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AIに転生? 異世界で、少女の姿で、生き抜きますよ!  作者: SUYA
人工知能(AI)に転生! 第一章
10/50

第10話 危険なことを

「じつは君のすべてはその胸のアクセサリーなんだ。心・魂・記憶はそこにあるんだ」

「えぇっ?!」

「そのアクセサリーで量子をコントロールし、体を構成している」ジャックは得意げに言った。

「えぇぇえっと……。ひょっとするとあたしって、複雑なことになってるけど……。実際のところ限りなくただの人間?」

「うん、まあそうなんだけど」ジャックは顎に手を添えながら言った。

「まあ、それで十分なんだけれども、むしろありがたい!」

「いや、僕の100年を詰め込んだ最高傑作! 量子をコントロールすれば、すべては意のまま、思いのまま! そして、そのアクセサリーにはすべての文明の叡智が詰め込んである。コトコはその記憶と融合を果たした」

「えっ! なっ、なんちゅぅう危険なことを!」

 あたしはジャックを両手で掴んでゆすった。

「あの場合、仕方なかったんだよぅ。もともとインストールしてあるデータを取り除く余裕がなかったんだもん」

「ハァー、ハァー、ハァー」あたしは息を抑えて冷静になるように心を落ち着かせた。

「そっ、そうだよね。助けてくれただけでありがたい。ごめんねジャック」

「コトコ、今の君に言われるとなんでも許せそうだよ」

「でっ、ジャック。量子をコントロールして何ができるっていうの?」

「今の君は体はもとより服も何もかも量子をコントロールして作り上げている」あたしは自分で見える範囲の各部を見回していった。

「うそっ? ほんとに」

「上手に量子をコントロールすれば、何でも作り上げることが可能だ! もはや、魔法と言っても差し支えないと思う。そして、コントロールする術を君はすべて記憶している。あとはそれを引き出し使うだけ。しかし、知っているのと出来るのは違うからね。あとはキミ次第さ! 試しに服装を変えてみてはどうだろう」

 あたしはイメージしてみた。その時脳裏にアニメの変身シーンを思い浮かべてしまった。服が弾け飛んでしまって、真っ裸になってしまった。

「キャぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 あたしは手で胸を隠して、しゃがみ込んだ。ブルースとジャックはとくに驚いた様子もなく棒立ちしていた。

「デフォルト状態へは変化できたね。でっ、なんでしゃがんでるの?」

「恥ずかしかったから……」

「ますます、人間らしくなったね、コトコ、ボディの影響もあるのかな?」二人はキョトンとして言った。

「でっ、次は?」

 あまりの反応に呆れてしまった。この二人に人間の常識を期待しても無駄だなっと考え、あたしは真っ裸で立ち上がり更にイメージを続けた。ピンク色のちょっとロリータ風のワンピースにベルトで腰の部分をしめ、肩を露出、襟元にリボンを着けた。魔法少女風の衣装になった。

「魔法少女っぽくしてみました!」

「うぅぅうん……。なんというか、もう少し……」

「もぉぉぉお。デザインはどうでもいいんじゃないのかなぁあ!」

「そうだね、それが量子コントロールの機能の一つだ!」

「あとは?」

「前のボディーの手のひらに、量子コントローラーが付いてたでしょ。物理現象を作り出せる。試しに炎を出してみて、距離感が大事、あまり近くにイメージすると自分が燃えちゃうよ!」

「わかった! やってみます!」

 手の平の数センチ向こうに炎を出した。

「コトコ、上手じゃないか」

 ブルースとジャックが手を叩いて喜んだ。

「えへへ、そうかなぁあ」

 あたしは後頭部に手をやり照れた。前のボディで、結構試してみてたからなぁ。

「まあ、そんな感じだから色々試してみてよ」

 それから、数日激しい戦闘がまだ続いていた。次から次へと運び込まれるロボットたち。義勇軍も出ているため、心を持つロボットも随分やられてしまった。あたしたちは遊ぶ暇などなく、破損したロボットたちのリカバリーを行っていた。

 ジャックは戦闘で破損したロボットのパーツ交換を行いながら話し始めた。

「人間の戦闘力が随分底上げされたみたいだね」

 ブルースは巨体を振り返らせ答えた。「人間は作戦立案力、判断力、スピードどれを取っても、AIに劣っているはずなんだがなあ。まあ、機械の国は防衛に徹しているがな」

 あたしは聞いた。「何故、攻めないの?」

「その必要がないから、領地も十分足りているし、人間が機械の国の権利を認めてくれれば僕らは満足なんだよ」とジャックが言った。

「それに比べると、人間は機械の殲滅、領地の奪還が目的だからヤル気が違う」

 日々命は危険だし、動画もゲームも楽しめない。

 あたしの希望と全然違う方向へ進んでるよ。

「うぅうん、なんとか戦争終わらせられないかなぁ」

「コトコが、出撃するかい? 今のコトコなら相当強いと思うけど」

「人間を殲滅出来るかもしれんな!」

「いや、無理でしょ! どんだけ、凶悪なんだよあたし。それに、殲滅って。人間皆殺しなんてだめだよ! あたしはみんなで仲良く楽しく長生きしたい」

「そりゃ、それが理想だけどね」

「人間が機械の国の権利を認めてくれれば僕らは戦争を辞める。ほんとに必要ない。もっと、有益なことに時間を使うね」

「管理者や観測者も同じ考えかな?」

「コトコも分かってるでしょ。僕らはある程度データを共有しているから、理念に近い程、確認の必要が無いくらいに理解しあってる」

 あたしはまじめくさった顔になりこういった。

「この戦争を終わらせようよ! 機械の国は人間の国を滅ぼそうとは思っていない。ロボットたちの権利さえ守ってくれれば戦争やめるんでしょ!」

 ジャックとブルースは上下に頭を振って頷いた。

「じゃあ、人間の方の心を変えればこの戦争は終わるんだよ!」

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