第24話 学園案内
「ほら、コトコはこの学院が初めてだから、案内しようと思って」
キョトンとするあたし。
「えっ! いいの? じゃあお願いしようかなー」
この学院は広いから、また、迷いそうだもんね。
「よし、決まり。行くぞ、コトコ、クリスティ」
あたしたちがついて行くのも確認せずに、突き進む。
「クリスティちゃん、マリアちゃんって元気だね。いつもこんな感じなの?」
こくりと頷くクリスティちゃん。
「あっ! ちょっと待って、地図を片付けるから」
大声をだしてバタバタしてたので、図書委員さんにギロリとにらまれた。
「ごめんなさい!」深々とお辞儀をし図書室を後にした。
マリアちゃんが案内を始めた。
「この建物が図書室と言うか、図書館と言うか。ここが、ちょうど学院の中心辺りかな。で、ここを取り囲むようにロースクール、ミドルスクール、ハイスクールの建物があるぞ」マリアちゃんは話し方も男の子っぽい。
あたしたちは渡り廊下を歩き、ロースクールの方へ移動した。
「この棟の3階に5・6年のクラスがある。2階が3・4年、1階が1・2年だぞ。そして渡り廊下が階ごとにある。3階の渡り廊下は屋根が無いから天気の日は気持ちがいいけど、雨の日はおすすめしないぞ!」あたしは縦に頭を振って応える。
「渡った先の棟の1階はロースクールの職員室、2階は工作室と美術室、3階は化学室と音楽室だ」
マリアちゃんはふーっと一息つくと、続けた。
「その向こうの建物が体育館、体育館の地下にはプールがある。クラスと職員室がある本棟裏手の方に食堂と購買の入っている棟がある」
あたしがちゃんと聞いているか、こちらを見て確認する。
「うん!」と声にだして聞いてますよをアピールする。
それを確認し、マリアちゃんは説明を続ける。
「ずーっと離れたところにクラブ棟と旧校舎があるんだけど、そこはまたこんどね。で、僕のお気に入りはここ!」
マリアちゃんが最後に連れてきてくれたのは食堂だった。
「何か食べて帰ろうよ!」
「マリアちゃん、しょ、初日からカレー食べるの?」
クリスティちゃんが、おっとりとした話し方で言った。
「久しぶりだからな。おばさんカレーを一人前っ!」
「マリアちゃんが来ると思って用意しといたよ!」
マリアちゃんはここのカレーが好きなようである。
「もう、食堂やってるんだね」
あたしとクリスティちゃんはケーキセットを頼んだ。飲み物はロイヤルミルクティーだ。
「この学校は寮もあるから食堂は年中やってるよ」
「そうなんだ」と返事をし、あたしはケーキを一口食べた。
「おいしー!」
クリスティちゃんもニッコニコ顔だ。
「美味しいんだよここのケーキは」
おばさんたちはあたしたちに向け、親指を立ててみせた。マリアちゃんはすでにカレーをパックパク食べている。素晴らしい食べっぷりだ。
「コトコの両親も起業家か何かなのか?」
「そうみたい、色々経営してるみたいだね」
「やっぱりそうか、ここの子供は殆んど良い家柄の子供だからな」
「それはそうと、コトコはクラブ何にするんだ?」
「ん? クラブ? それは何も考えてなかったなぁ」
「この学校は必ず何かのクラブに入らないといけないんだよ」
「そうなんだ」
どうせならあたしの目的に合ったクラブにしないとね。
「マリアちゃんは何のクラブに入ってるの? 僕とクリスティは発明クラブ。そ・れ・で、コトコも発明クラブに入ってよ!」
それが目的だったのかー!
「ほら自己紹介で、機械を組み立てたり、プログラミングが大好きって言ってたから。ピッタリだと思って」
「誘ってくれてありがとう。まだ他のクラブを知らないから、返事は他のクラブを確認してからでもいいかな?」
「OK期待して待ってるからね」
二人と別れて校門まで行くと、ナンシーさんが車で迎えに来てくれてた。
「ありがとう、待ったんじゃない?」
「大丈夫ですよ。少女たちを愛でてたので」
ニッコリ笑顔で犯罪すれすれの事を言い放ったよ。
帰り道は学校の話になった。
「それで、コトコ様は何のクラブに入るのですか?」
「まだ、何のクラブがあるか知らないから」
「ナンシーさんが、アメリア国立ロースクールのクラブ活動について教えてくれた」
「くっ、詳しいねナンシーさん。まっ、まさか、前から少女観察してたんじゃ!」
「コトコ様! 私も犯罪か犯罪で無いかのラインはわきまえています!」
「少女観察は我慢できないんだね。スレスレのラインでやるんだね」
ナンシーさんはあたしの話を華麗にスルーして。「実は私も卒業生なんですよ」
「えっ! じゃあナンシーさんもお嬢様なんじゃ。あの学校はお嬢様、おぼちゃまが通う学校なんでしょ。なんでメイドやってるの?」
「修行みたいなもんですね。ペンデルトン家で勉強してきなさいってことです。でっ、何のクラブが気になりましたか?」
「いま気になってるクラブは格闘技クラブと発明クラブかなぁ」
「なぜ格闘技クラブ?」
小声で、「軍に入れるように」っとボリュウームを上げて、「少しは強くなりたいから!」と答えた。
「発明クラブをチョイスしたのはお目が高いですよ。私も発明クラブでしたから。しかも、ペンデルトンさんたちも発明クラブのOBです!」
「なんですと!」
発明クラブへの入部がさらに有力になってきたのであった。まあ、あたしの目的には合ってるかもだけどね。




