僕より 。助けてくれた貴女へ 。
あぁ、僕はどれだけ貴女に救われたことか。
僕は嘘つきだ。負け犬だ。
でも、それでもいいとあなたは言う。
こんな情けない僕を認めてくれる貴女がいるから今の僕がいるんだ。
又今日もそんなことを考えて生きている。
自分の情けなさにまた呆れていた。
もう、存在する意味すら見いだせないな。
まあ、興味がなくなったら読まなくてもいい。これからの話は僕の日常生活の一部だ。
あの子と僕の話だ。どうだ?興味あるか?
もう飽きたと言う人は、読まなくていい。
僕の人生はどうなっているんだ。
まぁ、生まれてほんの数十年だけど。
僕には別に幼馴染でもない、仲のいい女友達がいる。
凄く迷惑をかけてしまった人。
助けてもらった人。
誰よりも優しくしてくれた人。
誰よりも傍にいてくれる人。
そんなあの子にこの前、
「僕には友達が少ない」だの
「なんでこんな取り柄のない僕と…」
なんて弱音を打ち明けた。
あの子は、
「私はその少ない友達の一人だよね?」
「キミに取り柄がない?ないわけないでしょ?」
なんで僕に関わるんだろうか。
そんなあの子は僕を好きだという。
でも、僕には好きになる資格なんてないよとまた弱音を呟いてしまった。
「苦しくなったら、私に言っていいんだよ。好きになって欲しいなんて、望んでないって言ったら嘘になっちゃうけど、直ぐになんて言わないよ。好きになってくれるまで、傍にいるよ。好きになってくれたあとも。」
それにどれだけ救われたことか、多分キミは知らないな。
人は嫌いな人が出来る生き物だ。
嫌って、好いて、嫌って...そのエンドレスループ。
僕だって、嫌いな人がいる。あいつさえ居なければ、僕の人生は少しでもマシだったのに。僕が病んだきっかけはきっと此奴のせいだ。...こんなことをほざいたところで何もかわりやしないのはわかってるけど。
僕はずっと悩んでいた。こいつとは部活が一緒だった。リーダー格で、彼奴のその日の気分で部活のテンションがかわっていく。ある日標的が僕に変わった。周りも、怖がっちゃって仲が良かった友達もそいつに合わせていっちゃって。
僕は孤立した。
それをキミは見てくれていた。
いつも僕に声をかけてくれた。
この感情は何なのだろうか。
今までにないこの気持ちは。
自分に自信が無いから自分の気持ちを認めたくない。このまま自分の気持ちに気づかずにいられたら楽だろうに...でも、僕のこの頭は僕の目に司令を出している。そのせいで、いつも僕の目に映るのはキミだけで。
今はあくまでも仲のいい女友達。
でも、キミは僕の気持ちは知らないだろう?だからまだ考える余地がある。焦らなくたって...
でもある日僕は気づいた。
またいつものように目に映ってしまうのはキミだった。でも、映るのは君だけで周りに人がいない。どういう状況かもう分かっただろう。
彼女も孤立していたのだ。僕はあることを思った。
ーキミと僕は似たもの同士なんじゃないのか?
一人、机をずっと見つめている。その目には希望の光がない。
僕は彼女に助けてもらった。だから、これは僕が助けるきっかけなのではないか?
でも、足が出ない。一歩を踏み出せない。僕は負け犬なんだ。彼女はそれでいいと言った。でも、そうはいかない。どうすればいいんだ。
夜、零時を廻った。
寝付けずにいる僕。考えているのは彼女の事。
「僕は彼女が好きなのかな。」
自分の気持ちに気づけずにいた。
自分が変わらなければ、彼女を救うことはできないのは分かっていた。
でも、認めたくなかった。もし仮に、僕が彼女に自分の気持ちを伝えたとして、そしてまた仮に付き合った...とする。僕は彼女を幸せにする事が出来るかどうかなんて、もう目に見えている。
試行錯誤を繰り返し、目を閉じていたら、いつの間にか眠りについていた。
又今日も、昨日と同じ。ループしている。
何も出来ないまま、夕方に。
ふと、彼女が席を立った。どこかへ行ってしまった。僕の足が不意に立ち上がり、無意識に彼女を追っていた。
彼女は誰もいない静かな教室に入っていった。僕はそれを扉越しに密かに見守っていた。
「何をしているんだ?」
彼女は、窓辺に寄りかかり外を眺めていた。夕日が眩しすぎて彼女の顔を伺えなかった。気になってずっと様子を伺っていた。
そしたら不意に彼女がしゃくりあげた。泣いていたのか。
僕はもうどうしようもなく、扉を開けて教室に入ってしまった。
「どっどうしたの??」
彼女は涙を拭って、何事も無かったように作り笑いをしぼくに話しかけてきた。
もう、全てを言っちゃえばいいんだ。
不器用でもいい。
「どうしたのじゃないでしょ?辛いことがあるなら僕に言ってくれよ。僕だっていつもキミに助けてもらってばかりなのは嫌だし。それに...キミの本当の心を伝えられるのは僕しかいないと思うんだ。僕は負け犬だ。キミが孤立していた、そんなこととっくに気づいていたんだ。あんなに悲しそうな顔していたら...誰よりも辛かったはずなのにそれを見て見ぬ振りをしていたんだ。こんな僕、もう呆れちゃうよね。動こうとはしていたんだ。....ほら、理由もいっちゃってさ。負け犬なんだよ。こんな風に自分に自信が持てないから、自分の本当の気持ちも認めたくなかったんだ。でも、もう隠す歯止めが効かなくなっちゃって。僕は、やっと気づくことが出来た。キミが好きなんだって。」
「えっ」
「キミの目に僕が映っているかどうかなんて、もう分からないけど。もし、まだ僕を好きでいてくれていたら、僕と付き合って欲しい。でも、…」
「そんなの…いいに決まってるじゃない」
彼女を見るとさっきとは違う、大粒の涙がボタボタと瞳からこぼれ落ちていた。
「僕は、君を幸せにできないかもしれない。」
「私は、君が傍にいてくれるだけで、充分幸せなんだよ。私の事、気づいてくれていたんだね。ありがとう。こうやって私に声をかけてくれた。大きな一歩じゃないの。」
「...っ!」
「君がいてくれるならもう、怖いものなんてないね。」
「なんか、ありがとう。」
「...、何でお礼なんて!」
「僕、無理かもしれないけど、幸せにする。してやる。」
病んでいた僕を助けだしてくれた君。どうしようもない僕を変えてくれた君。
君からもらった言葉のお陰で今の僕が出来たよ。
今、僕が君に大好きですって言おうとしてること、気づいてないでしょう?
もう、いいよ。この人になら伝えてもいいんだよ。
「大好きです。」
誰よりも近くにいてくれる君への気持ちにやっと気づくことが出来たよ。