表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旦那様のお仕事はハーレムです~商人チートで最強領地~  作者: 葛餅もずく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/237

60.大王太后陛下ヴィクトリアとの密会 ⑧

 その隣――ヴィクトリア大王太后陛下は、紅茶のカップを唇に運びながら、ふわりと微笑む。


「ええ、本当に……素敵」


 そして、ごく自然な動作で――

 机に置かれていたブラジャーを手に取ると、カップの縫製部分を親指でなぞるように撫でた。


「年齢的に、着るのは難しいかもしれませんけれど……でも、これはね……持っておきたくなるわ。

 お守りのように、女の矜持として」


(お、お守り!? 女の矜持!?)


 ガストンは口元を引きつらせながら、紅茶を手に取る。


「はい、その効果は凄まじいですわ。コレを着て旦那様と床に入ろうものなら、徹夜間違いないしでしたから」


 その一言が放たれた瞬間――

 ガストンは、紅茶を飲む手をピタリと止めた。


 ユーリは少し恥ずかしそうに後ろ頭を掻いている。


(徹夜!? “床入りして”徹夜!!?)


(そ、それは……あれか!? つまり、夜を明かすほどの――あれ、じゃな!?)


 ガストンの額に冷や汗がにじむ。


「そういえば、エリゼさんもエレナさんも、すごく着け心地が良いって喜んでましたよ」


 ユーリは無邪気な笑顔で、まるで「今日の献立が好評でした」とでも言うようにさらりと口にする。


 ――その瞬間、ガストンの胃が、きゅううっと鳴った。


(ぬぅっ!? エリゼ……着用済み、確定……!?)


 さらに追い打ちをかけるように、アイナが紅茶ポットを持ちながら、横でぼそりと呟いた。


「旦那様の場合、脱がせがいがあって……良いのでは?」


(なにぃぃぃぃぃっ!?)


 紅茶の香りが、胃酸とともに逆流しそうになる。

 こめかみに青筋が浮かぶのを感じながら、ガストンの脳内で警報が鳴り響いた。


(まてまてまて、できるのか!? 本当に、徹夜で“それ”を!?)


(いやいやいや……それは体力がッ! 持たんじゃろ!!)


(常人ならせいぜい二回、いや三回……いやいやいやいや!)


 脳内の計算機が唸る。

 思考は完全に“戦力分析”モードへ。


(いったい何回戦を想定しとるんじゃ……!? 下着の力だけで徹夜じゃと……!?)


 そしてふと――最悪の可能性がよぎる。


(……もしかして、エリゼも……すでに徹夜済み……なのか……?)


(ぬぅぅぅっ……! いや、まだだ! あの娘はそんな軽はずみな娘では……)


(……いやしかし、あやつ、時々とんでもないことを……)


(というか、娘との夜伽を聞かされるとか、どんな罰ゲームなんじゃぁぁぁっ!?)


 机に突っ伏しかけたそのとき――


「……“夜が明けるほどの満足感”って、宣伝文句にしてもいいかもしれないわね」


 ルクレティアが、艶やかな笑みを浮かべながら、ブラの肩紐を指で弾く。


(なんじゃそのキャッチコピーはァァァ!!)


(もうやめてくれ、胃が……儂の胃が限界じゃ……!!)


 そんなガストンの内臓が悲鳴を上げる中、さらに爆弾が投下された。


「ふふ……ドラゴンの素材とこの下着があれば――

 オスカー・フォン・ヴァレンシュタインごときに、好き放題されることもないのではなくて?」


 ヴィクトリア大王太后は、紅茶をひと口啜りながら、舞踏会で交わす軽口のような調子でふわりと微笑んだ。


 その言葉に、オフィーリアが記憶を辿るように声を上げる。


「ヴァレンシュタイン家といえば……たしか、先日、先代が亡くなって新しい当主が立ったのですよね?」


「そうなのよ。その新しい当主――オスカー坊やが、よりにもよって王太后エリザベートと手を組んでね」


 ヴィクトリアは紅茶のカップを静かに置き、わずかに眉をひそめる。


「ルクレティアと、あなたたち後宮にまで、ちょっかいをかけようとしているのよ」


 その一言に、ルクレティアがふっと息を吐き、優雅にカップを戻した。


「アイナがバナナで撃退したのはいいけれど……あれ、しつこいわよ?」


 鼻先で笑いながら紅茶を口に運ぶルクレティアの隣で、

 オフィーリアが静かに微笑み――そのまま、涼やかに言い放つ。


「ふふ、でしたら……潰すしかありませんわね」


 優美な微笑みのまま放たれたその一言に、空気がすっと冷えた。

 場に満ちる甘やかな香りが、どこか“毒気”を帯びて感じられるほどに。


 その場にいた誰よりも――ガストンは、内心で凍りついていた。


 こめかみをひくつかせながら、静かに、しかし切実に祈る。


(た、頼む……頼むから……せめて“大惨事”にはならんように、穏便に済んでくれ……)


(ああもう……胃が……胃が消滅しそうじゃぁぁぁ!!)


 ――そして、ユーリとガストンの動揺をよそに、

 「オスカー対策会議」は、静かに、しかし着実に進行していくのだった。



【あとがき】

読んでいただきありがとうございます!


ユーリの嫁国家計画、応援したいと思ってくださったら、

⭐評価と❤、ブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ