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寶石開扉
En la tempo dormanta,
infanoj transformigxas
en cxiajn vivajxojn...
1
夕暮れの星のさみしさ知るまでは
笑み駆けてあれ少女らの群
盜癖をもつ少年のまどろめば
果ての空にて纎き月消ゆ
紅の色しめすべく生まれきて
誇りかにあり庭隅の薔薇
2
あだしをの
背に唇あてて
眠りたし
うぶすなの地の
星売れし夜
星の池に浮かぶ
大地といふ泡に棲み
胸のうちには
戀なる泡が
ただひとつ
3
戀の流れに身をなげだして
朝な夕なと泳ぎたし
風もなき夜に漂ふてきた
誰の夢やら心やら
4
しあはせを
忘れたままの
椅子ひとつ
蛇およぐ
凪いだ夕べの
別れかな
5
半透明の嘆きを抱き
幻燈の街を歩む
棄てたはずの戀をさがして
わたしはゆつくり喰はれていく
遠くで薔薇が咲いたらしい
宝石開扉 了