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俳句集:手毬座生誕 Ⅰ
おほぞらに手毬座ゑがく夢の筆
□手毬座生誕
たそがれや棺たる世の波と星
ただ耐へて秋雨うけよ古塔婆
人音の繁き夜に消ゆ雛桔梗
秋風や墳墓の内を星廻る
胎内をめぐり来たりて冬となる
風とほる度の吐息や花のやま
更衣湖に沿ふ風あらたなり
蟻地獄けふといふ日に潜みまつ
蟻の道行く手は日陰の奥にあり
へやの内なにをめざすやはぐれ蟻
生まれくる子を何と称ぶ夏至の風
縁ふえ今年の粽あまりけり
鬱ぎたる我をからかひ刺す蚊かな
梅雨寒やひと無き道に佇みぬ
初夏や異郷のゑがほよそよそと
初夏やみぎはの道にゑみ多く
汗にじむ異郷の厚き雲のした
川音のまろびつづける網戸かな
缶ビールうましと云ひ張る我ありき
つづく
*「よそよそと」は「悠々と」の意なり。




