NOVEMBRO 2017
秋の気に似合ふ髪形さまざまに
須彌山の
麓ただよふ
秋の刻
* * *
無縁墓の
安堵せる雨
吾亦紅
悲しみの泡
ひとつまた
虚空へと
かたわれと話す
秋の通り雨
サフランや
病すすめど
幸もあり
野良狗のごとき憎悪と
夢うつつ
* * *
曖昧な笑顔つくりぬ
霧のなか
知らぬまに
咲いて枯れたる
いのちかな
荻風や
おほきな刻の
過ぎゆけり
戯れ歌
きこゆる夜や
金木犀
遠回りして出会ひたる
日なたかな
* * *
瑞歯ぐみ
ただ観音と話す
坂のうへ
遡上する恋心
しづかに月のした
紅葉燃ゆると
盲たれど知らる
かたわれ星降る
たひらかな野に眠る
冷たい真夜中に
橋がのびてゐる
* * *
紅葉の燃ゆる池も
思ひ出
川音つづく旅の夜
ひとり
柿熟す
喪家の庭に
豊かにて
霧のなか
また柳の葉ひとつ落ち
思ひ出を
もう捨ててよい秋となり
* * *
秋運河
たれも知らざる
星映す
束縛を
間間されてみたし
秋の風
心臓の孤独さのごと
菊一輪
柿実る
午後のぬくさや
便りよむ
ささやかな
日溜まりで足る
秋の薔薇
* * *
やはらぎし
顔を見おくり
秋時雨
去勢せし
傷を舐めたる
十月尽
生きてゐることにおびえし
木の実かな
泣くひとの
遠くにあらむ
月夜かな
迷宮の跡なる町や
秋時雨
* * *
ひとかけら
欠けたままなる
秋夜かな
吃音を気にしつつ止まぬ
海の秋
ほどけゆく
さだめとからだ
秋の潮
川音のむかうで
星が安らぐ
噴く水も
冷たし
異国の秋の街
* * *
人工の星すべる空に
冬立ちぬ
( つづく )
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