表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/25

0002

「だーから全く約一年ぶりっていうのに……」


 「一年? 何っているのよ! 糞虫! 脳に虫でも沸いたの昨日もあったじゃない!」


 「どうしたの萌ちゃん? 僕のダーリンと何かあったのかな?」


 「ゲロ! 糞虫がさっきから私たちに久しぶりに会ったとかいうのよ!」


 「どう……ゆう……こと……です……轟君?」


 「何でもねーよ! それよりくっつくな熱いだろ!」


 俺に抱き付いた3人を振り払おうとするが、どうせ効力はないので、怪我でもしないようやや力を籠めるイメージ。


 「だーめ! 君は僕のダーリン君なんだから!」


 「そう……です……駄目……です!」


 「私は違うけど糞虫の監視役だからね! 近くで見張ってないと駄目なのよ!」


 なんだそりゃいつも思うが、提灯が俺が嫌いなのか好きなのかよくわからん。

 いつもくっついてくるから後者に分類しているが。

 残り2人は言わずもがなッてやつだ。

 

 「よう空! 相変わらずハレームってるな! 感心感心!」


 「何が感心なんだよ。斎藤」


 と今時男子って感じの斎藤に声をかけられた。

 学校にたまにいる隙あらば茶髪にしようとするが、教師やら校則やらで度胸がなくて、結局できない斎藤という男はそういう男だ。


 「何ってお前らのイチャコラっぷりは学校名物だろ! 血の涙を流しかなない程にな!」


 「なんで苦虫を噛み潰したみたいなしかめっ面なんだよ!」


 何故か顔をわざとらしく顰める斎藤。


 「そりゃ仕方ないじゃないか! 毒舌女神提灯さん! お前以外の男に全くデレないクルービューティーティ黒木さん! 背は小さいながらスタイル抜群! 前髪のしたの素顔は、美少女と噂される癒しの天上院さん! その3人の超美少女といつもべったりって羨ましすぎるぜ!」


 「あーでも俺たちはそういう仲じゃないから」


 あれなんか空気が変わった気がする。

 何かしゅんと落ち込むような空気だ。

 勇者として鍛えたせいで感覚が研ぎ澄まされているから、勘違いではないだろう。


 「なにそれまるで機械探偵プリプリベルみたいなこと言って」


 「斬新なネタ振りだなおい……ちなみにどんな内容だ。まぁ当然探偵ものなのはわかっているが……」


 唐突に提灯がネタをぶち込んできた。

 すると場の空気が少し明るめに変わった気がする、これはなんなんだ一体?

 しかし、今は提灯のネタに突っ込む必要が、こいつほっとくとネタを相手にされるまで続けるからな。


 「何言ってるの糞虫! 探偵ものじゃないわよ?」


 「はぁ?」じゃあなんで機械探偵なんだよ。


 「仕方ないわね教えてあげる! これはガチムチの男たちの戦いなのよ! 事の始まりは土木作業中に発見された杖、別名ガチムチステッキこの杖は持っているだけで、誰しもが筋肉ムキムキになれるアイテムなの!


 「なるほど魔法少女の男版かたまに聞く奴だな」


 「何言ってるの? この作品は基本的にアクションシーンなしよ」


 「はぁ?」じゃあ戦いって下りなんだよ……どんな内容なんだよ……予想外過ぎるネタに思わず出た、さっきより招けな声が妙に気に障る、自分の声なのに。


 「これはふらりと現れたガチムチステッキが、全く使われることなく物語が進行して、いつ使われるか期待感を煽りに煽って、ついに使わないで一話が終わるそんな作品よ!」


 「なんだよそれ探偵一ミリの関係ないし! ガチムチの男たちの戦いどこいった!」


 「知らないわよキャッチコピーなんだから! だからわたしファンは待っているのよ! 今三期が終わろうとしている中、いつ初めてガチムチステッキが使われるかを刮目しているの!」


 「どんだけ引き伸ばしてんだよ! 製作者大丈夫か!」


 「大丈夫よ! 映画だって二作作られているし! ただ、その特典の赤ら顔おっさんのビニール人形は意味不明だけどね」


 「マジで何考えてんだよ! そして誰だよそのおっさん!」


 「なにってOP曲がかかる時、必ず登場する赤ら顔のおっさんよ! 作中に一切登場しないのに、OPで意味深な行動をとり続ける作中のキーパーソンよ多分!」


 「結局分からないだけだろ! どんなアニメだ! 批判されるぞ!」


 「それも初っ端から覚悟の上よ! だって作品のテーマが【大炎上】だもの! まさにその通りになったわね!」


 「確実に確信犯じゃねーか! 少しは自重しろ!」


 「別にいいのよ! 私たちファンは面白ければ!」


 「だからってな……つーかさっきの俺のセリフとこれは一体何の関係があったんだよ!」


 「そんな物ないわよ! ゲロ!」


 相変わらず無茶苦茶だな。

 ネタを言いたいだけでぶち込んでくるとは。

 凄い久しぶりだが疲れるなこれ。

 これを一年前は連日していたか思うと、自分をほめてやりたい。

 


 「自由すぎんだろ! それに付き合う俺の身にもなれ!」


 「ダーリン萌ちゃん遅れちゃうよ!」 


 「そうです……時間……的に……です!」


 「ホントだやべぇいつの間にか斎藤の野郎の姿もねぇし急ぐか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ