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詰んだ。剣なんて持って無かった。
というかリラは何処へ?
一気に焦ったことで頭の中がゴチャゴチャになる。
「おい、剣っつったか?そんな物どこに」
「い、いや。魔法使えないけど、こ、この件については素手でもいけるかなぁ、な、なーんて。」
「は?お前あのヌメヌメしたスライム素手で触るのか?」
危ない。
この年で剣が使えるとか思われたら怪しまれる所だった。
そこはなんとか誤魔化せたけど、素手か。
うーん。無理だ。
あんなの触れやしない。
なんで素手とか言っちゃったんだろう。
いや待てよ……案外触り心地が良さそう?
……やっぱり無理。どうしよう。
でも武器が無くて魔法も使えなかったら素手ぐらいしか思いつかない。
だけど嫌だ。触りたくない。
どうにか良い方法は無いかと考え込んでいると、テラが面倒くさそうに話しかけてきた。
「はぁ。お前今度依頼受ける時は自分の力量に合ったもん選べよ。仕方ねぇから今回は俺1人でやってやる。」
「うぇっ。あ、ありがとう。」
「お前らはとりあえずここにいろ…って、あいつは。」
「あ。」
そうだ、リラがどっか行っちゃったんだ。
今まで自分からどっか行くことなんて無かったのに……。
「どうしよう。どこに行っちゃったんだろう。」
「もしあのスライムの群れにいたらヤバいな。」
そう言ってテラはスライムの群れへと視線を動かした。
かなり大きなスライムがぎっしりと密集していて寒気がする。
もしあの中にリラがいたら、いくらロボットでも潰されるかもしれない。
「早くスライムを倒」
して。と言い切る前に、スライムの大群のど真ん中から爆発音のようなものが聞こえた。
え、と2人してその音源に視線をやれば、爆発に巻き込まれて1匹残らず吹っ飛んだスライムの残骸たちの中心、つまり池の中心に、いつも通り無表情のリラが浮いていた。
いきなり起こった目の前のことに暫し頭がフリーズする。
この状況、信じられないけれど十中八九リラがやったのだろう。
嘘でしょ。
というか前もこんな風に驚いた時があったはず。
あ、そうだ。
確かリラが大きなタンスを1人で動かして…。
そう現実逃避をしていると、先に現実に戻ったテラが動き始めた。
走って地面へ降りてきたリラの元へ駆け寄っていくと、傷がないか見始めた。
「おい、どこも壊れてねぇか。」
「無傷。」
「そうか。」
それを聞いてホッとした顔をしたのを見て、漸く私もハッとしてリラへと近づいた。
「リラ大丈夫⁈」
「問題無し。」
「そっか、良かった。今のはリラが…?」
「うん。敵の殲滅は完了。」
や、やっぱりリラがやったのね…。
まずリラって飛べるの、って恐る恐る聞けば「勿論。」と返ってきた。
「一体何やったんだよ。」
「攻撃。」
「…そうか。」
答えの意味が微塵も分からなかったテラは呆れたように溜息をついた。
「まぁ壊れてないならいい。スライムも全部倒せたし、依頼主に報告するぞ。」
「う、うん。」
もう何が何だか分からないけれど、みんな無傷で依頼がこなせたからいいやと考えることを辞めた。
少し離れた所にある村の依頼主の家へ行けば、先程の爆発音でそこら一帯がパニックになっていた。
依頼のために少々荒事業をしたこと、無事終わったことを伝えれば一瞬驚いた後、村人たちは大層喜んだ。
私もテラも何もしていないから気まずかったのはここだけの話。




