第23話 図書室
今日のお迎えは連絡をいれるとナンシーさんが、車で迎えに来てくれることになってる。そうなるとお迎え時間は、あたしのさじ加減ひとつ。さっそく情報収集開始だ! 情報収集と言えば図書室へ行かないとね。そそくさと教材を片付け図書室へ向かった。
あれっ? 図書室はどこなのだ? キョロキョロと学院内を見渡す、あれれ、ここどこ? ちょっと、この学院広すぎだよー! 右往左往と挙動不審な状態になっていると。
「どうしたの? 大丈夫?」
と声がした。あたしはクルリと振り向いた。そこには美しい黒髪の女性が立っていた。その美しい黒髪を後ろで一つに束ね、凛としたたたずまいは隙を全く感じさせない。ただ者ではない空気が漂っていた。よく見ると左腕に生徒会と書かれた腕章をしていた。
「図書館を探していたら、迷ってしまいました」あたしは涙目で答えた。
「あらあら、大変? 始めてみる顔ね? 編入生?」
あたしはこくりと頷いた。一目見て編入性と見破った。この人はこの学院全生徒の顔を覚えているのだろうか?
「この学院はロースクールから、ハイスクールまであるから複雑なのよね。私が案内してあげる。ついてきて」
「はい! お願いします」
彼女はあたしを先導しながら。
「うーん、初めての人が一定数迷うから、何か対策が必要そうね。床に行き先別のラインを引くとか、要所に、見取り図を配置するのがいいのかしら?」
などと、何やらぶつぶつ言いながら、思考を巡らせているようだった。
「はい、ここが図書室よ」
「ありがとうございました」あたしは深々とお辞儀をし、図書室に入ろうとした。
「ちょっと待ちなさい」と引き留められた。あたしは悪いこともしてないのに、ドキリとした。
「はっ、はい! なんでしょうか?」
なにか、彼女からは覇気が感じられる。などと、失礼なことを考えてしまった。
彼女は手に持っていたクリップボードに、何かさらさらと書き始めた。その筆運びに見とれていると。挟んでいた用紙をあたしにくれた。
「あの、これは?」
「帰り道の地図よ。これがないと、また、迷っちゃうわよ」
そう言うと、手書きの地図について説明してくれた。
「今いる場所、図書館がここね。右に出てそのまま真っすぐ行くと1階へ降りる階段があるわ。そこから渡り廊下を渡るとロースクールの校舎へ行けるの。そこまで行けば分かると思うわ」
そして、手を振り、廊下の先へ消えていった。
「いゃー、なんか素敵な人だったなぁ。ここがアメリア学院の図書室か」
他の場所よりもひときわ豪華な扉を押し開けた。埃と共に、古びた紙の匂いがした。図書室のこの匂い割と好きなんだよね。
「おおー! なんてリッパな図書室なんだ」
円形の建物の壁一面が本棚になっており、所々に階段を設け3階までビッシリ本で埋め尽くされていた。中央にはテーブルが配置されており、ここで調べ物や勉強ができるようだ。そして、天井にはステンドグラスと明り取りの窓が絶妙の感覚で配置されていて、美しい光の模様を描き出していた。
「いやー、これは探すの大変だよ。まずは地図を探そう! 世界地図どこかな?」
「…………」
「だめだ、図書委員さんに頼ろう」受付に近づいて、図書委員さんに話しかけた。
「あのー、世界地図やアメリア連邦共和国の地図が見たいんですけど」
「ああ、それならこっちだよ」
わざわざ、あたしを案内してくれた。その地図を持って図書室の中央まで移動した。そして、図書室のテーブルでA2サイズ程の大きな地図を開いた。
「アメリア連邦共和国はここか、フムフム」機械の国らしき表記はなかった。
「まあ、認められて無いんだから、機械の国なんて書いてる訳ないよね。ってことは、あたしたちは領土内のこの島から来たってことかな?」
地図を見ることで、前世の世界とは全く違う地形だと言うことがわかった。
「アメリア連邦共和国はこの世界では比較的大きな国なんだな」
あたしが地図を見ながら色々と思考を巡らせていると。入口の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「ヒメ先輩が、転入生なら図書室へ行った、って言ってたから。ここにいるはずなんだけどな」
声の方へ眼をやると、マリアちゃんと目が合った。「あっ! コトコ探したぞ! マリアちゃん、クリスティちゃんどうしたの?」




