0006
「でっこれは、どういうことか聞こうか斎藤?」
約束の時刻に待っていた俺に斎藤が悪びれる様子もなく。
「悪い他の連中がC組の奴含めてどたきゃんしてな、俺だけになっちまったでも……カメラだけはあるからな現場はばっちり撮影だぜ」
「やけに乗り気だな」
「だってロマンがあるじゃん! C組の奴は嘘をつく奴じゃないからな、多分何かあると俺は踏んでいる、ネットでも昨日裏山で変なモノを見たって生徒がいたしな」
「じゃあいくか現場は?」
「裏山の中腹に開けた場所があってなそこだそうだ」
「結構歩くのか?」
「大丈夫15分ぐらいだって」
斎藤の指示の元歩く事およそ15分ほど。
「ここか中々いい所じゃないか」
「だろ昼間だったら相当綺麗だろうな! C組のやつが学校さぼって撮影したくなる気が分かるだろ?」
学校の裏山の中腹には、開けた花畑があって向うの世界なら妖精が舞っていそうな感じだった。
明るければさぞ綺麗だったろうに。
「まぁ確かにむっこれって?」
ざわざわとした感覚これは空間が歪む予兆だ。
「どうした轟?」
「悪い斎藤」
「急に眠気が」
魔力課金星の睡眠付加10魔力で課金して斎藤を眠らせた。
人数が多いなら範囲タイプ消費100魔力だがこれで充分だ、
倒れ込む斎藤を受け止め地面にねかせる。
次に空間が歪み、一人の男の背中が見えた。
「ふう、てこずらせやがって」
「ライオスなのか?」
見覚えのある背中にそう語り掛けるとその男は厳ついその顔を向けた。
「貴方は勇者どのじゃありませんか! 元の世界に帰えられたのでは?」
「こっちは俺の世界だ。どうやら魔力の影響で空間が歪んでいるらしい」
「そうですか……それより勇者殿に伝えなければいけないことが……どうやら魔族数人がそちらの世界に魔王の魂の残骸を持ち込んだようなのです……先ほどこちらの魔族一波は退治したのですが」
「俺たちが倒した魔王の魂の残骸……確か神殿に封印するとか言ってたやつか、でもそんな物持ち込んでどうするきなんだ? 完全に魔王の魂は死んでいるんだろ?」
「そのはずです、しかしわざわざ持ち出すからには何か策があるのかと」
「分かった気をつけよう」
「よろしくお願いしますではそちらの空間の後始末の方は」
「俺の方でやっとくよ」
「そう言えば賢者殿が、勇者どのに私的に伝えたいことがあるとか」
「スベテが? あいつが私的ねぇ」
旅の仲間の一人スベテの事を思い返す。
せっかくのスレンダー美人だったけど、アイツはよくわからない奴だったからな。
一体何を伝えたいのか。
「あと昨日ここで戦っているのを見られたから少しは気を付けてくれ」
「昨日ですか? 昨日は戦ってはおりませんが……」
「どういうことだ?」
「こちらでの一年をそちらの一日に変換したことで、空間が繋がる時間帯が狂っているのはないのでしょうか?」
「そうなのか? 後で女神様に聞いてみるか」
「そんな方法が、おありで?」
「俺の魔王討伐のご褒美を使えばな」
「ほほうそれ凄いですね」
「ところでそっちの状況はどうなってる?」
「今のところは表向きは平和ですね。魔族融和策も国民には少しづつ受け入れられてはいるようですが、根強い人間と魔族双方の反抗意識は中々ぬぐえません」
「なるほどのそれに反抗している奴が、こっちの世界に来ている奴か」
「そうなるでしょうね。こちら側の一部魔族の不審な動きは察知しています。一体何を企んでいるかは分かりませんが……」
「魔族か……悪い奴らばかりじゃないんだがな……」
「その通りですが、人間と魔族争った時間が長すきました。そう簡単にはいかないかと」
にこやかだったライオスの顔に憂いが現れる。
ライオスの奥さんは確か魔族だったな。
旅の終わりに結婚するとは聞いてはいたが、これから生まれるであろう子供たちの為にも、住みよい世界にしたいんだろう。
「まぁ大丈夫じゃないか? 魔王だけが魔族に強制的に命令を下せるんだろ?」
魔王は魔族に命令を下す。
それに魔族は拒否はできない声の届く範囲にいる者だけだが。
恐ろしく残酷な力だ。
「そうですが仮に復活でもしたら……」
「そん時は呼んでくれ倒しにいくから」
「その時はよろしくお願いします」
「じゃこれぐらいにしようじゃあなライオス」
「勇者どのもお元気で」
ライオスが去っていくのを見届けると、魔力課金を操作。確かいいのがあったはず。
「あったあったこれこれ魔力吸収」
効果は単純ここ一体に溜まった魔力を吸収できるアプリだ。
それに迷わず課金。
風のように魔力が俺に吸い上げられ魔力残高が少し増えたようだ。
次に空間の歪みが小さくなっていき向う側の景色が消えていく。
「さて、斎藤を起こすか」
いかんこのままじゃ尺が足りない追加せんといかん