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ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
30/68

PRINTEMPE, 2018 Ⅱ   



     こころ(ひそ)めき答へを知らず  







 蟻地獄にとらへられし鳩をみつめる

 星と女 





 * * * 





 心細き労働へゆく蛇

 傍らに遊女の死 





 くもり(ごゑ)の心臓

 (とげ)をぬいてくだされ 





 地底湖に(とざ)され少女は

 夢を数へる指となつた 





 向かひ側でわらふ

 たくさんの歯たち 





 金色の目の司祭が咬む

 我が母の指 





 * * * 





 緋色なる月

 消えゆきぬ

 花曇(はなぐもり) 





 ひとりごと

 浮きつしづみつ

 春の闇 





 あてどなく

 老女歩みて

 春の虹 





 棄て去りし

 (まなこ)さがして

 花の山 





 しやぼん玉

 さまよひてあり

 春かなし 





 * * * 





 夢判(ゆめはん)じしつつ

 土筆(つくし)を摘みてあり 





 襁褓(むつき)買ひ

 小さく歩む

 花の道 





 単純な恋の鋳型(いがた)

 春の闇 





 渡りゆく空想憎む

 烏貝(からすがひ) 





 春雲(はるくも)

 記憶の重く湿りけり 





 * * * 





 石段に

 花弁(はな)つもりたる

 暇日(かじつ)かな 





 花の枝

 ただ誇りかにゆれゐたり 





 かあさんと云ふ(こゑ)きこえ

 春月夜(はるつきよ) 





 龍の棲む

 池のそばなり

 春麗(はるうら)ら 





 紅梅や

 老母黙して

 (たたず)めり 





 * * * 





 (こゑ)なくて

 影もなきひと

 春の夢 





 旅路なる

 母いかにあり

 花満ちぬ 





 梅咲くと

 ふれしひとあり

 夢うつつ 





 十年(ととせ)すぎ

 君わらひたり

 花の川 





 椿咲く道で別れし

 (おのれ)かな 





 * * * 





 (こゑ)をきくことかなへてや

 花の闇 





 玄関に散り敷く花弁(はな)

 踏みて発つ 





 ()移りの

 老いし(ひと)あり

 紫木蓮(しもくれん) 





 木蓮(もくれん)

 みあぐる老母に

 日の(かげ)り 





 忘るべき

 枝垂桜(しだれざくら)

 別離(べつり)かな 





 * * * 





 リハビリで(たわ)むからだや

 春催(はるもよ)ひ 





 須彌山(しゆみせん)

 ()ばるるやまの

 野焼(のやき)かな 





 夢みつつ

 身をのばしたる

 桜かな 





 (さち)うすきひと生きぬけり

 春の風 





 うしろ向きに進みてもみん

 春ひなた 





 * * * 





 菫花(すみればな)さびしげに見る

 (わらべ)かな 





 芝桜しばざくら

 まことちひさく

 喝采す 





 (へび)穴を()

 満天の星のした 





 片栗の群れ咲く

 古城の夜明けかな 





 引きこみ線の果て霧のなか

 菫咲く 





 * * * 





 涙またこぼれ落ちゆく

 春の闇 







       ( つづく ) 












Mi rifuzas kopiadon kaj utiligon

sen mia permeso.




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