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「クマといえクマと! Gなんか貼り付けたら俺でもトラウマレベルだっ!」
家を出て開幕これか。
本心ではないことわかっているが。
ついツッコんでしまう。
昨日寝れなくてこの聞き耳ハート解除するか真剣に迷ったのに、こいつは……それで解除しなかったのは黒木と天上院の心の声がやばいからだ。
提灯もギャップと甘さで行けばやばいけど。
黒木と天上院は別のベクトルだ。
さすがに気心知れた仲であるので、早急に事を起こしたりはないだろうが、流石の俺でも怖気づいてしまう事を心の中で言っているのも問題だ。
それに一度解除すると、同じ量魔力を課金しないといけないと説明にあったよって、最終的に現状維持にしたわけだ。
「ダーリン眠いかったら僕に言ってね! 膝枕、お腹枕、胸枕なんておやすい御用さ」
『むふふ僕の体温が轟君に染み渡るように移っていくなんていいな、僕は轟君と物理的、物質的、生物学的にも一つになりたいし』
こっわ抜群に可愛らしく笑ってはいるが、そのギャップが怖い。
それでも許してしまう俺はそいう素養があるのだろうか。
「疲れ……が……たまって……いる……なら……いい……お薬……が……あります……効果……は……保証……します……よ?」
『いい薬あるぜ! 違法ぎりぎりで安全な奴』
つかうか! そんなアングラなもん! 天上院も要注意だな、薬でも盛られたら厄介だし、そのまま既成事実的流れが容易に想像できる。
それはそれで魅力的……いかんいかんここまで長い間一緒だったんだ。
こういうモノはじっくりと行かないといけない。
そのまま皆で雑談しつつ学校へ向かって歩いていると聞きなれた声が。
「相変わらずハレームってるな! 轟」
「なんだよ斎藤」
「実はな今日は相談があってな」
「なんだよ相談って」
「実はな! 事の真偽を確かめようって思ってな」
「なんだよそれ」
「実は昨日C組のやつが鎧の騎士と悪魔の戦いを見ったっていうんだよ! それでな皆で確かめに行こうって話になってな! どうだ! いくだろ男心が騒ぐだろ!」
「別に興味ねーなそんなもん腐るほど見てきたし」
「ゲームや漫画でだろ!」
「そうじゃないんだがな」
マジで見飽きてるしその親玉倒した当人なんですが……
「いいから来いたまには男同士でつるもうぜ!」
「わかったよで場所はどこだ」
「この学校の裏山だ! でっこれが証拠な!」
そういって斎藤は一枚の写真を差し出すそれを覗き込む俺ら。
「ゲロ! 安いコスプレね」
「確かに背中に太陽のマークのマントってださいね」
「確かに……ダサ……いです……もう……少し……デザイン……は……練れた……かと」
「これって……わかったいくお前らは来るなよ!」
俺はその写真に写ったマントには見覚えがった。
太陽を模した黄色の円形にリアルな表情、これは向うの王国騎士団の紋章だ。
しかも、写真に移ったマントは見覚えがある向うの仲間の一人ライオス・ライスのモノだ。
となれば何かは確実にあるわけだ。
そんな場所にこいつらは連れていけない。
男だったら頑丈なので問題ないし、問題が起きそうなら魔力課金で眠ってもらおう。
丁度良く範囲タイプの課金もある。
残り魔力残高100魔力消費するモノが。
「ゲロ! 何でよ糞虫!」
「なんでダーリン仲間外れは駄目だよ!」
「そう……です……仲間……外れ……は……なし……です」
「そりゃ人目のない山の中に女の子を連れて行くって、変な事を考える奴が出てきてもいやだろ? つーわけでお前らちゃんと帰れよ」
「なんかわからんが乗り気だね轟、じゃ放課後夕方五時に校門に集合な」