第20話 アメリア上陸(ブルース視点)
ブルースはデリバリートラックの荷台から外に出た。そのトラックから離れ、ビルのかげへ隠れた。そして、コトコの名前を小声で呼んだ。
「コトコ、コトコ、コトコ」
返事がない。もしかするとまだ、トラックの荷台にいるのかも知れない。光学迷彩していると、お互いの姿も見ることが出来ないのだ。トラックの方向を見た、ちょうど、荷台の扉をしめたトラックが走り出すところだった。
光学迷彩を展開したまま、トラックを追いかけることは可能だったが、なにぶんまだこちらの国の状況がわからない。あまり目立つことはしたくなかった。
ブルースは走りだしたばかりのトラックへ、発信機を投げつけた。発信機を取り付けることに成功した。映画でみた古典的な方法だが、目立ちにくいはずだ。目的地さえ知っていれば、何時でも合流することが可能だ。
ひとまず安心した。ブルースはいったん裏路地に入り、目立たないところで光学迷彩を解除した。目立つ荷物を路地の奥に隠し、身なりを整え表通りへ出た。ちょうどその時、ブルースの横を高級リムジンが走り抜けた。
ドン! という音がして、ブルースは振り返った。
「キャァァァァァア!」
女性の甲高い声がした。
そこには男の子が倒れていた。そこへ、ともだちと思われる子供が駆け寄ってきた。そして車に向かって暴言を吐いた。
「何やってくれてんだよ、俺のともだちによー!」
運転席から黒ずくめにサングラスの男が降りてきた。
「おまえらスラムの子供だろ」
「何言ってんだよおっさん、人を轢いといて上から目線かよ、慰謝料払えよ慰謝料をよー!」
もう一人助手席から黒ずくめにサングラスの男が出てきた。そして周囲をキョロキョロと見回して言った。
「おまえら当たり屋じゃなさそうだな。足止めするように頼まれたんだろう」
男は子供の首根っこを握りあげた。
「いえ、誰に頼まれた」
焦っているようで、一人の男が胸元から銃を出すのが見えた。ブルースは男たちの前へ立ちはだかった。ブルースの大きさに驚いた様子だった。男はブルースの方へ銃をむけた。一呼吸おいて、後部座席から一人の老紳士が降りてきた。そして、黒ずくめの男の銃を下げさせた。
「外へ出られては危ないです会長!」
そちらの男にも手のひらをかざし言葉を制した。
「すまないね。ちょっと事情があって。部下たちも気が立っておる。許してやってくれ」
そのときブルースは銃声と硝煙反応を感知した。
老紳士が危ないと気づき、とっさに老紳士を守った。そして黒ずくめの男たちは周りを警戒した。気が付くと、子供たちはどこかへと消えていた。ブルースは老紳士を守りながら、車の中へと押し込んだ。それに合わせて黒ずくめの男たちも車に乗り込み、リムジンを走らせた。
「助かったよ」
「なぜ、狙われてる」
「わしは武器を扱うビジネスをしていてね。次期兵器の開発で軍部内で意見に食い違いがでている。また、奴らは孤児をうまく丸め込んで利用したり。脳をいじって戦闘兵器に変えている。わしにも同じ年頃の可愛い孫がおるから、孤児に食い扶持を与えるため、ちょいと働かせるぶんにはほおっておくが、ちょっと度がすぎておってな。やつらの動きを封じるように組織を動かしている。それで、命を狙っとるんじゃろ」
「それは大変だな」
「君のような優秀な人材がいてくれると助かるんじゃがな」
ブルースはうまいぐわいに潜伏先が出来そうだと思った。ちょっと、ヤバイ連中の様だが、こっちも、不法移民者だ贅沢は言えない。
衣食住を保障してくれるなら、ボディーガードしても良いと答えた。では交渉成立だなとっと言って、握手を求めてきた。俺はその手を握り返した。




