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ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
28/68

VINTRE, 2018 



Vintrodormadon finis mi.




◇ Vintre



 天狼(てんらう)

 まなざし強く

 冬立ちぬ 





 気だるげに

 猫が退()きゆき

 冬立ちぬ 





 行處(ゆきどころ)なく

 冬原(ふゆはら)()

 星まばら 





 眠りながら泣く()のごとき

 わが小指 





 ふたたびの

 銃声へつづく

 雪の川 





 * * * 





 姫椿(ひめつばき)の咲く()が嘆き

 さまよふてゐる 





 恋ごころ

 ともりて消えぬ

 冬の風 





 しほからさを噛むて

 老女泣く 





 片割れを

 さがし求めて

 夜も雪 





 (とき)よどむ冬

 (つび)となり眠る 





 * * * 





 泡の浮く夢をみつめて

 少女ひとり 





 うたふこと

 踊ることなき

 冬の華 





 水音も

 しづかな冬の

 別れかな 





 歩みゆくひと

 独りなる

 雪の国 





 ひたすらに

 雪ふる夜や

 喪家(さうか)() 





 * * * 





 南国をでて幾年(いくとせ)

 指()ゆる 





 冬月(とうげつ)

 見あげるこころ

 ふたつ泣き 





 線香の

 まるき(かを)りや

 (つき)供養 





 さびしさを知らぬ

 仔猫の(まなこ)かな 





 立ちすくむ

 わが足もとに

 冬の影 





 * * * 





 魚群(いをむら)

 (こほ)りゆく濱

 星冴える 





 ふるさとの養母(はは)

 過ぎてゆく

 冬夜(とうや)かな 





 跫音(あしおと)

 鋭さ増しぬ

 冬の夢 





 恋のふり

 ひとつ重ねて

 春隣(はるとなり) 





 星がふるへる魚卵のやうで

 もうすぐ春 





 * * * 





 愛のことばの皮剥ぐ晩に

 遠き思ひ出うづきだす 





 夜明けこぬまま()らみな目覚め

 行く手きめかね身の(すく)む 





 片眼さしだし勝ちえた妻と

 骨を洗ひに海へゆく 





 花の(しかばね)かさなる夜を

 位牌(ゐはい)ぬすみし女衒(ぜげん)ゆく





 恋の小壺のうつろになりて

 足しにくる者とてもなし 





 蜘蛛のひと糸たらして救ふ

 それがわれにもできたなら 





 千鳥の足となりたる養父(ちち)

 賽の河原において去る 





 おろか者よといはれて育ち

 血潮(ちしほ)()くをもて余す 





           ( つづく ) 








○ 先日、ラジオで、八木重吉の詩について語られている講演を聴き、

かつてやはり重吉の詩を読みながら短詩表現への意欲を育んだ、なつか

しくもいとしい感覚を思いだしました。



※Mi rifuzas kopiadon kaj utiligon

sen mia permeso.




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