第15話 地下通路の終点
「コトコ、コトコ、コトコ!」と呼ばれて目を覚ました。
終点に着いたようだ。そこは瓦礫でふさがれていた。
「茶々丸、ちょっと瓦礫の隙間を通って様子を見てきてくれないか」
あたしの背中のリュックサックからわ、ひょこっと顔を出した。
「えぇぇぇえっ、潰れないかなぁ」
そういいながら、あたしの腕を伝って手のひらの上まで来た。
ブルースが手のひらに顔を近づけた。
「おい、ここで、このままって訳にはいかんだろう」
「茶々丸お願い!」
あたしは自分の手のひらに乗った茶々丸を持ち上げつつ、頭を下げてお願いした。
「わかったよ、やりますよー!」
くるりと身をひるがえすと、瓦礫の隙間に入って行った。20分もすると隙間から飛び出してきた。
「瓦礫は5から6メートル、ってとこだね。その先は研究所か工場の様だった。最低でも20年は使用されていないと思うよ」
「よし、瓦礫は俺が取り除こう。1から2時間で通れるようになるだろう」
その間あたしは食事と休憩、そして、荷物を最小限にまとめた。
「よし、こんなもんだろう」
そう言いながらブルースが近づいてきた。
「コトコが先に行ってくれ」
あたしは瓦礫の上の方へ抱え上げられた。目の前には穴があった。
「そこを進むんだ」
あたしより先に茶々丸がとっとことぉおと駆け込んでいった。あたしは四つんばいで、茶々丸の後に続いて進んでいった。穴からでると確かにそこは古びた施設だった。あたしは服をはたいて後ろを振り返った。ブルースはほふく前進で穴を抜けてきた。
「さあ、ココからは未知の領域だ何の情報もないぞ」
一応偽造の書類は用意してあるが使えるかどうかもわからない。
「とりあえず外の様子をうかがって、この古びた建物の外へでてみるか」
外は暗く夜だった。
「ラッキーベストタイミング! 暗いと姿が隠しやすいよね」
ブルースもうなずいた。
そとには高い塔が複数たっていて、1キロほど向こうに壁が見えた。
「なんだろ、刑務所か軍事施設みたいだね」
「出るのに、骨が折れそうな施設だな」
「光学迷彩を使って外に出る?」
「ただそれで、検問を通過できるか分からんがな」
ちょうどその時パンやピザや弁当の様な絵が描いたトラックが目の前を通過した。
「今の民間のトラックじゃない?」
「あのトラックの荷台に忍び込んでみるか」
あたしたちはトラックへ駆け寄った。女性が兵士に手伝ってもらい荷物を下ろしているのが見えた。
「よし、今のうちだ!」
あたしたちは荷台に駆け込んだ。無事に忍び込み笑顔で顔を見合わせた。暗闇で、女性が兵士と話しながら扉を閉めるのが見えた。暗くてよく顔が見えなかったが、髪は肩ぐらいで身長は170センチくらい、スタイルはよかった。しばらくすると、車が動きだした。10分もすると、車が止まった。兵士の大きな声が聞こえた。
「配達ご苦労だったね。荷台を確認するよ。キクノを信用してるが、ルールだから許してくれよな」
「そりゃそうだ。しっかり確認してね」と快活な威勢の良い声が聞こえた。ガチャガチャと荷台を開く音が聞こえた。物陰に隠れているとはいえ、完全に隠れているとはいえない。二人は工学迷彩を展開することにした。
兵士は内部を見回し「問題なし」ともう一人の兵士に声をかけた。
彼女は「毎度あり、今後ともごひいきにっ」っと言って、車を発車させた。あたしたちは顔を見合わせ親指をグッと上げた。とりあえず、軍の施設からは出られた様だった。
「少し軍事施設から距離を取った方がいいな」ブルースは小声でいった。
その後、何度かトラックが停車し、積み降ろしが繰り返された。1時間程走っただろうか。荷台が開くと少し間をおいて。
「行くぞっ!」とブルースが移動を始めた。
準備できていなかったあたしは焦って何かにつまずいて転んでしまった。そして、荷物が崩れ大きな音がした。光学迷彩で姿は見えていないが、崩れた荷物は不自然だ、体制を立て直している間に扉が閉まってしまった。
ブルースとはぐれてしまった。鼓動が速くなり、冷や汗がでてきた。久しぶりのこの嫌な感覚。凄いよジャックの技術は改めてそんなことを思ってしまった。その後は運悪く1時間ほど車は止まらなかった。
「まずい、まずい、ずいぶん離れちゃった」
とりあえずブルースの無事は祈るしかない。どちらかといえば、こちらの方が状況は悪い。プチパニックになっていると車が止まった。
扉が開いたら、外へ出るぞっと身構えた。今回は少し間が長かった……。何でだ? やっと、扉が開いた。
「だっ! 誰かいるんでしょ!」
大きな声にビクリとした。バレてた。さっきの物音で気付かれたんだ。嫌な汗がどんどんでる、心臓がバクバクしている。この体で初めての大きな感情の変化についていけなかったのか、目眩がしあたしは倒れてしまった。




