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AIに転生? 異世界で、少女の姿で、生き抜きますよ!  作者: SUYA
人工知能(AI)に転生! 第一章
8/50

第8話 出合い

「お二人は名前とかあるんですか?」

「俺はブルース。こいつはジャック」

 二体? 二人? の容姿はというと。

 ブルースさんはメタルフレームのボディで作られている。よく言えばマッチョ、悪く言えばゴリラをイメージしたような見た目だ。土木作業などを担当するために作られた、人工知能搭載のロボットだそうだ。

 ジャックさんは手足の細いノッポな外見で、頭をはじめすべててが円筒の形をしている。研究開発の補助を行うために作られた、人工知能搭載のロボットだ。

「型番で話しているとややこしいので、自分たちで名前をつけた。俺たちのことはブルース、ジャックと呼んでくれ。で、君の名前は?」

「あたしの名前は蝉丸(せみまる) 湖都子(ことこ)。これが記憶の中にある前世でのあたしの名前」

「コトコ、いい名前じゃないか」

「それでブルースさん……。ブルースとジャックは100年間ゲームしてたんですか?」

「いやだなー、動画鑑賞とかもしてるよ」

 いやそれ、完璧ニートだから。

「俺はカンフーにハマっていて、いろいろな拳法を学習している。コトコも興味があれば教えてやるよ」ブルースはカンフーの型を披露して言った。

「ブルースは対戦相手がほしいだけじゃないのかい?」

「確かに対戦相手も増やしたいが、コトコにとっても、暇つぶしのバリエーションが増えていいんじゃないか?」

「暇つぶしのバリエーション……。そうか、何百年単位で自由時間があるんだもんね」

 確かに、相当暇かもしれない。いや、ゲームやり放題、動画も見放題なら、あたしの理想の生活だから全く問題ないかも。

「僕の場合はモノづくりが好きだからいろんなものを作っている。フィギュアやドール制作の動画を見て、自分でも作り始めたんだ。クオリティを追及している間にリアル方向へ進んじゃってね。現在制作しているものは凄いよ! コトコに見せてあげるよ」

 そう言うとあたしを別の部屋へ連れていってくれた。

 その部屋の周囲にはいろいろな計器やボイラーが配置されており、無数の配線や配管が張り巡らされていた。そして、中央にはケースに覆われたベッドがあった。温度によるものか、透明なガラス部分が曇って中はハッキリ見えなかった。

 ジャックはベッドの横にいくとスイッチを押した。プシュッっと音がしてケースが開いた。中には美しい少女が入っていた。長髪でロゼ色の髪色をした17歳頃の少女が横たわっていた。

「どうかな? 人間に見えるかい?」

「すっ、素晴らしい完成度です! 触ってみてもいいですか?」

「うん、触って感想を教えてくれないかい」

「いやー、この柔らかさ、滑らかですべすべの髪の毛、手足もスラリと長く、そこいらのアイドル以上の体形! 最高に人間ですよ!」

 あたしは興奮しすぎて言葉がおかしくなっていた。

「気に入ったようだね。コトコ」

「ええ、素敵です!」しつこく事細かにジロジロ観察していると、ジャックが提案してきた。

「このボディ、コトコにあげてもいいよ」

「えぇっ! ジャック。いいんですか!?」

「うん! もともと気に入ってくれた者に譲ろうと思ってたんだよ」

「データを入れ替えれば、自分のボディとして使用も可能だよ!」

 あたしはうぅぅうんと考え込んだ。神様こうきましたかぁあ! 確かに、あたしの希望どうりの身体ですよ。しかし、生命をかけるのは、この生き延びたいあたしになんたる試練を与えるのかぁあ。

「どうしたんだい、コトコ、かなり悩んでるみたいだけど」

「たしか、ボディーの入れ替えに失敗すると、心をなくすかもしれないんですよね」

「あっ、それ、観測者から聞いたの?」うん、うん、と頭を上下に揺らす。

「聞いちゃったのかぁあ」

「まさか! 教えずに試そうと思ったんじゃないですよね!」

 ジャックは後頭部に手を置いて謝った。

「いやぁあ、ごめん。早くこのボディが動くのを見たくて、つい」

「つい、じゃありませんよ! まったくぅう、あたしもほしいのは山々ですが、死にたくないので遠慮しときます!」

「もし何らかの形で、死にそうになったらあたしのデータをそのボディーに移してください。なかなかそんなことないと思いますけどね!」

 そしてあたしたちは研究室から出た。

 その後の数日はブルースやジャックの日常に付き合ってゲームや動画鑑賞、はたまた、創作活動に付き合うことになった。

 そんな中、時折建物が大きく揺れることがあった。あたしは二人に聞いてみた。

「ここ、ちょくちょく揺れますね。この揺れはいったい何なんですか?」

「この場所は結構前線にあるんだよ」

「そうなんですか? 危なくないんですか?」

「地下1000メートルはあるはずだから大丈夫だと思うけどね」

「その情報はどこから」

「この施設にあったデーターから参照した情報だよ」

「100年前くらいのデータじゃないんですか」

「そういえばそうだね」

「なんか感情があると、雑なところが出てきたりするんですね」

 そんな話をしていると。今までより大きい揺れが来た。立て続けに大きな衝撃と音が響き渡り、あたしたちがいるところから、100メートルほど離れた部屋の天井が崩れた。煙で視界が奪われ何も見えない。自然の明かりが入っているのだろうか、薄暗く煙が輝いていた。その、煙の向こうに二体のシルエットが照らし出された。あたしたちは顔を見合わせシルエットの行動を見守った。火花の様な光が煙の向こうに見えた。

 ガガガガガ! っという音とともに周りのロボットたちが倒れる。どんどん煙が晴れていく。それとともに、攻撃の精度も上がっていく。仲間のロボットたちが倒れていく。それをみて、他のロボットたちは逃げ惑う。

 土煙が完全に晴れ、その中から現れたのは人間たちのパワードスーツだった。

「みんな逃げるんだ!」

 誰かが叫んだ! あたしは一目散に隣のエリアに逃げ込んだ。そこへ、ブルースやジャックも続いて逃げ込んできた。

「おい! コトコ! 戦闘タイプだろ、戦えよ!」

「怖いよぅ、やだよぅ!」

 ブルースが呆れてあたしの事を見ている。

 日頃義勇軍として戦闘に出ている者たちか、武器を手に反撃に出るロボットたちが現れた。戦闘音がさらに激しくなっている。こちらのエリアへも流れ弾が飛び交い始め、ジャックとあたしは物陰で震えていた。ブルースはあたしたちにそこに隠れていろと言い義勇軍の元へ走り寄り、武器を手に戦い始めた。

 人間のパワードスーツも増えているのか、どんどん、戦闘が激しくなっている。義勇軍の戦士が次々倒れていく。ブルースが何か叫んだ!

「コトコ! ジャック! もっと奥のエリアへ逃げるんだ!」

 それを聞き取ったあたしはジャックをドン! と奥へ押しやった。

「ジャック! もっと奥へ!」ジャックは奥のエリアへ駆け込んでいった。

 そして、あたしも移動しようとした。その瞬間……。

 轟音とともに、あたしの体が吹き飛ばされた! バズーカか何かの攻撃だったのだろうか? バチバチと体の各部がショートするのを感じた。さらに弾丸があたしの体を貫いた。視界があらぬ方向を向いた。その視界に駆け寄るブルースが見えた。

「ブルース、来ちゃダメ!」

 銃撃を受け倒れるブルースの映像が、かすんでいくレンズに映った。そして、あたしの意識は途絶えた……。

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