8月27日 積み上がる疑問
作者はいつも(頭痛と)戦っています……
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〇 ∥<(更新)止まるんじゃねえぞ
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もう時間が無く、なりふり構っていられない。
試せることは全て試そう。
その日のボクはそんな思いで行動していた。
たぶん、この時はアドレナリンがたくさん出ていたんだろうね。
たまに聞く、テンションが振り切れた人みたいに。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
――カサカサカサカサ!
もうね? それぐらいじゃないとやってられないんだよ。
……ナーねえの最終兵器、タイラントンチュラと対峙するの。
「あっちへ行けよもぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」
――カサカサカサカサ!
秘密兵器として作った小麦&胡椒玉(パン作りの時にくすねた小麦粉と胡椒を混ぜて玉状に紙で包んだもの。簡単に閉じただけだから、強く当てるとすぐ中身が出るぞ!)をタイラントチュラへ投げる。
思いっきり投げたソレはタイラントチュラに当たったあと、床に落ちて中身を吐き出す。効果があれば良いんだけど……
結果、
ものともせず一定の速度でこっちに近づいてくる。
「もうやだコイツぅうううううううううううううううう!!」
分かってたよ!
小麦粉で煙幕みたいの作れないかな~、上手い具合に紙で包み込めば何とかなるかな~、持ち運びは異次元ポーチがあるから形だけでも作れれば……やったできた! 胡椒も混ぜて足止め用にしよう!――って、作ってみたのはいいものの、作り終えてから「あれ? 蜘蛛にこういうの効くっけ?」と冷静になったからね!
一先ず試してみようと投げてみたわけだけど、結果はご覧の通り。哺乳類だったらワンチャンあったかも知れないのが悔しい。
そもそも!
2メートルの巨大蜘蛛への正しい対処なんか知るわけがない!
豆知識レベルでどうにかなるサイズ感じゃないっての!
下方向へ行けばコイツから逃げられるけど、運の悪いことに今いる地点からじゃ下に向かえない。一度上へ行ってから別ルートで下へ行く必要がある。
上へ向かう手近な階段――ただし、案の定登らせる気ゼロの階段――へペタリニャンコでくっつき、必死に登っていく。
と、
――カサカサカサカサササササ!
ある程度登ったところで、物陰から2匹目のタイラントチュラが。
「2体に増えた! しかも気持ち足が早くなってない!?」
コイツ……!
後ろから追い掛けている個体より気持ち足が早い。
手元が狂って落ちないよう気を付けながら巨大蜘蛛たちから逃げ続ける。
途中、合流した2匹が「よっ! 元気にやってる?」とばかりに足でハイタッチしている光景を見てイラつきが増してくる。
「くそっ、くそっ! 何でオマエら上に行く場所ばっかいるんだよ!」
上方向の探索の優先順位は確かに高い。
どんなに神様パワーで空間を広げているにしても、屋敷である以上は天井があるはずだから。かなり強引だけど、天井を破壊して脱出するプランもあるんだ。
……子供の力で壊せる場所があるかどうかって問題もあるけど。
でも確かめる必要は出てくる。
ナーねえの切り札がいるってことは、もしかしたら天井付近――屋根裏収納のような場所に小さな窓だってある可能性を。
「だとしてもこれはない!」
袋小路に追い込まれる直前、足下のへこみを踏みつける。
それは罠の中でも基本的なもの。
わざと発動させたバネのトラップ。
本来なら吹っ飛ぶ先にある蜘蛛の巣に引っ掛かる軌道になるところだけど、バネで飛ばされる瞬間に一緒にジャンプすれば、
「そいやー!」
通常より大きく跳べる。
それを利用したボクは大きく手を伸ばし、天井に張り付いた。
――カサカサ、カサ……
タイラントチュラのテリトリーの範囲外に出たからか、天井に引っ付くボクを数秒眺めたあと体を反転させて奴らは帰っていった。
「……ふぅ~。人間、心の底から必死だと何でもできるよなー」
毎回そうだけど、ボクってちょくちょく一般小学生の限界を超えるよね。何でバネが飛び出る瞬間を狙ってジャンプできたんだ? あの時だけはすごい集中できていたし、頭も冴えていたけども。我ながら不思議すぎる。
「それにしても、やっぱり変だよな」
たぶん、というか確実にゴールとなる場所には近づいている。物理的に行けない距離ってことはないはず。
なのに何で上にだけタイラントチュラがいるんだ。
ああいうのってゴール付近に配置するものじゃないのか?
普通に考えてゴールは初日に入った玄関がある場所だと仮定して行動していたんだけど、違う場所にあるのか?
そうなってくると、別の疑問も覚えてくる。
「そもそも、ボクとナーねえがいつもいるのは……屋敷のどこに当たるんだ?」
ノンストップで行くぞオラァ!!←(自分を追い込んでいる




