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AIに転生? 異世界で、少女の姿で、生き抜きますよ!  作者: SUYA
人工知能(AI)に転生! 第一章
34/50

第34話 歌姫の誕生?

「おかえり、早かったね! おっ、汗だくのコトコくん、これまた素敵ですね!」

 クラブ長がギンギンの眼でこちらを見ている。

「ちょっと、こっち見ないでもらえますか!」

「今のセリフいただき! アイドルの風格が出てきたね」

 あたしはあちこち隠すように腕と体を使い小さくなった。ヒロト先輩はこちらに向けて親指を立てた。

「ヒロトくーん」ロンロさんは先輩を手招きし、部屋の隅っこへ移動した。

「ちょっと、話が違うんじゃない! ダンスどころか動きもめちゃくちゃよ!」

「言うの忘れてました。最初の女の子から変更になってるんです」

「なんですって! ヒロトくん、間に合うかどうかわからないわよ! ぐちゃぐちゃなんだから」

 隅っこで話しているけど、聞こえちゃってますよ。しっかり聞こえちゃってますよ。

 前世では筆頭運動できない子で名を馳せたんだから、仕方ないでしょ! 周りの皆も運動ダルイねって感じだったしね。無茶苦茶で悪かったわね。ちょっとムッときた。くそー、ダンス上手くなってやる!

「コトコちゃん、今日のところは帰るわ。ちょっと方針も考えてくるね。期待して待っててちょうだい」ロンロさんは若干ひきつった笑顔をあたしに向け、帰っていった。

 あたしはその笑顔にマックで鍛えたスマイルで答えておいた。

 また、衣装合わせがあるってことで、シャワーを浴びてくるように言われた。あたしはシャワーを浴びながら、自分のライブラリを検索した。

 ダンス基礎編。ダンス中級編。ダンス上級編。

 帰ったら一回動き確認しよう。いったいあたし何してるんだろう? こんな事してて、良いのかな?

 シャワーを浴び、気分一心でクラブ室に戻ると。また衣装合わせが始まった。

 手芸クラブの人も来ていてサイズを測ったり、詰めるところや出すところを確認したり、ピンで止めたりしていった。

 衣装合わせが落ち着いてきたところで、ヒロト先輩から次の指示が飛んできた。

「コトコくん、スタジオ今日3時間とってるんだよ。音楽クラブの彼女とボイスレッスンやってきてくれる」

「ボイスレッスンですか? はい、行ってきます!」

 まあ、歌うなら練習しといた方が身のためだ。自分の実力を知らず、収穫祭で酷い目にあってからでは、目も当てられない。

 音楽クラブの先輩に連れられ、またスタジオに入る。この部屋でマイクを持つと、なんかデジャブ感。

「あて、あててててぇ」頭を抱えてしゃがみ込む。

 だっ、大丈夫? 音楽クラブの彼女が、あたしを心配して覗きこむ。

「ちょいちょい頭痛がするんです。頭痛持ちなんです」

 ニューロリンクが関係しているのかもしれない。

「ちょっと待ってくださいすぐ治りますから」

 調子が戻ったので、彼女のピアノに合わせて音階をやる。

「いてて」また、頭痛が! 近づく彼女を右手で制す。

「大丈夫です」ふー、っと一息つく。

「大丈夫です。やりましょう」

 彼女が、コンサートで歌う曲を軽く弾いてみた。

「どの曲にしようかなぁ。この曲分かりますか?」

 有名な曲らしい。あれ、これ、知ってるぞ! そうか、あたしにはライブラリがあるから知ってるのかな?

「大丈夫です。歌えそうなのでお願いします」

「じゃあ、弾きますね」彼女が伴奏を始めた。

 それに合わせて高らかに歌う。何か楽しくなってきて、身振り手ぶりをつけながら熱唱した。最高に気持ちいい! そういえば、久しぶりに歌ったよ。まあ、うまく歌えたと思う。

「先輩どうでしたか?」チラリと先輩の方を見た。

 彼女はピアノの鍵盤につっぷして、号泣していた。

 歌まで最悪でしたか? 我ながらこの新しい体でうたう歌は、前世の記憶と比べてもうまいと思ったんだけどなぁ。

 彼女はがばっと起き上がると、あたしの手を取りもの凄い勢いで、企画研究クラブの方へ走って行った。先輩廊下は走らないでくださいよー! ぶらんぶらんと彼女に引きずられ、企画研究クラブのクラブ室に入った。

「ヒロト先輩! この子は凄いです!」

「なにー、歌まで酷いのか!」先輩はそう言うと頭を抱えた!

「何をいってるんですか! この子はエンジェルです! まるでエンジェルボイスです! この学院の歌姫、歌姫の誕生です!」

 あたしを含め全員が、口をあんぐりと開けたままフリーズした。

「いやー、またまたー、大袈裟だなーー、とりあえず聴いてみようじゃないか」

 みんなでスタジオに移動する。先程の歌を音楽クラブの彼女の伴奏で高らかに歌う。

 「ふーー」っと一息つき、額の汗を右手で払った。キラキラとエフェクトが光った感じがした。皆が号泣していた。

「なんて歌声だ。確かにエンジェルボイスだ。アメリア学院の歌姫の誕生だーー!」


 あたしは本日のお勤めをこなし、帰宅のため企画研究クラブを後にした。

 廊下を歩きながら、いつもの様に小規模通信を利用し、茶々丸に語りかけた。

「茶々丸、まさかあたしがこんなに歌上手かったとはなぁ」

「ほんとだね、僕もびっくりだよ」

「やっぱり何でも挑戦してみるもんだね。これからは、やる前から諦めないで、何でも挑戦してみることにしよう」

 などと話していると、帰路につくマリアちゃん、クリスティちゃんと、学院の出入り口付近で出会った。

「あっ、ちょうど良かった。コトコ、お務めどうだった?」

「いやーマリアちゃん大変だよ。本格的すぎてびっくりだよ」

「ヒロト先輩が企画したことだからな。けっこう凄いでしょ」

「どうしよう、かなり発明クラブ休むことになるんじゃないかな」

「うーん、それは困るなー、わかった僕がマネージングするようにするよ」

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