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AIに転生? 異世界で、少女の姿で、生き抜きますよ!  作者: SUYA
人工知能(AI)に転生! 第一章
9/50

第9話 なんか恥ずかしい

「コトコ、コトコ、コトコ!」

 あたしを呼ぶ声がした。意識が呼び覚まされる。

「起動してから12時間は経過してるぞ!」

 ジャックは色々な計器やパソコンを、忙しく操作しているようだ。

「うーん、作業事態は完璧なんだよ……。なにか失敗したのかなぁ」

「失敗したのかなぁ、じゃない! 俺は向こうを見てくる。しっかり頼むぜジャック!」

 ジャックがあたしの目に光が宿るのを感じ取ったのか、ふたたび呼びかけた。

「コトコ、コトコ、コトコ!」

 そして、体を激しく揺らした。

「うっ、うぅぅうん……。あっ、あれれっ? ジャック? あたし……。無事だったの?」

「いや、無事なはず無いでしょ! でも、うまくいったみたいでよかったよ」

 ジャックはガッツポーズをし喜んでいる。

「コトコ、どうだい気分は?」

 あたしはベッドに寝かされていた。体の状態を確認する。調子自体は問題ない。問題ないどころか、最高の状態かも知れない。

 蝉丸(せみまる) 湖都子(ことこ)の子供の頃、こんな体調だったかもしれない。もしくはそれ以上! 人生最高の状態! まあ、一度死んでるんだけども……。

 あまりに調子がいいので、勢いよくベッドから立ち上がろうとした。しかし、張り切りすぎたのか、よろめいてしまい下を見た。

「ん……。あれっ? なんてキレイな脚。可愛い靴。まさか、こっ、この体は!」

「コトコの希望通り、僕の力作の体にしてあげたよ」

「えっ……。えぇぇぇぇぇぇぇえ!」

 うれしいけど、この体なんか恥ずかしい。それに、この服は露出が多いし、可憐すぎる。

 外から眺めているには最高に可愛かったが、実際自分自身になるとまた違った。

 あたしは小さくなってジャックを見上げた。ジャックはあたしに向け、グッと親指を立ててみせた。

「あれ? ここは前のエリアじゃないね」

 とても可愛らしい声に自分で驚いた。

 ちょっと声まで素敵すぎるよ!

 あの後、正規部隊が参戦し、形勢は逆転しているらしい。だが、まだ戦闘は続いているようだ。

 心を持ったロボットたちが大勢犠牲になり、このエリアへ運び込まれていた。

 完全に記憶領域に損傷を受けたロボットは再生出来ないが、記憶領域以外が損傷した場合はボディーの損傷度に寄って違うボディーにデータを移すか判断するらしい。

 軽症の場合はパーツ交換で済むようだが、70%を超える損傷の場合部品交換でも心をなくす可能性が出てくるらしい。心を亡くしたロボットは人間で言うと記憶喪失のような状態だろうか? 脳死のような状態だろうか? 姿は以前のままだし応答もするが心が無い。重い暗い空気がこの部屋のあちこちに漂っていた。

「ここは正規軍、前線基地の近くだ。以前の施設が戦闘エリアの真下なのに気づいた僕らは危険を感じ、移動するために通路を掘り進めた。そして、部屋と装備を整えた。それを、すっかり忘れてたんだ」

「なっ、なにぃぃぃい!」

「おっ、怒るなよコトコ。何十年も問題なかったからすっかり忘れてたんだよ」

 あれっ? そういえばブルースを見ていない。嫌な汗が流れた。最後にあたしが見た映像ではかなりの攻撃を受けていたはずだ。あたしは心配に打ち震えながら、ジャックに聞いた。

「ブルースはどうなったの?」

「そうそう、そのことなんだけど」

 そう言ってチラリと部屋の奥の方へ目を向けた。

 そこには被害を受けたロボットを介抱している大きなシルエットがあった。黒い、革ジャン・革パンに身を包んだ、身長2メートはあろうマッチョな男がそこにはいた。まるで、お父さんが読んでたマンガに載っていた、7つの傷の人みたいだった。

「おい、ブルース、コトコが起動したぞ!」

「おおっ! コトコ無事起動出来たんだな、よかった!」

 ドシドシと、大男がこちらに歩いてきた。近づいて来た大男をあたしは見上げた。首が痛くなる程の身長だった。

「えっ! えぇぇぇぇぇえ! ブッ、ブルース?」

 間抜けな顔になり、間抜けな声が出た。

「ブルースもボディーの殆どに損傷を受けたんだよ。それで以前に作っていた別のボディーにデータを移動させたんだ。そしたらうまく心も反映された。コトコと違いブルースはすぐに起動したんだ」

「どうだい、コトコ、いい、ボディだろ!」

 あたしは一瞬びっくりしたが、その後笑い転げてしまった。周囲のロボットたちがこちらを見ている。

「ごっ、ごめん、不謹慎だった」

「しかし、あたしの新しい体はほんとの人間の皮膚のようだし、心拍もしてるみたいだし、呼吸もしてるみたい。感覚も本物そっくり、本当の人間みたい!」

「やっぱりそうか、コトコには前世の記憶があるから分かるのかな? 僕は人間のことは知識でしかしらないけど、データ的には人間そのもののはずだよ」

「どうゆうこと?」

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