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旦那様のお仕事はハーレムです~商人チートで最強領地~  作者: 葛餅もずく


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61.再会 ②

 ***********


 隣で「ん……ふふ……」と甘い寝息を立てるオフィーリア。


(……え、マジで? 本当に出すつもりなの、この手紙……?)

(“昨夜のお楽しみ報告書”とか、正気かリア!?)

(しかも“忠実なるしもべ”って……いやいやいや! 忠実どころか、王太后に正面から喧嘩売ってるんですけど!?)


 その幸せそうな寝顔を見ながら、ユーリの脳裏に浮かんだ言葉は、ただひとつ。


 ――女の戦、こわっ。


 そんな“嵐の夜”を終えた本日。


 オフィーリアは王太后陛下との面会へ。

 イレーナたちはギルド本部、アイナは竜族親子の観光案内。

 そしてユーリは、アリシアと共に星導教会へ。


 頬に熱を残したまま、ふと昨夜の残像が脳裏をよぎる。


(……やっぱり、ドロワーズって色気ないよな……スケスケの……いやいやいや!!)

(――って、俺、何考えてんの!? 変態か!? 変態すぎるだろ!!)


 ぶんぶんと頭を振り、必死に誤魔化す。


(違う! 産業革命だ! 文明の担い手だ俺!)


 必死の言い訳もむなしく、アリシアが横目でふっと微笑んだ。

 ――「分かってますよ」と言いたげに。

 全部聞かれていた気がして、耳まで真っ赤になる。


 そのとき、回廊の向こうから神官服の列が静かに歩いてきた。

 視線が、先頭を歩く女性に引き寄せられる。


 神官服をまとっているのだが――

 陽光を受けて透けるような絹のドレスは、胸元が大胆にカットされ、柔らかな谷間を真珠のように浮かび上がらせている。


(煩悩に勝つ修行か?)


 その後ろには、純白の女性用神官服に身を包んだ美少女たちが五人ほど、静かな足音を揃えながら、列になって歩いてくる。


(無理でしょ!! どう考えても無理!!)

(俺の後宮ハーレムより凄いじゃんこれ……)

(大聖院? いやもう絶対、エロ院だよね!!)


 甘いうら若き乙女の香りが重なって渦を巻く。

 危うく凝視しそうになって――慌てて下を向く。

 衣擦れの音とともに、すれ違う行列。


 そして、最後の一人とすれ違った瞬間。


「……兄さま……? もしかして……ユーリ兄さま?」


 耳元にそっと触れるような、あまりにも懐かしい声。

 時が――止まった気がした。


(……この声……まさか)


 胸の奥で、何かが弾けるように跳ね上がる。

 無意識のうちに顔を上げていた。


 静かに振り返った視線の先――心臓が激しく脈打つ。


 長く伸びた青い髪が、陽光を帯びて淡く輝く。

 リボンが風に揺れ、肩にかかる柔らかなカールがなびく美少女。

 その瞳は――涙をこらえるように震えていた。


(……誰……だ? いや……知らないはずなのに……)


 胸の奥から聞こえる声。


『またあの時のように手を離すのか?』


 記憶の奥底を、遠い夏の日のような感覚がかすめていく。

 掴もうとしても、指の隙間から零れ落ちるように形を成さない――

 けれど、胸の奥が妙に熱くなる。


 気づけば、視線が彼女の輪郭を追っていた。

 首元で交差するストラップが鎖骨をすべり、白い肌の曲線をより際立たせる。

 艶やかな唇に、すっと通った鼻筋――どれもが“幼さ”とは遠く、大人びた艶を秘めていた。


(知らないはずなのに……知ってるって叫んでる……)


 肌に吸いつくような絹地が、ウエストで結ばれた帯によってさらに引き締められ、

 そこからふわりと広がるスカートの揺れが、まるで艶やかな花が咲く瞬間のように美しい。


「……本当に……ユーリ兄さま、なんですね……」


 その声は、風に溶けるように儚かった。


(……『ユーリ兄さま』って……)


 記憶の底から呼び起こされる、優しく甘えたあの声。

 そう呼んでくれた子は――たったひとりしかいない。


(まさか……本当に……ミュゼリアナ……?)


 呼吸が浅くなる。胸の奥で、心臓が痛いほどに脈を打っていた。


 そのとき、彼女が――ミュゼリアナが、

 胸元でそっと手を重ねるようにして、指をきゅっと絡める。


 祈るような、あるいは、確かめるような仕草。

 それだけで、胸が締めつけられるような思いがこみ上げる。


「あ、あぁ、もしかして……ミュゼ……か?」


 その言葉に、彼女は小さく息を呑んだ。

 そして――瞳から、ぽろりと涙が零れる。


「……はい……っ」


 震える声で、ミュゼリアナが小さく頷く。

 涙を拭おうとはせず、そのまま微笑んだ。


 やがて、彼女の手がふらりと空を掴むように動く。

 気づけば、一歩、また一歩と、ユーリへと歩み寄っていた。

【あとがき】

読んでいただきありがとうございます!


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