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俳句集:手毬座生誕 Ⅲ
蓮葉やたつたひとこと云へぬまま
蔦青きビルの早口言葉かな
青桐や崖沿ひにあるが居場處なり
萬緑やふるさとの空地しづかなり
青桐やとほき空のみ見てすごす
根無草 雨つぶうけて沈まざる
蓮葉をのけて息つく鯉の影
青葉山 無言のままにひと休み
茂邊の川を北斗の星およぐ
ユッカ揺るる苑より眞晝へ下りゆく
あじさいの腐れし姿かくす雨
雨雲とふたごのごとき湖眠る
萍や旅の果てなる池にあり
萍や波紋とかかはりなき姿
近道をして墓地をゆく梅雨の風
野心なく荷葉ゆれたる眞晝かな
梅雨空や家族と云へるひと遠し
五月雨や重き眠りは生臭し
五月雨の野を一両の電車去る
雨うくる湖景に校歌ひろがりぬ
さかんなる様みせつけて蓮揺るる
蓮の葉や象のお耳と子らが云ふ
つづく
*茂邊とは森の端を意圖せる言葉なり。




