0021
「くっ本当に魔王が」
光が収まりそこに立つ1人の存在。
黒曜石のような漆黒の一本角。
金の魔眼が顔に三つ。
灰色の肌。
そして魔王の力が形を成した漆黒のローブ。
もう二度と会うことがないと少し前まで思っていた存在。
俺が倒すべき相手。
魔王――
「我は復活せり!」
「オオ魔王様! これで世界は我々の手に!」
見覚えない3つ角の魔族の姿。
イオナは気絶しているようだこの魔族がイオナを操っていたのだろう。
「汝か我を復活させたものは」
「その通りでございます!」
「では、褒美を取らそう我に腹に収まる名誉を!」
「何を言って魔王様……」
「自らの足で我の口へ来るがよい!」
「そんな足が勝手に」
ゆっくりと魔王の命令に従い歩み出す。
俺は動かない、魔王が何をするのかは分かっているからだ、少し可哀そうだが二対一より一対一だ。
「遅い一口で喰らってやろう」
「そんな魔王ァ~~~~~~!」
魔族は煙のように体を吸い込まれ魔王の腹に収まっていく。
相変わらず趣味の悪い奴だ。
「ふむ、中々に久方ぶりの肉は美味ではあるが、腹の足しにはならんな! まぁよい。ここには、新鮮な餌がたっぷりある、
その全てを食い尽せばフィリアスに戻り人の世を終われせる事など造作もない! そして我は神界を我が手に!」
「そうさせると思ってるのか?」
「当然だ貴様の聖遺物は我の手中にある! 負ける道理がどこにあるのだ!」
聖遺物――イオナが持ち出したという勇者の剣と鎧と兜の事だ。
「手中にある何を言って……」
「勇者様ご迷惑をかけました」
「イオナ気が付いたのか」
イオナの方を見た。特に怪我は見受けられないが操られていた影響か、声が弱弱しい。
「勇者様、貴方の三つの装備は彼女らの体内にあります。私が意識を奪われる前に過去に飛ばしたのです。勇者様達は引きあっているのです。出会いべきして出会ったのです。
彼女たちの中の聖遺物は勇者様の元へ戻ろうとしている。勇者様も彼女達に惹かれていたはずです。確かにこれでは私に振り向いてくれないはずです。
勇者様達はもうお互いがいないと生きていけない、決してお互いを忘れることができない、深いつながりがあります。沈んだ意識の底でずっと女神様に貰った神眼で、見続けて考えていました。
そして理解しました私の完敗です彼女達が本当に羨ましい。呼びかけてください、そうすれば彼女達が力を貸してくれるはずです」
「話は終わったか、さあ! 再びまみえようぞ!」
「萌! 光! 果実! 力を貸してくれるか?」
その言葉を言うと魔王から三つの光が飛び出してきて、俺の体に。
久しぶりだな俺の相棒達。
「ヌウ! 我の器の聖遺物が……ふふふはははは! こうでなくては面白くない!」
「久しぶりだな相棒! すぐに助けてやるからな萌! 光! 果実! 魔力課金廃人モード! 課金星戦闘空間創生!」
課金星戦闘空間創生は、高強度の戦闘用フィールドを俺の回り展開する課金だ。
この空間に巻き込む相手も指摘できる。
「場所を変えたか、無駄な事をお主は知らぬようだな。貴様がそれを再び手にしたところで、世界に祝福されぬ聖遺物など只の鉄屑にすぎん」
「そうでもないな。お前を倒してご褒美をもらってんでね。魔力課金! 最高課金世界の祝福!」
魔力課金世界の祝福とは俺が制御できるぎりぎりまでの身体強化、攻撃範囲拡張4倍。各種属性状態異常の耐性、そして俺と装備全てに廃人モードを開錠するまでこの世界の祝福を与える。
こうすれば聖遺物である俺の装備は向うと同じ力を発揮できるのだ。
女神様の受け入りだがな。
そして消費はまさかの????ただ最高の魔力消費をするとあった。
この程度のもの萌、光、果実と比べれば天秤にかけるリスクではない。
「この魔力全ての魔力を使ったようだな! ではこちからら行くぞ! 獄火球!」
魔王が炎球を5つ放つ。
「遅い! こんな物!」
難なく交わす。
それに魔王は口元を緩めた。
「ふむ、体は鈍ってはいないようだな! 我が倒され一年立とうというのに」
「何言ってんだこっちじゃ一週間もたってねーよ!」
「そうかそれは嬉しい誤算だ! 力の弱った勇者を屠った所で魔王の名が傷つくだけだからな! 貴様を叩き潰し全ての世界の全てを我の手中に! 爆炎牢獄!」
魔王の魔法で炎の壁ができる。
爆炎牢獄炎で対象を閉じ込め焼き尽くす魔法だ。
「こんな物!」
俺はそのまま横に一閃、強化された
剣の攻撃範囲は容易く炎の壁を断ち切る。
「それは囮だ!」
炎の壁に隠れていた魔王は巨大な氷槍を連続で放った。
「効くかよ! もらった!」
限界まで強化された身体能力、動体視力にかかればこの程度の攻撃交わすことは難しくない。
俺は、放たれた氷槍を叩き落とし魔王に肉薄。
だが、魔王は余裕の表情を浮かべている。
違和感を覚え少し攻撃に軌道がそれ、が魔王の肩腕の上部を薄く切り裂いた。
『『『痛い』』』
「萌! 光! 果実!」
「何を驚いておる! この肉体は3つの器が集まり一つの形になった物、傷がつけば器も傷つく我が死ねば器となった者も死ぬ! 当然の摂理ではないか!」
「なんだよそれ……はっきりとお前たちの名前を呼べたのに……正直な気持ちになれたのに……お前らを受け止める気持ちが持てたのに……」
「ふはははは! 最高の顔だぞ勇者! 想い人の体に殺されるがいい!」




