0017
「分かった分かったでっ俺は何をしろと?」
「そうだねダーリンとキッスだね! 待ちに待ったファーストキッスさ!」
「ゲロ!」
『光ちゃんそれいいね! 私も轟君とキスしたい』
「イイ……ですね……キス……したい……です!」
『光! 良い所言うじゃねーか! そんなわけだキスだ! ぶちゅっとベロチューだぜ!』
「えっやだよ。流石にこんな公衆の面前じゃ」
「糞虫! 何でそうなるのよ!」
『えぇえええそれはないよ! 轟君』
「全くダーリンたら、シャイなんだから!でもダメだよ」
『むふふふ逃さないよ、初めての体液交換さ! いっぱいダーリンの唾液味わっちゃうんだから、後でダーリンの唾液入りのクッキーもつくらないと!」
「そう……です……駄目……です……キスは……決定……事項……です!」
『駄目に決まってんじゃんねーか! 俺たちとキスは決定事項だ! 逃亡は許さないぜ!』
さてどうした物か、思案にふけてみるがこいつらは興奮して話を聞くようには見えないし、何か打開策を求めて鞄の中身を思い出す。
鞄の中身は教科書と、筆記用具とノート数冊とお菓子が少々。
あっそういえばこのお菓子はそういう使い方もできたっけ。
もちろんこいつらの事は嫌いではないが、キスなんてした日には次の要求は見えたようなもの。
法的に結婚もできない身分で父になるといろいろな意味で生きづらくなる。
「わかったこうしよう思えらこれを咥えろ」
と言って鞄からお菓子を取り出す。
棒状クッキー生地にチョコレートをコーティングしたパッキーゲームで有名なクリモのパッキーだ。
これ咥えさせてパッキーゲームをすれは任意のタイミングで終了できる。
「ゲロ! 糞虫! パッキーゲームね!」
『むふふふふこれで轟君の唇ゲットだね!』
「さすがダーリン! キスよりある意味ハードルの高いパッキーゲームをこんな道端でチョイスするなんて、僕好みのプレイだよ!」
『むふふふふ! 轟君の唇の感触を覚えたら、家にかえってから轟君等身大人間の唇を完成させないと、やっぱり等身大人形はリアルに限りなく近くないと!』
「いい……ですね……やりま……しょう! ……中々……面白……そう……です!」
『パッキーゲームかいいチョイスだぜ! 早くやろうぜパッキーゲーム!』
「じゃそこの公園でだ! 時間がないから手短にだぞ!」
「ゲロ!」
「分かったよダーリン」
「了解……です」
「加えたなおまえら」
公園に入ると俺たちは備えつ真新しい小屋の中で低身長の天上院に合わせて中腰になり、パッキーのチョコのついていない方を咥える。
提灯、黒木、天上院はチョコのついている方を咥えている。
ちょっとした気遣いだ、すぐ終わらせるからな。
「ゲロ咥えたわ!」
「加えたよダーリン!」
「咥え……まし……た」
「じゃあお前らパッキーゲーム始めるからな!」
「ゲロいいわよ! 来なさい糞虫!」
『むふふふ、轟君の唇一番乗りなんだから!』
「準備オッケーだよ! バッチこいて奴さ!」
『むふふふふ、轟君の等身大人形今日で完成だね!』
「準備……万端……です」
『むふふふ、この日の為に鍛えたキステクでと轟を骨抜きにしてやんよ!』
ふうこれで大丈夫か適当な所で切り上げよう。
ちょとづつ3本のパッキーを齧っていく。
提灯、黒木、天上院の顔は真っ赤でで俺もつられて赤くなる。
これやっても見ると恥ずかしい、好意を持っていなければいいかもしれないが、お互いに好意を持っていると凄い気まずい。
しかし、目を反らすわけにもいかず4人で見つめ合う。
それからハムスターのように齧り進め、丁度俺たちの咥える3本のパッキーが半分になるころだった。
『もう我慢できないよ! 轟君』
『ダーリン僕もう限界!』
『ちまちまとめんどくせい! 男なら即ぶっちゅっとだ!』
提灯と黒木、天上院はパッキーを一気に食べきり俺の顔に自分達の唇を接近。
次に、綺麗に揃って3人の手が俺の頭を掴む。
こいつらむりやりキスするつもりだな。
「お前らこれゲームだからパッキーゲーム! 無理やりは止めろ!」
「ゲロ! 糞虫そんな物関係なしよ!」
『キッス! キス! キスッ!』
「萌ちゃんのいうとうりさ! ここまでしといてお預けは無しさ!」
『キッス! キス! キスッ!』
「そう……です……覚悟を……決めて……くだ……さい!」
『キッス! キス! キスッ!』
全くこいつらは、心の声をキスコールでハモってやがる。
一瞬魔力課金を使うか迷ったが、こいつらに使うわけにもいかず無理やり引きはがした。
「おらお前らいくぞ! 学校に遅れちうまう!」
「ゲロ! いくじなし!」
「ダーリンたら恥ずかしがちゃって、こういうお預けプレイも乙なものさ!」
「仕方……ない……ですね……まだ……時間は……あるの……で……我慢……します」
「全くキスだったら、俺の気持ちが整理出来たらいくらだって、してやるってのに」
「ゲロ! 何か言った糞虫?」
「ダーリンキスって言わなかったかい? 僕の耳にはそう聞こえた気がするけど」
「何か……言い……ました……か……轟君?」
「なんでもねーよ遅れるからい即ぞお前ら!」
「ゲロちょっと!」
「ダーリン早いよ!」
「そう……です……もう……少し……ゆっくり」
「分かったっておいて行っちまうのは可哀そうだしな、じゃあ行くぞ」