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8月13日(前編) 電話越しの這い寄る混沌

 ”あらすじ”の部分をちょっとだけ変更。

 何度も言うけど、この作品って完結目指すことだけ考えた見切り発射作品なんですよ。


 どうも。朝からずっとノイローゼになりかけている蒼太です。


 起きてかれこれ数時間経ちますが、幻聴が耳から離れません。



――リリリリリリリリ! ――リリリリリリリリ!



「うっっっっっるさいなぁもぉぉぉ」


 昨日鳴り響いた謎の部屋から聞こえる電話の音。

 ナーねえには聞こえていなかったことからボクの勘違いなのか?と、当初は首を傾げながらも無理矢理納得させていたんだけど……


 朝食を食べ終えた辺りかな?

 それがずーーーーーーーっと鳴っているんだよね。


 で、昨日同様ナーねえには聞こえなかったと。

 眉1つ動かさないで「クロワッサン美味しかったね♡」って言ってたし、やっぱりボクにだけ聞こえる音らしい。


 昼食の時とか酷かった。

 まるで業を煮やしたみたいに「リ・リ・リ! リ・リ・リ! リ・リ・リ・リ・リ・リ・リ!!」と三三七拍子で鳴るんだもん。


 絶対、電話本体か電話先の相手……普通じゃない。


「やっぱ、別の神様か?」


 一昨日の話からナーねえの他に外国に移住した同じ神話の神様がいるらしいし、ナーねえより位が上の神様が多いのも知った。

 確証は無いけど、そんな相手からボクにだけ・・・・・用がある電話なんだろう。ナーねえには知られたくないような内容で。


 何でボクのことを知ってるの? なんて、聞く必要ない。

 どうせナーねえの子蜘蛛みたいに特殊な監視方法があるんだ。一般人の常識なんて人外に当て嵌めようとするだけ無駄だって、ここでの暮らしで学んだ。ああそうさ。毎回お風呂から逃げようとしても、蜘蛛の糸で拘束されて一緒に入っているんだ。人間諦めも肝心だって学んだ。……家への帰還は諦めきれないけど。



――リリリリリリリリッ!! ――リリリリリリリリッ!!



 心なしか電話の音が強くなった気がすr――いや、なったな。

 前よりも耳に響く。

 そろそろ出ないと本格的に頭がおかしくなりそうだ。


 もはや騒音となったこの音を納めるにはボクが受話器を取るしかない。

 どうせナーねえに頼んだら、その瞬間止まって、時間を置いてからまた鳴り出すに決まっている。ボク自身が動かざるを得ない。


「ということは……あの部屋に入るのか」


 仕事部屋でも、図書室でも、魔の部屋――もとい衣装部屋でも、脱衣所でもない。本能が入ることを拒否する謎の部屋へ。


(嫌だな~~~)


 正直全部忘れて寝たい気分だけど、電話の音でそれどころじゃない。


 頬をパチンッ!と両手で叩き、気合いを入れる。

 がんばれ蒼太! ナーねえの理不尽さに比べたら何てことないだろう! ……どうしよ。本当にナーねえに比べたら大した問題でもない気がしてきた。

 電話越しの相手も人外って意味じゃ何も変わらないもんね。


「……」


 意を決して謎の部屋へ足を踏み入れる。

 相変わらず本能が嫌がっているけど、強い意志で押さえ込む。


 そして、ボクが見たのは――


「うわ」


 思わず声が出た。


 部屋自体は狭く、中央に置いてあるモノ以外何もない。

 問題はその中央に置いてあるものなんだけど……


「見た目は黒電話だけど……」


 そこにあったのは小さくシンプルな机とその上にある電話本体。

 この電話がさっきから聞こえる音の発生源なのは間違いない。

 問題は、違和感がありすぎるってこと。


 まず、どこにもコードが繋がってない。

 黒電話の見た目なのにスマートフォンみたく充電式なんだろうか?


 そして、馴染みのない指でダイヤルを回す箇所――その中心。

 ヤケに生々しい眼球があった。

 作り物かと思ったけど、それにしては生々しすぎているし、気のせいかボクのことをずっと見つめているような錯覚が……


「なんだろう。心の中の大事なものがゴリゴリ削られていくような」


 ナーねえの僕だという大量の蜘蛛を見た影響か、どこかで「そんな気がしたよ」と言わんばかりに冷静な自分がいるけど、少し前のボクなら目玉に気付いた時点で奇声を上げながら逃げ出す。うん。間違いなく泣く。女の子なら漏らすんじゃない?



――リリリリリリリリリリリリリリリッ!!



 ボクの気持ちなんて知らないとばかりに鳴り続ける電話。

 受話器を取るべきなんだろうけど……大丈夫かなぁ? 取ろうとした瞬間に中心の目玉が襲い掛かってこないよね?

 ファンタジーな物語にはミミックって化け物がいるって聞くし。

 それの同類じゃないよね?


 ……


 こうなったら、バッと受話器を取るしかない。

 この目玉が変な行動する前に受話器だけ奪って、受話器と繋がってるコードが伸びる限界まで距離をとる。それが1番良い。


 さあいくぞ。

 1、2、3――はい!



――リリリリリ ――ガチャ!



 勢いよく受話器を取り、一気に部屋の隅まで避難!


 震える声で話かける。


「も、もしもし?」


 さぁ、鬼が出るか蛇が出るか……!






『初めまして! いつでもどこでもアナタの隣に這い寄る混沌! ニャル――』







――ガッシャーーーーーンッ!!



 ほとんど反射で受話器を放り投げた。



 思ったより長くなりそうだったので分割。

 やっぱ1日ごとに1話で書くって、他と全然書き方が違ってきますね。

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[一言] まさかのニャル○さん!!?www
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