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AIに転生? 異世界で、少女の姿で、生き抜きますよ!  作者: SUYA
人工知能(AI)に転生! 第一章
28/50

第28話 反則でしょ

「異世界転生しちゃった。ウフフ」

 だめだ、落ち着けあたし、今後のことは家に帰ってゆっくり考えよう。今のところ特に問題ないのだから。

「それはそうと、クラブ員は三人なの? で、あたしを入れたとして四人? すっ、少ないね」

「だからコトコに入って欲しいんだよ。ワーーーン!」

 とマリアちゃんが泣きながらあたしの手を取った。

「マリアちゃん、嘘泣きバレバレ」

 マリアちゃんはペロリと舌を出した。

「クラブ員はもっといるんだよ。でも、入って欲しいのはほんとだよ」

「それはもう伝わってるよ」

 あたしは顎を人差し指で抑えながら、うーんと考えた。

「入ります。よろしくね」

 あたしはマリアちゃんに向かって右手を差し出した。マリアちゃんはそのあたしの手を取った。黒い大きな瞳がうるうるしていた。涙目を隠す様に体をくるりとひるがえした。

「じゃあ、発明クラブの施設を案内するね」

「施設案内と言えば、マリアみたいになってきたね」

 フフフと、笑う。

「ここがドックね。昔のクラブ員が自分たちで建てたらしい。大きなものはここで開発してる。主にクリスティが使ってるぞ。しかも、機械制御だけでロボットを動かしている。二本足で歩かせる技術者は世界でも数少ないんだ」

「クリスティちゃんって凄いんだね」

 相変わらず、向こう側で、ヨッチーを黙々と整備している。凄い集中力だ。

「隣の建物が旧校舎だぞ」

「木造建築? 珍しいね。画像では見たことあるけど、本物は初めて見たよ」

「確かに、今では貴重な建物らしいよ」

「マリアちゃん、壊さないでね」

 マリアちゃんは苦笑いした。

「旧校舎では小さな物を開発したり、実験したりしてる」

 キョロキョロしていると、後ろから声がした。

「マリア! さっき掘り返した道を直してきなさい!」

「いまクリスティがヨッチー調整してるので、終わったらすぐに直します」

「それでなくとも生徒会からの風当たりが強いのだから頼むぞ」

「はいっ!」と良い返事でマリアちゃんは応えた。

 マリアちゃんが尊敬する人なのか、はたまた怒ると怖いのか。少し、あたしの発明クラブライフが不安になった。

 あたしたちが旧校舎から出てドックへ向かおうとすると、生徒会と書かれた腕章を付けた二人に声をかけられた。

「ゲッ!」マリアちゃんが苦虫を噛み潰した様な、酷い顔になっている。マリアちゃん綺麗な顔が台無しだよ。

「発明クラブ! あの通路を掘り返したのは君らだな!」

 汚物を見るような目でマリアちゃんを見ている。

「なんだよ! そもそも、こっちへ来る用事ある? 監視カメラでも付けてるんじゃないのか?」

「この旧校舎は文化財として保護対象の候補に選ばれている。何かあってからでは困るんだよ! それに、発明クラブは承認の最低人数にも達していないのだからな。そろそろ、解散したほうがいいんじゃないのか?」

「クラブ員は大丈夫だよ、今日だって一人入ってくれたのだから」

 マリアちゃんは歯を食いしばっている。鋭い視線があたしに刺さる。いやー、まだ申請書も出してないのにそんな目で見られてもなー。

「ご苦労だね」

 あたしたちはビックっとなって、振り返った。

「クラブ長!」彼は眼鏡の真ん中を人差し指でクイッと上げて話した。

「通路は後でしっかり直しておくから、クラブメンバーの件も期限はまだだよね」

 女性の生徒会役員は顔を赤らめて応えた。

「そうでしたね。カイトさんが、そう言うなら通路はよろしくお願いします」

 そう言うと、そそくさと立ち去っていった。

「マリアちゃん、発明クラブ人数足りないの?」

 あたしはマリアちゃんの顔を見つめた。マリアちゃんは視線をそらして答えた。

「じっ、実はそうなんです」そして、丁寧な言葉になっていた。

「人数は大丈夫になったんだよ! コトコが入ってくれたから!」

 焦ってるマリアちゃん、かっ、可愛い! あたしの好奇心が、悪戯心がくすぐられてしまった。

「あたしまだ申請書出してないよ。クラブ員少ないのかー、どうしようかなー」

 あたしの期待は裏切られてしまった。マリアちゃんの瞳から涙が流れ、顎の先端からポタポタと地面に落ちた。

 あたしは手足をバタつかせて、マリアちゃんの周りをウロウロした。

「はっ、入るから! 絶対辞めないから!」

「約束だよ!」

 泣きはらして目元は赤くなっているが、パァーと明るい表情になった。マリアちゃんの背景に向日葵畑の映像が見えた気がした。いやーその笑顔は反則でしょ!

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