第46話 いったい何者
「しかし、コトコはいったい何者?」
――とうとう来たよ、困った質問が……。
「いゃー、どちらかと言うと、あたしは何者かになりたい」
「…………」
チラッとマリアちゃんを見た。ブンブン丸を真剣に操作してる。何の反応もない。これ、絶対怒ってるよ。
ここはちゃんと対応しとかないと、絶交されそうだ。
「うーん、マリアちゃんは大事なともだちだからね。しっかり説明したいし、しっかり聴いて欲しいから、いいタイミングが来たら説明します」
「うん、わかった。約束だぞ」
あたしたちは港の倉庫街に来ていた。
「うわー、ベタベタな場所だよ。アニメや映画で監禁といえば、こういう場所だよね」
あたしたちは座標から少し離れたところにブンブン丸を止め、様子を見に来ていた。
扉の隙間から中の様子を見る。物の影になっていて姿は見えないが、中にいる人たちの声が聞こえた。
「エヘヘ、俺のこいつも頼むぜ」
「おまえばっかりずるいぞ、次は俺の番だ」
「ばかいえ、俺の方が先だ。俺のを先にやってくれ」
「お嬢ちゃん、どこで覚えたんだいそんなテクニック」
あたしとマリアちゃんは顔を真っ赤にして見つめあった。そして、マリアちゃんは怒りの形相に変わっていた。
「くそー! 僕のクリスティに触るなぁ!」
「わっ! ちょっ! ちょっと、危ないよマリアちゃん!」
あたしも続いて、飛び込む。
いきなりの子供たちの登場に面食らう男たち。
あたしはその一瞬の硬直を見逃さなかった。バッタバッタと男たちを格闘技で倒していった。
「ふー、なんとかなったよ。マリアちゃん、急に飛び込んだら危ないよ!」
クリスティちゃんと見つめ合うマリアちゃんが口を開いた。
「何してるの?」
「このおじさんたちの機械を直してた」
「えっ? 機械を直してたの?」
顔を真っ赤にして、アハハハハと笑うマリアちゃん。
「捕まってたんじゃないの?」
「うん、捕まってたんだけど……。おじさんたち、お客人のように大事に扱うように、って言われてたみたい。それで、お茶とお菓子を頂いてたの。何か悪いなーっと思ったから、壊れたものがあったら直しますよ。と言って直してたんだよ」
「そっ、そうなんだ」
そして、周囲を見渡すあたしとマリアちゃん。無残に倒れた男たち。
「…………」
「でもまぁ、誘拐はしたんだから。悪い奴らには違いないから。ぶっ飛ばしてもいいよね!」そして、マリアちゃんは早速電話をしていた。
「どこに電話してるの?」
「アメリア連邦警察!」
あたしも負けじと、ブルースに連絡を取る。
「クリスティちゃん、救出成功したよ!」
「グッジョブ、コトコ! よしこれで俺たちも動ける。それで、お疲れのところ済まないんだが……。実は機械の国も大変なんだ!」
「なにー! 次から継へどうなってるの! あたしって、いっぺん死んでから忙しい過ぎますよ!」
「アメリア連邦軍が単独で行動を始めた。ニューロリンクと薬物投与により感情を麻痺させた軍勢で、一気に機械の国を殲滅する気だ!」
「なんですって!」
「さらに、衛生兵器無人ちゃん8号も、現在コントロール権を乗っ取ろうとするアメリア連邦軍と戦闘の真っ只中との情報も入っている。機械の国は想定していなかった戦闘に対応しきれていない。状況は最悪と言って良いだろう」
「えー、せっかく元老院さんとの和解が成立したところなのに!」
「現在、危険を感じた元老院は姿を隠している」
「もー! いったいそんなこと考えたの誰なの?」
「この、一連の作戦の首謀者はジェームズ・オニール大佐だ! アメリア連邦軍は彼の指揮下にある」
その時、ガッン! と今まで以上の大きな頭痛が来た。
「いたたたた、タァー!」
「コトコ! どうしたんだ!」ブルースは通信の向こう側で心配している。
そして、マリアちゃんとクリスティーちゃんも、頭を抱えてうずくまるあたしを気遣ってくれている。その時、あたしの脳に言葉が鳴り響いた。
「オニール大佐を止めて!」
「…………」
「ジャーーーック!」あたしは叫んだ!
「なっ、なに? ジャックって誰?」
困惑顔のマリアちゃんとクリスティちゃん。
「コトコ、ジャックがどうしたんだ?」ブルースも心配している。
「帰ったら文句言ってやる! でっ! オニール大佐ってどこにいるの?」
「アメリア連邦国防省だろう。いま、国防省は手薄になっているはずだ、俺たちも今から向かう! 国防省で落ち合おう」
「了解!」




