快な仲間達の後宮生活&領地改革を応援したい!

と思って頂けましたら、

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