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8歳。元勇者少女の行く末は  作者: どどどどどん
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スライムを倒したお礼にと、村の人たちが夕食に誘ってくれた。

もう時間も遅いし、今から家に帰ってご飯を作るのも面倒くさい。

だからとても有難いことだったけれど、リラがいるからそれは難しかった。


なんせリラはご飯を食べない。

何故かって聞かれたらロボットだからってなる。


でも、馬鹿正直にロボットと答えてリラが狙われでもしたら大変だ。

見た目が人間みたいで、喋って。

普通のロボットとは違うから、きっと色んな人がリラのこと狙ってくるだろう。


だから、リラがロボットだと悟られないように気をつけるというのが3人の了解となっている。

リラが理解しているかは分からないけれど。


夕食の申し出を断り、テラの魔法で再び元の場所へと戻った。

リラが全部倒してくれたお陰で、帰りもテラの魔法で帰れたのだ。ラッキーである。


あれ、もしかして私が原因なのに私だけ何もして無い?

ごめんなさい。


心の中で謝罪をしながらその足でギルドへと行き、丸型映像カメラを返し依頼達成の旨を伝え、報酬である5ディアを受け取る。


ここのギルドでは、依頼をこなす際に1つの丸型映像カメラが支給される。

依頼をこなす様子を、証拠として収めるためである。

ちなみにこのカメラは勝手に映像を撮りながら空を飛んで着いてくるので邪魔にはならない。


「それにしても依頼達成、早かったですね。」

「あ、あはは。テラが張り切っちゃって…。」

「おい。」


とりあえず、この中で一番実力がありそうに見えるテラがほとんどやったことにしておいた。


カメラにリラが倒した瞬間が映っていたらまずいと思ったけれど、何故かその前後の部分だけ映像が乱れていたので問題は無かった。


ただ、この数分の間に何があったのかと訝しまれたけれど。

そこは笑って誤魔化した。

スライムの残骸が写っていたので依頼は達成されたと認定してくれた。


リラも事情を聞かれる度に何か話そうとしていたけれど、正直に話しそうで怖かったのでその度に背後で口を塞いだ。


それにしても。

せっかく5ディア稼いだのに、全部あのクソ男に払わなきゃいけないのか…。


本来ならリラが全部使えるはずなのに…本当にごめん。

そう謝ると、リラはいつも通り「問題無い」と答えた。

リラに感謝をしながらギルドを出れば、もう辺りは暗くなっていた。


「何か買って帰んぞ。」

「何かって何?」

「食いもんに決まってんだろ。」

「え?」

「まさかお前これから作る気か?それなら俺は止めねぇが。」

「…いや。買って帰る。」


普通に作る気で居たから不意打ちだった。

そっか、買って帰るって手があったんだ。

すっかり頭から抜けていた。


さっさと買ってさっさと帰るぞ、そう言って歩き出したテラの後ろを2人でついて行く。

目的の場所は決まっているのだろう。

歩きに迷いがなかった。


そうして帰り道と同じ道を数分歩いた先にある店へと着いた。

中には美味しそうな弁当が並んでいて、お腹の虫がギュルルと鳴る。

テラと私はそれぞれ食べたい物を選んで店を後にした。

お金はテラが払ってくれた。


それから、歩くのが早いテラに必死に着いていき、3人無言で歩いて帰る。

その間も私のお腹の虫だけはずっと喋っていた。


「お前が先に食え。俺は風呂に入る。」


色んなことがありすぎた1日だった、そう思い返していたらいつの間にか家が目の前にあった。

中に入ると、すぐにテラはそう言った。


「え、お腹空いてないの?」

「あぁ。」


ギュルル。

テラが答えた瞬間、またお腹の虫が鳴いた。

けれど、今度は私じゃない。

目の前から聞こえた。

え、と思って音の主を見遣れば、顔をサッと逸らされた。


負けじと逸された顔を覗き込めば、ほんの少し赤くなっているのが見えた。


「…何だよ。」

「いや、別に?テラも先にご飯食べたら?今日くらい一緒に食べてもいいんじゃない?」

「…チッ。」


表情を抑えられず、若干ニヤつきながらそう言えば、テラは舌打ちをしながらも椅子へと座った。

せっかくだし、と思ってもう1つ椅子を用意してリラに座って貰う。


2人が「いただきます」と言う様子をどことなく不思議そうに見ているように感じるリラを横目に、私とテラはさっき買った弁当を食べ始めた。


久しぶりに誰かと食べるご飯に、何故だか涙が出そうになった。


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