迷子の犬探し?
『樋山探偵事務所』ここは、
無名探偵樋山ありまが設立した事務所だ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ありまさんなんで寝ているんですか?」
そう言ってありまを起こしているのは、美吉 日向この探偵事務所で唯一の従業員だ。
「設立から1回も客が来ないんだし別にいいじゃん」
実際、事務所設立から2週間客が一人も来ないのである。
「まだ日が浅いだけです。電柱とかに張り紙貼ってでもして、宣伝とかしましょうよ」
日向は、そう言いながら宣伝用のチラシを作っていた。
「じゃあ今から賭けをしよう、今日客が来たら晩飯を奢ってやる」
ありまは自信満々に言っているが、日向は余裕の顔をしている。日向は勝ち誇った顔どスマホの画面をありまに見せた。スマホの画面には、犬飼という名前の人から依頼を受けるまでの流れが全て書いていた。
「嘘だろガクッ」
「ごっつぁんです。そうと決まれば準備ですよ準備」
「そうだな」
「ありまさんお茶どこにありましたっけ?あとはお菓子に、メモ取る用の紙に...」
日向は頑張って用意をしているが、物凄いスピードで事務所内が散らかっていく、しかしそれと同時にありまが物凄いスピードで整理をしていく。
10分後
「ふぅ 用意終わった」
「そ…掃除終わった」
やることを終えた2人が雑談をしていると、「チリン、チリン」とドアが開く音がしたので日向が急いで挨拶をしに行った。
「こちらへどうぞ」
その客は見た目、中肉中背の50代の男性だった。
「あの犬飼はじめと言います」
「この事務所で1番イケメンの樋山ありまです。でこの隣のが美吉日向です」
これはありまなりの最善の挨拶だった。
「それで犬飼さん今回はどんなご要件で?」
ありまはベテラン探偵のような振る舞いをした。探偵としての経験は微塵もないので、どうせ探偵ドラマの真似をしたのだろうと日向は思った。
「実は飼っていた犬が昨日から見つからなくて」
「いなくなる前の状況は?」
ありまがそう聞くと犬飼さんは迷子の犬の名前、犬種、いなくなった前後の様子を事細かに教えてくれた。
「じゃあ、張り紙を作るのでどんな見た目なのか教えてください」
そう言って日向と犬飼さんはパソコンの前に行った。日向は絵やデザインが得意で学生の時もよくそういうのでしょうを貰ったりしていた。
そうして5分がたった。
「あとはお願いします。遅れましたがこれ連絡先です」
犬飼さんはそう言って帰っていった。
「ここからは別れて行動ですよ」
ありまは犬を探しに日向は張り紙作りに取り掛かった。
しかしそんな簡単に見つかるはずもなく、五日がたった。
日向は犬飼さんと連絡を取るべく電話を掛けた。
「犬飼さんこちらはまだ見つかっておりません、そちらはどうですか?」
日向は手掛かりがまだないことを告げたが、驚きの返事が返ってきた。犬飼さんは昨夜、後ろから何者から刺されて病院にいるというのだ。そのことを聞くと日向はありまと一緒に病院に行った。
病院につくとありまは犬飼さんの病室に急いで行った。
「犬飼さん死なないでください、あなたが死んだら依頼が完了しないじゃないですか!」
ありまは意味をわからないことを言っていた。別に犬飼さんは死んでいない、死ぬ気配もない。そうありまは勘違いをしてたのだ。
「ありまさん?何してるのですか?犬飼さん生きていますよ、ピンピンしてますよ」
その一言でありまは自分が物凄く恥ずかしいことをしたことと、勝手に犬飼さんを死んだと思い込んでいることに気づいた。
「す、すいませんでしたー)
ありまは日本伝統の秘技DOGEZAをしたのだ!
綺麗に床に頭をつけ謝罪をするありま
あたふたしている犬飼
ありまのことを馬鹿だと思う日向
それを見て笑うほかの患者たち
なんというネタ空間
「それで犬飼さん刺された時の状況を教えてください」
何も無かったように質問をしたのはありまだった。犬飼さんの話では、夜、迷子の犬を探していたら後ろから叫び声が聞こえ刺されたらしいがらそれからの事はまったく覚えてないそうだ。
「誰が救急車を呼んでくれたのですか?」
「たまたま通りかかった女性が呼んでくれたらしいです」
「じゃあ、誰かに恨まれるようなことは?」
「会社の経営をしてるので数え切れないほどあると思います」
「分かりました」
「犬飼さんこの事件このありまが、いや樋山探偵事務所が解決しましょう」
ありまはそう自信満々に言って部屋を出ていった。しかし日向は思った。「犬探しはどうするんだ」と、そして犬飼さんに挨拶をしてから部屋を出ていった。
「日向ー、今から移動するぞー」
そういったのはありまだ日向が挨拶をしている間に犬飼を見つけた人の連絡先を聞いたというのだ。
そしてまた日向は思った「だから犬探しは」、そんなことを言う暇もなく無理やり車に載せられた。
30分後
着いた先は、どこにでもありそうな普通のアパートだった。ありまたちは部屋番号を確認し部屋の前まで行った。
「ピンポーン」
「どちら様でしょうか?」
「樋山探偵事務所の樋山ありまと申します。先日の通り魔事件のことについて聞きたいと思いまして」
ありまがそう言うと「ガチャ」と扉が開いた。出てきたのは20代後半の美しい女性だった。
「あ、あのわたし福田 香織と言います」
「申し遅れました美吉日向です」
全員が挨拶を交わし女性のから話を聞いた。その女性によると、先日の夜、日課のジョンギグをしてた時、叫び声が聞こえ駆けつけてみれば人が倒れてそれに気づいた福田さんが救急車を呼んだらしい。
「ご協力ありがとうございました」
「いえ、協力できたなら光栄です」
女性の家を後にした。ありま達は犬飼さんの会社にいた。会社の人に資料室へと案内してもらった。しかしありまが資料を調べても恨まれそうなことは一つもなかったのだ。
「日向ハズレだな」
「何言ってるんですか?この資料見てください」
日向が差し出した資料には、葉山 大翔という人物があるプロジェクトの失敗でで会社を辞めされられたと言う旨のことが書いてあった。
「ありまさんこの人が犯人じゃないですか?」
「そ、それぐらい分かってたし」
「じゃあ行きましょう」
「ここが葉山て人の家かな?」
「思ってたよりも大きい家に住んでますね」
「メイドでも雇ってんのか?」
その家は一人暮らしには広すぎる家だった。
「ピンポーン」
呼び鈴を鳴らしてみたが人が出てくる気配がない
「ありまさんどうします? 今いないみたいですよ?」
「よーし、張り込みだ。日向、アンパンと牛乳かってこーい」
「はい、はい」
日向がコンビニに行っている間、ありまはふと思った。
「俺あんこ食べれねーじゃんガク」
ありまが落ち込んでるうちに日向が帰ってきた。
「ありまさん何かありましたか?」
「家に男が1人入っていった」
「突入ですね?」
「ピンポーン」
「はーい」
家の中から男の声が聞こえた
「何のようでしょうか?」
「あなたは葉山大翔さんで宜しいですか?」
「そうですけど」
「犬飼さんを刺した犯人はお前だー」
「日向っそれ俺のセリフ」
ありまが落ち込みながら言った。
「イタズラなら警察に通報しますよ?」
「イタズラではありません。」
「あなたは会社を辞めさせられた腹いせに犬飼さんを刺した違いますか?」
日向がそう言った瞬間、相手が突然、殴りかかってきた。
ガシッ
「暴力はいけませんね葉山さん」
そう言ってパンチを止めたのはありまだった。
「このありま流護身術に適う者はいないのだ!」
「クソッ、いつもそうだ。あのクソ上司に失敗を擦り付けられて会社をクビにされ、嫁と子供にも逃げられた。次は殺人未遂てか、なんで俺だけがいつも不幸なんだよ」
「葉山くん、その話は本当かね?」
会話に急に入ってきたのは犬飼さんだった。
「え!? 犬飼さん大丈夫なんですか?」
「えぇ、大丈夫です。すいませんが少し二人で話しをさせてくれませんか?」
そう言って犬飼さんたちは家の中に入っていった。
「ありまさんどうしますか?帰ります?」
「そうしよう」
「あっ」
日向は何かを思い出したかのように呟いた。
「ありまさん焼肉奢ってください」
「何で俺が奢らないといけないんだ」
「賭けですよ賭け」
「覚えてたか…」
そして数日がたった。
「この前の件は本当にありがとうございました」
「いえいえ解決できて何よりです。それで葉山さんはどうなったんですか?」
「葉山くんにはまたうちで働いてもらうことになりました。どうやら原因は彼の上司にあったみたいですからね」
詳しく聞くと、その上司は、葉山さんが退社後パワハラや横領などでクビになった。とても厄介な人でその人の嘘で葉山さんは会社を辞めさせられたらしい。
「それよりうちの子は見つかりましたか?」
「あっ……」
ありまは完全に忘れていた。しかし日向は余裕の表情で近づいてきた。
「この子で宜しいですか?」
そう言って連れてきたのは、オスのロングコートチワワだった。
「健太! 会いたかったぞ、全くどこに行ってたんだ。ともかくありまさん、日向さん本当にありがとうございました。」
犬飼さんはそう言って帰っていった。
「チリンチリン」
「帰りましたね犬飼さん」
「それよりどうやって犬を見つけたんだ?」
「知り合いに手伝ってもらったんですよ。ていうかまた暇になりそうですね」
「そうだな」
檜山探偵事務所、そこは2人組の探偵がいる。そして彼らの探偵の仕事はまだまだ続くのだ