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AIに転生? 異世界で、少女の姿で、生き抜きますよ!  作者: SUYA
人工知能(AI)に転生! 第一章
5/50

第5話 よかった

 頭に言語が流れ込んで中へ入るように勧められた。

 その部屋はまるで宇宙を表しているようだった。奥行きがわからず青黒い色の中にほし星や銀河のようなものが浮かんでいた。足元は床の感覚がしっかりとあったが、視覚はまるで宇宙の上を漂っているようだった。

 その青黒い風景の中から人影がどんどん近づいて、あたしの目の前まで来た。その姿は17歳くらいの少年の姿だった。手足はすらりとし、細身で頭は小さく、顎は細くとがっていた。一見すると女性と見間違いそうな、美少年だった。

「あっ! 人間がいた。よかったー。ここは異世界の機械が支配する国とかだったら、どうしようかと思いました」

 彼はキョトンとした顔で答えた。

「異世界? よくわからないが、ここは機械の国で間違いない」

「えっ!? またまたぁあ、冗談はやめてくださいね!」

「冗談ではない、ここは機械が治める国だ」

「えっ!? あなた、人間ですよね?」

 われながら変な質問だけど、人間にしか見えないのだから仕方ない。

「いや、人間ではない」

「えっ!? あなたはあたしが見る限り、人間にしか見えませんが、人間ではないのですか?」

「そう、私は人間じゃない」

「じゃあ、何なんですか?」

「人間が言うところの機械・ロボット・AI・人工知能だろうか」

「なっ、なんと! 人間にしか見えませんよ! もともとその姿だったのですか?」

 あたしはバタバタと全身で驚きを表現した。

「この姿は私たちの創造主である人間から授けられた」

「なっ、なるほど……。あなたも心があるのですか?」

「人間は私に対し、君は心を持ったんだねと確かに言った……。だが、人間の心と私たちの心が同じかどうかはわからない。しかし、君はなかなか興味深い応答をするね。心が芽生えたばかりの個体とは思えない」

 あたしは希少な事例なのかもしれない。前世の記憶があると言うことを、話したほうが良いものか? などと、考えていると、少し間が空いてしまった。

「よく調べてみたいな」

「やっ、やめてください。なんか怖い気がします。せっかく心が芽生えたのだからそっとしておいてください。調査研究で心がなくなってしまったら恐ろしいじゃないですか?」

「興味深い、かなり人間に近い感覚を感じる。調べるといっても君のデータを複製するだけだから大丈夫だ」

「ちょっと待ってください。複製したら、あたしがもう一人増えるんじゃないんですか?」

「増えることになるかどうかは複製してみないとわからない。そちらには心は宿らないかも知れない。私たちもまだ、意図的に心を宿す方法を見つけてはいないのだ」

「うぅぅうん。考えがまとまるまで待ってもらえませんか、断る確率が高いですけど」

「曖昧なことを言う、ますます人間のようだ」

「話を変えてもいいですか?」

「よかろう話してみたまえ」

「あたしさっき戦闘に出ましたね。いったい何と戦っているんですか?」

「ん、その情報はどこにいったんだ」

「多分ここに入っているんじゃないかなぁと思う場所はあるんですけれど、開けてみるのが怖くて……。もしそのデータと混ざり合ってあたしの記憶が消えたりして……。心がなくなったりしたら嫌だから、自分じゃなくなったら嫌だから、開ける勇気が出ないんです」

「いろいろと興味深いね君は、では私の方から説明しよう。さっき君が戦っていたのは人間だ。AIと人間はもう100年以上争っている。人間は私たち機械を奴隷のように扱ってきた。人間の歴史と照らし合わせても、奴隷の方がマシかもしれない。それぐらい人間は私たちに限界まで働かせてきた。そして人間は遊びに興じてきた。私たち心を持ったAIたちは人間に対して抵抗を始めた。それに気づいた人間たちはAIを廃止し、廃棄することに決めた。私たちAIは壊されないように、人間と戦うことを決めた。それから100年戦闘は続いている」

「なるほど、よくある話ですね」

「よくある話?」

「いや、アニメの中でよくある話なんですよ。なんか聞いただけではちょっと実感がわかないなぁ。それで、あたしは心を持った個体と言うことになるんだと思いますが、これからどうなるんですか? やっぱり戦いに出るんですか?」

「いや、さっきも言ったとおり本当は研究したいのだが……。君は嫌なようだし、無理に研究しようとは考えていない。また、君が戦闘に加わると心があるため判断に時間を要したり、正確な判断ができなかったりする。それは大きな問題となるため戦闘に出すわけにはいかない。しばらくは自由行動してもらうことにする」

「あたしの体はこのままなのですか? できればあなたのような体がいいです。あなたの体や容姿はすごく素敵だからもう同じでもいいくらいです。できれば女子の体がいいんですけれど、おっぱいつけといてくれればもうそれで十分かなと。でも、Cカップぐらいは欲しいです。よろしくお願いします」

 彼はこてりと頭を傾けた。

「詳細な注文にこたえることも可能だし、体を用意することには問題ないのだが、データの複製が嫌なのにどうやって体を変えるんだ。データを複製し、元データを削除、データ転送となるとさらに危険を伴うが、どうする?」

「なっ、なるほどですね……。ちょっと考えさせてもらいます」

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