0011
俺の耳が確かならあれは向うの世界フィリアスの高位の魔獣だ。
これがライオスが言っていた奴か。
今手元には触媒もないから魔法も使えないし、聖剣の器だってない。
魔力課金をる使うしかない。
これはちょと躊躇しちまう機能だからな。
非常にネーミングが……。
とりあえず剣道部だ竹刀があるはず。
それと魔力課金で行けるか。
何だかんだで初日に聞き耳ハートを課金しちまったから、まだ肉体強化は試せていない。
向うの俺の強さは勇者の装備あってのモノだ。
こっちの世界での俺はいたって普通の強さだ。
ゴブリン数匹いれば余裕で負けるレベルの一般人。
身体強化ぶっつけ本番だ。
頼むぞ魔力課金。
「グロォオオ」
「落ち着け今に腹いっぱい食わせてやる」
「まて、そうはさせないぜ」
恐竜と猪の混ぜ合わせのような異形の魔獣隣には1本角の魔族の姿が見える。
1本角高位の魔族か、今の俺の実力の底が知れない以上厄介かもしれない。
「ふん、人間ふぜいが きっ気様は!?」
「察しがいいな、逃げ帰るなら今の内だぜ」
1本角の魔族は顔を歪ませる。
この男に見覚えはないが、俺は向うでは有名人なので、誰が知っていてもおかしくはない。
「まさか勇者が、ガッコゥのガーディアンとは……だが好都合だ、魔王様の敵討たせてもらう!」
今の手持ちの武器は剣道部の部室から拝借した竹刀のみ。
装備だけを見れば劣勢だ。
【勇者 何してる 死ぬき】
「スベテか、そんなつもりはないぜ」
この声はスベテだ。
スベテは向うの世界最強の魔法使いにして賢者。
魔族と人間の混血で、幼いときに両親をなくし迫害で酷い目にあってコミニケーション力に難があるが、綺麗で頼りになる奴だ。
メッセージ系の魔法で向うから連絡してきたのだろう。
【勇者 ならいい 私 手助け そちらの時 止めた そちらの時間換算 30分が限界 動ける人間 勇者とその資質を持つ者】
「ありがたい! さあやろうか! 魔力課金課金廃人モード!」
「棒切れ一本で何ができるというのだ! いけ魔獣グロボロス!」
「魔力課金剣筋力増強3倍! 武器耐久強化5倍!」
筋力を3倍竹刀の耐久度を5倍にして、魔獣の懐に踏み込み、竹刀で一閃。
俺の数倍の体躯の魔獣の脇腹に傷ができる。
この強化の凄い所は元の数値を倍にするわけではなく倍倍になるという事だ。
つまり今の俺の手の竹刀は鋼鉄の刀以上の強度になっているはずだ。
その証拠にこれだけの強化された力で握りしめても、固い感触を返す。
その代わり竹刀のしなやかな弾力は失われたが、軽く硬いいい獲物だ。
「ふん! 驚かせよって!」
まだ足りなかったな強化が。
攻撃範囲もだ。
「魔力課金剣斬撃範囲向上300%! 魔力課金筋力増強2倍!」
即座に課金し攻撃範囲を広め筋力を増強。
筋力強化これぐらいが丁度いいだろう、向うで魔王を倒し頃の身体能力に近い。
傷をつけられ興奮した魔獣が俺に突っ込んでくる。
だがこの程度交わすのは造作ない最小限の動きで交わし、流れるような動きで、下から腹部を切り上げる。
通常、竹刀は何かを切るということは想定されていない。
だが強化された筋力と刀以上の強度の竹刀であれば魔獣の固い皮を強引に破り割くことができるのだ。
「グモオオオオ!」
魔獣が声を上げ動きを止めた。
竹刀のの攻撃範囲を3倍に魔力課金で高めたのだ。
おそらく腹部の中心近くまで無理やり引き裂いた。
ズタボロに避けた腹部、動ける傷ではない。
その証拠に傷からは内臓があふれ出で、赤い血の水たまりを形成している。
「何だ一体? 先ほどまでと全く……これが勇者の力」
「お前の負けだ! おとなしく――」
「ゲロ! 頑張りなさい糞虫」
「ダーリンカッコいいよ! 流石僕自慢のダーリンだよ!」
「カッコ……いい……です……轟君」
「スベテこれって」
【肯定 彼女達 勇者の素質あり】
まじかつーか来るなって言ったのに……
「ふははははは! 見つけた! 勇者お前のおかげだ、後は頼んだぞ同胞よ!」
魔族の男が懐から光り輝く球を取り出し砕く、魔族は勝ち誇ったような表情を作り、魔族と魔獣の体が膨れ上がっていく。
「まさか自爆――」
【勇者 私 手 出せない 時止めるだけ 精一杯】
「試してみるか頼むぜ女神様! 魔力課金盾完全結界対象4!」
大きな炸裂音が響いた――――。
「あいつらは無事か驚いて気絶したか、流石魔力課金だな」
校庭には深いクレーターが出来、自爆した魔族と魔獣の肉片が散乱している。
俺は自分とアイツらの無事を確認して魔力課金廃人モードを解いた。
廃人モードとは、簡単に言えば魔力の前借を無尽蔵に行う機能だ。
廃人モード中はステータス向上系の課金は廃人モードを解除するまで持続される。
何故か廃人モード中は課金に音声が必要。
リスクは使ったその日から、使った魔力の数倍もしくは十数倍の魔力が、返しきるまで毎日強制徴収される事だ。
それを返しきるまで魔力課金は基本行えないが、廃人モードは別だ。
一歩間違えれば、魔力課金に使う魔力を全て使い切ってしまいかねない。
しかも、使ったその時は後で徴収させる魔力の量は分からないのも問題だ。
今回使った魔力課金は、筋力増3倍と2倍計消費魔力500。
武器強化5倍消費魔力500。
斬撃範囲向上300%消費魔力600。
完全結界4つ消費魔力2000。
さていくらとられるか……マジか。
思わず目を疑ってしまう計3600。
3日分ほどの消費した魔力は46000に膨れ上がっていた……およそ一か月半ほどの消費だが、実に使った魔力の12倍程の消費だ。
まさに課金廃人モード。
廃人モードこれはやばい短絡的な奴だったら破滅しかねない。
まぁ今回はいいかこいつら守れたし、飛び散った肉片もついていない。
完全結界体の汚れまで防止するとはすごいな。
【私の気持ち 聞いてほしい 今勇者 読心の加護ある 心でいう 聞いて 勇者】
『勇者貴方が好き』
「なんだって今そんなそんなこと」
唐突なスベテの告白――。
嘘はやめようずっと前から気づいていた、スベテが俺に好意を寄せている事は。
『だめ私は貴方を愛している、でもわかってる貴方には想い人がいる3人も、勇者たち何かの力で繋がって魅きあっている。でも聞いてほしい。
私は貴方は好き魔族と人間の混血である私を、貴方だけが普通の女の子として扱てくれたこと凄い嬉しかった』
「それでいいのかスベテ?」
スベテの言葉に思わず顔が熱くなってしまう。
普段ならいえないが俺はあいつらが好きだ。
アイツらが本心で俺に好意を抱いてくれているとしって嬉しい。
だからこそ向うで勇者として、いくら女の人に誘惑を受けてもすべて断ってきた。
一生をアイツら共に過ごしたいと思っている。
できるなら結婚したいと持っている。
だったら好意を今すぐ、受け入れえばいいかもしれないと言われるだろうが、今の関係も楽しいのだ。
何かきっかけがあればいいのだがそれがない。
まだその時ではないという事だろう。
【それでいい 私は勇者 優しさ 温もり あれば 生きていける これから先本題 そちら 侵入した魔族の目的 分かった】
「本当か? スベテ」
【魔族 そちらの世界 にて 魔王 復活させよう している そのために魔王の魂 持ち込んだ 勇者 イオナ 行方不明 多分 そっち 向かった 神殿 安置 いた 勇者の剣 鎧 兜もって】




